【完結】異世界で小料理屋さんを自由気ままに営業する〜おっかなびっくり魔物ジビエ料理の数々〜

櫛田こころ

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第10話 願いのためには②

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 視線を感じながらも……妖怪達の人混みをかき分けて行き。

 進むこと……数分程度だったかな?

 クレハがここだと止まるように言ったのは……そこそこ大きな木造建築の建物だった。

 看板が見当たらないから……誰かのお家かな?


「……ここ?」

「せや。ちょぉ、待って」


 クレハは私の肩から降りると……扉のところを前足で軽く叩いた。それだけで、簡単に扉が開いたのだ。


「……入っていいの?」

「許可出たんや。ええで?」

「許可?」

「あちきがもの問いしたんや。ええよ」


 よくわからないが、私も入っていいらしい。

 クレハが隙間から入っていったので、私はゆっくり扉を押して入っていく。暗いと思ったが、中は明るかった。

 目が慣れてくると……クレハがこっちだと手招きしてくれてるのも見えた。

 中は、電気はないはずなのに……森で見た木の実みたいなのがあちこちぶら下がっていたお陰で明るいことがわかったわ。便利、異世界アイテムとやらだ。


「……ほぉ。ヒトか?」


 くるくる見ていると、しわがれているが……しっかりとした声が聞こえてきた。

 びっくりして振り返れば……クレハのいた先に、座布団の上で丸まっている年老いた猫又ちゃんがいた。尻尾は元気がないのか座布団の上で軽く揺らしている程度。


「長老。この子はあちきの友や」


 長老……とクレハが言った猫又ちゃんは、無造作に伸びた前髪ぽい毛の間から……少し鋭い目を見せてきた。ちょっとだけ、怖いと思ったけど。

 でも、クレハが私を友達だと言ってくれたのが嬉しかった! 人間とかじゃないけど……信頼している相手にそんな風に言ってもらえたんだもん!!


「友……か? お主がわざわざそう言うとは」

「ちょいとドジなとこあるけど……ヒトでも稀な存在や。何より、魔物を調理するのが上手い」

「……調理? そこの者は調理を得意とするのか?」

「は、はい! まだまだ修行中の身ですが!」


 聞かれたような気がするので……答えてみた。

 すると、長老は体を起こしたかと思えば……大声で笑い出したのだ。


「はっはっは! クレハが調理をする者と、近しい間柄に!! 何事も面倒事を避けてたお主がなあ? いやあ……笑った笑った」


 くくく、と最後に喉で笑ってから……長老は最初と同じ体勢に戻った。そして……私の方に目を向けてきた。前髪ぽい毛から、今度はちゃんと黄色い猫目が見えたので。


「……あの?」

「して、この者をわざわざ里に連れてきたのは?」

「せや。この子はヒロ言うんやけど……神からの御使やねん」

「……は?」

「んで、あちきとかに振る舞ってくれた料理……この里で『店』を開いてもらいたい思って、連れてきたんや!」

「…………は?」


 クレハからの、重大な情報に……長老はとってもびっくりしてしまい。

 目が点から、今度はいきなりひっくり返っちゃった!?
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