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第23話 再生編集の始まり 弍
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地上側では、始まりが起きたと濁流の中で感知は出来たが。
何処で一端、この濁流の中から出ればいいのかわからないでいたふたり。朱里が綿の子たちと、地下に流した蜜の粒のうち。最も気に入っていた『武器』の具現化に過ぎないが、それぞれ役割はきちんと成せるように『記憶』は植え付けてある。
上部に居る『朱里』を守護すべく、崩壊が始まったこの地球という『現実側』を整えなくてはいけないのだ。今でこそ、垂れ流しにした蜜の温もりと中和して水の冷たさは落ち着いているのだが。
ある程度の蜜が流れていけば、その水温も下がって凍ってしまうかもしれない。
「いや~? 僕らは水中でしゃべれるけど?? 成様来るまで、ここいら固めればいいの??」
「……わからん」
「ちょっと!? 僕ら『武器』でも中身は向こうの魂の表面借りているんだから!! 生半可な手法でここにいるわけじゃないんだよ!! 他はもう接着剤代わりに長されまくっちゃったし!」
蜜と水の中に広がった、他の人型のような姿はもう何処にもない。とっくの昔に流されてしまい、役目があるところまで行っているのかもしれない。
水の中で叩いても意味がないのはわかるが、『後家兼光』は『倶利伽羅江』を叩くような素振りをした。大剣を背負う彼は、何か考えるような素振りをしている気がしたが。ひとまず引っ張り、引き上げれば自分たちは浮くことが出来ていた。
そして、間一髪なのか。水が所々凍り始めてきたため、浸かっていたら抜け出せなかったと安堵しそうになる。
「……すまん。助かった」
「間に合ったからいいけど。なに? 何か記憶が戻ったとか?」
武器であれ、魂の表面の記憶は『誰か』は互いにわからない。倶利伽羅江は後家兼光に頷いたあとに、何故か思いっきり謝罪したのだった。
「頼む! 俺に今ある『竜王』の記憶がたしかなら!! 上にいる朱里様には絶対俺は近づけん!! 苦手だが、遠距離のサポートをさせてくれ!」
「は? なして?? 成様の細君だから、僕とお前でここの補強はしなきゃ」
「ダメだ! 絶対ダメだ!!」
がたいのいい男の必死の謝罪は珍しいが、表面の記憶に障害があるのもまた珍しい。時間はないが、連携は必須なので少し確認することにした。
「……『竜王』って、どの竜王? お前の管轄だと、北じゃないの??」
「………………西方翠宮だ」
「弾丸級に上に飛べ!! 室内環境整備は僕がするから!!」
「頼んだ!!」
某風魔法のように、倶利伽羅江は弾丸のように瞬間的に上へと飛んで行ってしまった。後家兼光も同時に飛んだが、向かう場所は決まっているので穴を見つけたらその中に突入。
既に氷漬けになってはいたが、朱里が眠っていた。
外壁の補強は倶利伽羅江が率先して引き受けてくれたので、後家兼光はこの中をもう少し補強しなくてはいけない。
「うっわ~……倶利伽羅江がいたら、惚れちゃうタイプ」
ちらっと覗いてから、他に周りを固めれるぬいぐるみか何かないかを探しつつ、後家兼光自身も魂の表面を整理してみる。複雑な仕組みにはなっていたが倶利伽羅江とは違った。
倶利伽羅江に刻まれている『竜王の記憶』は、これまで成が狭間で培ってきた『修行の証』そのもの。つまり、武器なのに本人より先に最愛の女を垣間見て『触れて』はならないのだ。
再生の編集が完了するまで、お互いを迎えに行けない。
それがこの仕事の『定時』のようなものなので、規則を破れないのだ。破ったら、災害がさらに酷くなるのは過去にあったために。社員一同頑張る必要性が出てしまう。それはもうひと組ひと組、慎重に『お見合い』してきたのだから、分裂した記憶であれ、編集長に逆らってはいけないのだ。
「頑張るぞ~! 僕も『マチャ』の記憶預かっているから! 返すまで、お姉ちゃんの外側を護るぞー!!」
