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第52話 焼肉クレープ②
しおりを挟む「……へぇ? 豪華~!」
「……初めて見る料理だな?」
クレープをだいたい巻き終えてから。
待ちかねていた男性二人の前に、出来上がったクレープを置いていく。
お客さん用のテーブルと椅子はまだなので、スインドさんが荷物に持っていた大きめの布を広げてくれた。室内だけど、ちょっとしたピクニック気分になれて楽しくなってきた。
お茶は、厨房を使ってスインドさんが入れてくれたわ。ついでに、私は淹れ方を教わった。紅茶だけど、ハーブティーのような緑色の感じが綺麗。
味は緑茶に似ているのかなと思うが、飲む時の楽しみにとっておくことに。
「手に持って食べてみてください」
「手づかみぃ?」
「紙を巻く方法もあるんですが、買っていなかったので」
「……薄紙か?」
「そうですね。……ありますか?」
「……店に戻らないとわからんな」
「また行けばええやん! ヒロ、はよ食いたい!!」
「はいはい、食べましょう?」
いただきますは、ザックさんがいるので出来ない。
スインドさんにはお泊りの時に見せたけど……やっぱり、こちらの人間に風習にもないらしい。なので、極力言わないように気をつけよう。うっかりの時は仕方ないけど。
持ち方を三人に教えたら……クレハもだけど、ザックさんもすぐにかぶりついてくれた。
「にゃ!? ふにゃ……肉、うみゃ!?」
ちょっと生地に苦戦していたクレハだったけど、噛み切れるとわかったら焼肉と一緒にもぐもぐと食べ進めていったわ。
「へぇ? パンじゃないなぁ? なんつーか、これって……ガレット?」
「あ、そうです。似てますよね?」
ガレットがあるなら、すぐに情報を差し替えることが出来たわ。だとしたら……ベーコンとか卵もあるかしら? 作ってみたいけど、そば粉とかもあるのかなあ? あとで、スインドさんに確認しよう。
そのスインドさんは、無言でがっついていたわ。感情表現が少ない人だけど……十分にわかるので嬉しい。
私もひと口食べると、卵とかがないのでもっちり感が普通のクレープとは違うけど……まずまずの出来栄え。
これで満足してはいけない。長老おじいちゃんの言う通り、日々精進していかなくちゃ!
「ふーん。こんな食べ方ねぇ? たしかに、持ち手があればぁ……もっと食べやすいかもー」
「……面白い食べ方だ」
スインドさん、口端にタレが。
教えてあげると、手の甲でぐいっと拭う仕草をするが……やっぱりイケメンは何やってもかっこいい! 実にけしからん!
「ヒロはさぁ? 俺とかが知らない料理ぃ、いっぱい知ってるねぇ? どこで覚えたの? ここら辺じゃないでしょぉ? アヤカシでもないし」
やっぱり……ザックさんからの問い合わせが来た。
話すかどうかは、スインドさんと検討するとは決めたけど。
まだお仕事の少ししか見てないが、私の料理する作業についても文句とかを言わない人だというのはわかった。
クレハとスインドさんを見ると、『任せる』って感じの眼差しを向けられた。私の判断でいいと言うことだろう。
なら……と、私は少し背筋を伸ばし。体勢も敷布の上で正座になってから口を開けたのだった。
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