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第101話 ジビエのゼラチンゼリー
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とかなんとかまあ、色々あったお陰で。
「性格良すぎやで、ヒロは~」
騒動が無事に幕を引き、お店の修復を……クレハが『ツクモ』に久しぶりにお願いしてから、お店は一旦休業。
長老様達は……あのアヤカシさんに、折檻ではないけど『お話』をする必要があるらしく。舎弟さん達も一緒に連れて行った。軽くはないけど、適度に反省させてほしいわ。
私への直接被害は、雷の長老様がお店を焦がした程度だし。
「……そうだな。ヒロは、人が良過ぎる」
「そんなことないですよ?」
スインドさんのお陰で……雷が怖くなかったのも重要だ。
好きな人に、対処法とは言え抱きしめられたのは色々びっくりしちゃったけど。
あれがなきゃ……私はきっと泣き叫んでいただろうから。
「……ところで。あのアヤカシの領分だと言うのは?」
「おん。斑言うアヤカシらの領域なのはほんまや。雷のよりはマシやけど、酒をかっくらって……ここいらをめちゃくちゃにしたから、ほとんど放棄しとったんに。あほんだらやわ」
「……けど、開店してすぐじゃなかったね?」
「まあ……そこは阿呆過ぎなかっただけかもしれんけど」
クレハはぷりぷり怒っていたので、気分転換のために……私は二人にデザートを出すことにした。
プルプルフルフルの……半透明のピンクの塊。
「はい、デザート」
「にゃ? これなんなん?」
「まだ試作中だけど……煮凝りをベースにした『ゼリー』ってお菓子」
「……菓子、か?」
完全なゼラチン抽出が、まだ試行錯誤中なので……味も木苺をベースに作ってみたのだ。
固さがどうなのか、自分でも試食したが……ジビエのゼラチンは思った以上に固い。それを少しマシにしてみたのが、このゼリーだ。
「スプーンで食べてね?」
「にゃー」
クレハ達に渡すと……すくったら、ふるんと震えた。
わくわくしていたクレハはすぐに口に入れると……ぱあっと顔を輝かせたわ。スインドさんは、首を何度も縦に振った。
「……すごいな」
「ふるふるするわ~! 甘酸っぱいし、ええわぁ。ヒロぉ、これ好きやわー!!」
「固さはどう?」
「? ええと思うけど」
「たしかに、柔らかいが」
「ちょっと、サクッとしません?」
「……言われてみれば」
「ヒロがいたとこやと……もっと柔いん?」
「うん。もっとね?」
私も自分のをひと口食べたけど……最初に作ったのよりマシだが、まだこんにゃくのような弾力のある食感が残っている。
ゼラチンは、基本的に豚由来の成分だし……六角ボアでも、要研究ね?
「もっと? これ以上に柔いん?」
「ふるんと、ぷるんとしてるわ」
「にゃー。食べたいわぁ」
「まだお店に出すのに、試作必要だけど」
「……これはこれで良いとも思うが」
「妥協はしませんから」
お店の運営も……なんとか軌道に乗ってきている。
常連さん達も、長老様達以外にも増えてきている。
だからとは言え……ありきたりの料理を提供するわけにはいかない。
だから……日夜努力するのだ。
その道のりの途中で……スインドさんとの別れがあっても。
私は……アヤカシの里で、小料理屋を続けていくのだ。
「性格良すぎやで、ヒロは~」
騒動が無事に幕を引き、お店の修復を……クレハが『ツクモ』に久しぶりにお願いしてから、お店は一旦休業。
長老様達は……あのアヤカシさんに、折檻ではないけど『お話』をする必要があるらしく。舎弟さん達も一緒に連れて行った。軽くはないけど、適度に反省させてほしいわ。
私への直接被害は、雷の長老様がお店を焦がした程度だし。
「……そうだな。ヒロは、人が良過ぎる」
「そんなことないですよ?」
スインドさんのお陰で……雷が怖くなかったのも重要だ。
好きな人に、対処法とは言え抱きしめられたのは色々びっくりしちゃったけど。
あれがなきゃ……私はきっと泣き叫んでいただろうから。
「……ところで。あのアヤカシの領分だと言うのは?」
「おん。斑言うアヤカシらの領域なのはほんまや。雷のよりはマシやけど、酒をかっくらって……ここいらをめちゃくちゃにしたから、ほとんど放棄しとったんに。あほんだらやわ」
「……けど、開店してすぐじゃなかったね?」
「まあ……そこは阿呆過ぎなかっただけかもしれんけど」
クレハはぷりぷり怒っていたので、気分転換のために……私は二人にデザートを出すことにした。
プルプルフルフルの……半透明のピンクの塊。
「はい、デザート」
「にゃ? これなんなん?」
「まだ試作中だけど……煮凝りをベースにした『ゼリー』ってお菓子」
「……菓子、か?」
完全なゼラチン抽出が、まだ試行錯誤中なので……味も木苺をベースに作ってみたのだ。
固さがどうなのか、自分でも試食したが……ジビエのゼラチンは思った以上に固い。それを少しマシにしてみたのが、このゼリーだ。
「スプーンで食べてね?」
「にゃー」
クレハ達に渡すと……すくったら、ふるんと震えた。
わくわくしていたクレハはすぐに口に入れると……ぱあっと顔を輝かせたわ。スインドさんは、首を何度も縦に振った。
「……すごいな」
「ふるふるするわ~! 甘酸っぱいし、ええわぁ。ヒロぉ、これ好きやわー!!」
「固さはどう?」
「? ええと思うけど」
「たしかに、柔らかいが」
「ちょっと、サクッとしません?」
「……言われてみれば」
「ヒロがいたとこやと……もっと柔いん?」
「うん。もっとね?」
私も自分のをひと口食べたけど……最初に作ったのよりマシだが、まだこんにゃくのような弾力のある食感が残っている。
ゼラチンは、基本的に豚由来の成分だし……六角ボアでも、要研究ね?
「もっと? これ以上に柔いん?」
「ふるんと、ぷるんとしてるわ」
「にゃー。食べたいわぁ」
「まだお店に出すのに、試作必要だけど」
「……これはこれで良いとも思うが」
「妥協はしませんから」
お店の運営も……なんとか軌道に乗ってきている。
常連さん達も、長老様達以外にも増えてきている。
だからとは言え……ありきたりの料理を提供するわけにはいかない。
だから……日夜努力するのだ。
その道のりの途中で……スインドさんとの別れがあっても。
私は……アヤカシの里で、小料理屋を続けていくのだ。
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