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第9話 アヤカシの里
しおりを挟む(……何、あれ?)
なんで、河童?
クレハの猫又もだけど……異世界に妖怪がいるのも不思議だ。
いや、そもそも日本にはいないけど。伝承とか、誇張したテレビや映画とかがあるだけで。
「あそこに行ってや」
クレハがそう言うので、ちょっとだけ怖いけど……河童の門番ぽいところに行くことにした。
近づくにつれ……河童達から鋭い視線が向けられる気がしたんだけど、ここは頑張らなきゃ。この向こう側だと思うけど……私のお店を開けるかもしれないチャンスが待っているんだもん!
ただ、河童達の前に着くと……当然槍で通せんぼさせられちゃったけど!
「な……に、用」
「ここ……『アヤカシ』の里」
片言だけど……ちゃんと言葉は理解出来た。
クレハはいるけど、不審者満載の私が来たら……そりゃこうなるよね?
「大丈夫や。あちきがいりゃしゃんせ?」
「! こ……れ、は」
「ク……レハ、様! ご無礼……を」
クレハが声を掛ければ、河童達はささっとサイドに避けた。そして、どうぞと言わんばかりに……手で中に入るように促してきた。
『様付けって、クレハ偉い人?』
『そんな大した身分ちゃうで』
小声でやり取りしても……河童達は冷や汗流しているからか動かない。なので、遠慮なく……茂みの奥に入らせてもらうことにした。
ちょっと枝がぶつかったりしたが、クレハを落とさないようにかき分けていくと……暗い森の奥に、何か光が出てきた。
少し急いで進んでみると……開けた場所に出たのだ!
「……おお」
出た場所は、広場と言う感じだった。
奥に舞台みたいなのがあり、曲芸をしている妖怪みたいなモンスターを観客達が楽しそうに鑑賞しているって言う具合。
舞台以外の場所は、いろんな種族の妖怪達が歩いたり、食べ歩きしたり、なんか道端で売り買いしてたり……と、ほとんど人間と変わらない過ごし方だ。
私がいたところと違うのは……デジタルがなくてアナログ主体って感じ。だって、誰もスマホとかパソコン持ってないし使っていない。電子広告とかもないし。
「ようこそ、アヤカシの里へ」
クレハはまだ私から降りない。まだ匂い付けとやらが必要なのかな?
けど、この人混み(?)の中を先に行ってもらうと迷子になる可能性が高いので、このままがいいや。
「凄いね! ほとんど人間と変わりない!」
「種族ちゃうだけだし、そりゃなあ? 人間との交流はここ百年程度から始まったんやけど」
「え、短いの?」
「あちきらは云百年以上生きる亜種みたいなもんやからなあ? 知能低いもんは、そないに生きないけど」
「……おぉ」
ってことは、クレハは結構長生きさん?
あの河童兵隊ぽいのにも畏まられていたし……ちょっと気になったが、今はやめておこう。クレハが移動しようと前足を動かしたからだ。
「そっちの左側にある道を……しばらく進んで」
「うん」
今は、クレハのこともだが……この猫又ちゃんが紹介してくれる場所に行かなくちゃ。
ちらほら視線は感じたけど……気にしちゃ負け!
頑張れ、宏香!!
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