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第100話 和解のメンチカツ
しおりを挟む「「「「ヒロ(さん)??」」」」
長老様達はびっくりしていたけど……私は、ここで。
襲撃されたことよりも、彼らにきちんと認識してもらいたいと思ったのだ!!
だから……起きかけていた、アヤカシさんの前に、料理のお皿を差し出したのだ。
「こ……れ、は……?」
「お店を壊すとかの前に、まず私の料理を食べてから決めてください」
持ってきたのは……お店で一番人気と言っていい、六角ボア肉のメンチカツだ。初見だとなんじゃこりゃだが……油と肉の香りは抜群。
ソースはないが、醤油だけでも……無しでも美味しい逸品に仕上げている。
アヤカシさんは、目を丸くしたけど……私は『さあ』と差し出したのだ。
「……いい、のか?」
「もちろんです。……雷の長老様、足離してください」
「……ヒロは、懐でかいなあ?」
ちょっと乱暴に、長老様が座らせてあげてから……私はアヤカシさんにお皿を渡した。斑模様が特徴だけど……チーター? みたいな感じ。顔つきは、一応人間ぽい姿にはしてあるけど。
お皿をしっかり持って……しばらくじーっと眺めていたけど、斑模様のある大きな手でメンチカツをしっかり持ち……口に入れてくれたわ。
「!?」
頬張っているから、すぐに言葉にはしてくれなかったけど……目でよくわかるわ。
『美味しい』か『まずい』かくらいは。
「いかがです?」
「!!」
ひと口からもぐもぐと頬張ってくれ、口いっぱいに入れてくれたら……思いっきり、首を縦に振った。どうやら、気に入ってもらえたようだ。
「そうじゃ、儂らが認めたヒトの子じゃ」
「……この里で、美味しいお料理を作ってくれる」
「であるな。すべて美味」
「そうじゃのぉ」
「……俺ら長老が認めた人間だぜ? 庇護してること、意味わかっただろ? 料理だけじゃねぇ、この度胸も認めてる」
「んで、あちきの大事なダチや!!」
皆の力強い言葉に、私は少し涙が出そうだった。
美女神様に怪我を治され、トリップもさせられても……ちゃんと、『居て良い存在』と認めてもらえたのだから!!
「……と、認めていただいています。それでも、ここを壊しますか?」
私はしっかりとアヤカシさんに向き合うと……彼は、思いっきり腰を折ったのだ。
「済まなかった!! 馬鹿な事しでかして!!」
「「「「「兄貴!?」」」」」
外にもアヤカシさんらがいるのか、めちゃくちゃ大きい声が聞こえてきた。どうやら、団体で来ていたようだ。
「……大丈夫ですよ? 私より料理を認めてもらえたなら、嬉しい事です」
「! 姐さん!!」
「へ?」
「「「「「姐さん!!」」」」」
ガシッと手を掴まれたかと思えば、アヤカシさんにそんな呼び方をされてしまったのでした。
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