【完結】異世界で小料理屋さんを自由気ままに営業する〜おっかなびっくり魔物ジビエ料理の数々〜

櫛田こころ

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第106話 大事なこと

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 ユキトさんとのラブラブタイムがひと段落つくと……ザックさんは、私にいつもの手紙を渡してきた。


「……スインドさんの」

「早く読んであげなー?」


 その頃には、お店の混み具合もだいぶ落ち着いてきたので……イルアさんとクレハに片付けをお願いしてから、ゆっくり読むことにした。

 文面の最初には、『愛するヒロへ』って嬉し恥ずかしな出だしがあるんだけど。


「……へ?」


 半分くらい読んだところで、目に飛び込んできた文面に驚きを隠せなかった。

 だって、だって。


【本店を閉めてきた。そちらの里で、何でも屋を開けるように……長老殿達との話し合いが整った。近いうちに、里へ行こう】


 だなんてあったから、驚かずにいられないでしょう!?


「あはは~!? ヒロならそんな反応すると思ったぁ!!」


 ザックさんは内容を知っているのか、ゲラゲラ笑っていたけど。私は、思わずぐーぱんしちゃったが!


「なんで、いきなりこんなことに!?」

「いってぇ!! ……チルットに帰ってから、あいつ考えてたぽい」

「えぇえ!?」


 私とこ、恋人になったから?

 たしかに……付き合うことにはなったけど。スインドさんは、先の事まで考えて……選択をされた? 私に一切相談しなかったのは、もしかして。


「あ。ヒロに反対されるかもって、相談しなかったって」

「なんでですか!?」

「親から受け継いだ店、ある意味畳むからねぇ?」

「そうですよ!!」


 あんな大きくて、ご立派なお店を……畳んだ?

 もう、あそこがないってこと??

 そんな重大なことを……なんで、私に言わずに決めてしまったんだろうか。


「即決しないと……自分が、後悔すると思ったからだ」


 耳通りの良い……低い声。

 大きな、手に……肩を掴まれた。

 引き寄せられ、背に当たった固い感触の後に……温かさが伝わってくる。

 首を動かせば、優しく微笑む……大好きな顔が。


「す……い、んど……さん」

「……ただいま、ヒロ」


 いつ、来たのとか。

 どうして……お店を畳んだとか。

 色々言いたいことがあったのに。

 そんな……優しい声と顔が目の前にあったら。


「…………おかえりなさい!」


 体の向きを変えて、嬉しさを表すかのように強く抱きついたのだった。

 頭より、心の嬉しさの方が正直になっちゃったみたい……。
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