その『マチャ』こと、元は兵部拓也はここから抜け出した政に預けられているのだった。
何処で一端、この濁流の中から出ればいいのかわからないでいたふたり。朱里が綿の子たちと、地下に流した蜜の粒のうち。最も気に入っていた『武器』の具現化に過ぎないが、それぞれ役割はきちんと成せるように『記憶』は植え付けてある。
上部に居る『朱里』を守護すべく、崩壊が始まったこの地球という『現実側』を整えなくてはいけないのだ。今でこそ、垂れ流しにした蜜の温もりと中和して水の冷たさは落ち着いているのだが。
ある程度の蜜が流れていけば、その水温も下がって凍ってしまうかもしれない。
「いや~? 僕らは水中でしゃべれるけど?? 成様来るまで、ここいら固めればいいの??」
「……わからん」
「ちょっと!? 僕ら『武器』でも中身は向こうの魂の表面借りているんだから!! 生半可な手法でここにいるわけじゃないんだよ!! 他はもう接着剤代わりに長されまくっちゃったし!」
蜜と水の中に広がった、他の人型のような姿はもう何処にもない。とっくの昔に流されてしまい、役目があるところまで行っているのかもしれない。
水の中で叩いても意味がないのはわかるが、『後家兼光』は『倶利伽羅江』を叩くような素振りをした。大剣を背負う彼は、何か考えるような素振りをしている気がしたが。ひとまず引っ張り、引き上げれば自分たちは浮くことが出来ていた。
そして、間一髪なのか。水が所々凍り始めてきたため、浸かっていたら抜け出せなかったと安堵しそうになる。
「……すまん。助かった」
「間に合ったからいいけど。なに? 何か記憶が戻ったとか?」
武器であれ、魂の表面の記憶は『誰か』は互いにわからない。倶利伽羅江は後家兼光に頷いたあとに、何故か思いっきり謝罪したのだった。
「頼む! 俺に今ある『竜王』の記憶がたしかなら!! 上にいる朱里様には絶対俺は近づけん!! 苦手だが、遠距離のサポートをさせてくれ!」
「は? なして?? 成様の細君だから、僕とお前でここの補強はしなきゃ」
「ダメだ! 絶対ダメだ!!」
がたいのいい男の必死の謝罪は珍しいが、表面の記憶に障害があるのもまた珍しい。時間はないが、連携は必須なので少し確認することにした。
「……『竜王』って、どの竜王? お前の管轄だと、北じゃないの??」
「………………西方翠宮だ」
「弾丸級に上に飛べ!! 室内環境整備は僕がするから!!」
「頼んだ!!」
某風魔法のように、倶利伽羅江は弾丸のように瞬間的に上へと飛んで行ってしまった。後家兼光も同時に飛んだが、向かう場所は決まっているので穴を見つけたらその中に突入。
既に氷漬けになってはいたが、朱里が眠っていた。
外壁の補強は倶利伽羅江が率先して引き受けてくれたので、後家兼光はこの中をもう少し補強しなくてはいけない。
「うっわ~……倶利伽羅江がいたら、惚れちゃうタイプ」
ちらっと覗いてから、他に周りを固めれるぬいぐるみか何かないかを探しつつ、後家兼光自身も魂の表面を整理してみる。複雑な仕組みにはなっていたが倶利伽羅江とは違った。
倶利伽羅江に刻まれている『竜王の記憶』は、これまで成が狭間で培ってきた『修行の証』そのもの。つまり、武器なのに本人より先に最愛の女を垣間見て『触れて』はならないのだ。
再生の編集が完了するまで、お互いを迎えに行けない。
それがこの仕事の『定時』のようなものなので、規則を破れないのだ。破ったら、災害がさらに酷くなるのは過去にあったために。社員一同頑張る必要性が出てしまう。それはもうひと組ひと組、慎重に『お見合い』してきたのだから、分裂した記憶であれ、編集長に逆らってはいけないのだ。
「頑張るぞ~! 僕も『マチャ』の記憶預かっているから! 返すまで、お姉ちゃんの外側を護るぞー!!」
その『マチャ』こと、元は兵部拓也はここから抜け出した政に預けられているのだった。
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