【完結】異世界で小料理屋さんを自由気ままに営業する〜おっかなびっくり魔物ジビエ料理の数々〜

櫛田こころ

文字の大きさ
52 / 108

第52話 焼肉クレープ②

しおりを挟む


「……へぇ? 豪華~!」

「……初めて見る料理だな?」


 クレープをだいたい巻き終えてから。

 待ちかねていた男性二人の前に、出来上がったクレープを置いていく。

 お客さん用のテーブルと椅子はまだなので、スインドさんが荷物に持っていた大きめの布を広げてくれた。室内だけど、ちょっとしたピクニック気分になれて楽しくなってきた。

 お茶は、厨房を使ってスインドさんが入れてくれたわ。ついでに、私は淹れ方を教わった。紅茶だけど、ハーブティーのような緑色の感じが綺麗。

 味は緑茶に似ているのかなと思うが、飲む時の楽しみにとっておくことに。


「手に持って食べてみてください」

「手づかみぃ?」

「紙を巻く方法もあるんですが、買っていなかったので」

「……薄紙か?」

「そうですね。……ありますか?」

「……店に戻らないとわからんな」

「また行けばええやん! ヒロ、はよ食いたい!!」

「はいはい、食べましょう?」


 いただきますは、ザックさんがいるので出来ない。

 スインドさんにはお泊りの時に見せたけど……やっぱり、こちらの人間に風習にもないらしい。なので、極力言わないように気をつけよう。うっかりの時は仕方ないけど。

 持ち方を三人に教えたら……クレハもだけど、ザックさんもすぐにかぶりついてくれた。


「にゃ!? ふにゃ……肉、うみゃ!?」


 ちょっと生地に苦戦していたクレハだったけど、噛み切れるとわかったら焼肉と一緒にもぐもぐと食べ進めていったわ。


「へぇ? パンじゃないなぁ? なんつーか、これって……ガレット?」

「あ、そうです。似てますよね?」


 ガレットがあるなら、すぐに情報を差し替えることが出来たわ。だとしたら……ベーコンとか卵もあるかしら? 作ってみたいけど、そば粉とかもあるのかなあ? あとで、スインドさんに確認しよう。

 そのスインドさんは、無言でがっついていたわ。感情表現が少ない人だけど……十分にわかるので嬉しい。

 私もひと口食べると、卵とかがないのでもっちり感が普通のクレープとは違うけど……まずまずの出来栄え。

 これで満足してはいけない。長老おじいちゃんの言う通り、日々精進していかなくちゃ!


「ふーん。こんな食べ方ねぇ? たしかに、持ち手があればぁ……もっと食べやすいかもー」

「……面白い食べ方だ」


 スインドさん、口端にタレが。

 教えてあげると、手の甲でぐいっと拭う仕草をするが……やっぱりイケメンは何やってもかっこいい! 実にけしからん!


「ヒロはさぁ? 俺とかが知らない料理ぃ、いっぱい知ってるねぇ? どこで覚えたの? ここら辺じゃないでしょぉ? アヤカシでもないし」


 やっぱり……ザックさんからの問い合わせが来た。

 話すかどうかは、スインドさんと検討するとは決めたけど。

 まだお仕事の少ししか見てないが、私の料理する作業についても文句とかを言わない人だというのはわかった。

 クレハとスインドさんを見ると、『任せる』って感じの眼差しを向けられた。私の判断でいいと言うことだろう。

 なら……と、私は少し背筋を伸ばし。体勢も敷布の上で正座になってから口を開けたのだった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

【完結】憧れのスローライフを異世界で?

さくらもち
ファンタジー
アラフォー独身女子 雪菜は最近ではネット小説しか楽しみが無い寂しく会社と自宅を往復するだけの生活をしていたが、仕事中に突然目眩がして気がつくと転生したようで幼女だった。 日々成長しつつネット小説テンプレキターと転生先でのんびりスローライフをするための地盤堅めに邁進する。

ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者

哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。 何も成し遂げることなく35年…… ついに前世の年齢を超えた。 ※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。 ※この小説は他サイトにも投稿しています。

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

巻き込まれ召喚・途中下車~幼女神の加護でチート?

サクラ近衛将監
ファンタジー
商社勤務の社会人一年生リューマが、偶然、勇者候補のヤンキーな連中の近くに居たことから、一緒に巻き込まれて異世界へ強制的に召喚された。万が一そのまま召喚されれば勇者候補ではないために何の力も与えられず悲惨な結末を迎える恐れが多分にあったのだが、その召喚に気づいた被召喚側世界(地球)の神様と召喚側世界(異世界)の神様である幼女神のお陰で助けられて、一旦狭間の世界に留め置かれ、改めて幼女神の加護等を貰ってから、異世界ではあるものの召喚場所とは異なる場所に無事に転移を果たすことができた。リューマは、幼女神の加護と付与された能力のおかげでチートな成長が促され、紆余曲折はありながらも異世界生活を満喫するために生きて行くことになる。 *この作品は「カクヨム」様にも投稿しています。 **週1(土曜日午後9時)の投稿を予定しています。**

酒好きおじさんの異世界酒造スローライフ

天野 恵
ファンタジー
酒井健一(51歳)は大の酒好きで、酒類マスターの称号を持ち世界各国を飛び回っていたほどの実力だった。 ある日、深酒して帰宅途中に事故に遭い、気がついたら異世界に転生していた。転移した際に一つの“スキル”を授かった。 そのスキルというのは【酒聖(しゅせい)】という名のスキル。 よくわからないスキルのせいで見捨てられてしまう。 そんな時、修道院シスターのアリアと出会う。 こうして、2人は異世界で仲間と出会い、お酒作りや飲み歩きスローライフが始まる。

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

家の庭にダンジョンができたので、会社辞めました。

希羽
ファンタジー
都内のブラックIT企業で働く社畜・佐藤健太(27歳)。 手取り18万、残業100時間。唯一の資産は、亡き祖母から相続した郊外のボロ戸建てだけ。 「このまま死ぬのかな……」 そう絶望していたある夜、庭の物置の裏に謎の穴が出現する。 ​そこは、なぜか最弱モンスターしか出ないのに、ドロップアイテムだけは最高ランクという、奇跡のボーナスダンジョンだった。 試しにスライムを叩いたら、出てきた宝石の査定額はなんと――【1,000,000円】。 ​「……え、これ一個で、俺の年収の3分の1?」 ​スマホアプリで即換金、ドローン配送で手間いらず。 たった10分の庭仕事で5000万円を稼ぎ出した健太は、翌朝、上司に辞表を叩きつけることを決意する。 ※本作は小説家になろうでも投稿しています。

処理中です...