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ぬらりひょん

第6話 クリスマスプレゼント

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 サンタクロースが、湖沼こぬま美兎みうのために特別に用意したクリスマスプレゼント。

 ぬらりひょんの間半まなかは中身を知らなかったが、サンタクロースが言うには美兎にとっては特別なプレゼントだと教わった。

 だから、演舞を邪魔するくらいの強烈な光がイベント会場を包んでも、間半はステージの上で演舞を止めるだけだった。


「な、なんだこの光!?」
「まぶしい!!」
真穂まほ様が憑いている人間の方だ!!?」
「全然見えない!? なに!?」


 集まったあやかし達でも、大半の連中は理解していないだろう。この光の意味が、あの人間の女が解放したサンタクロースのプレゼントの意味が。

 しかし、眩しいことには変わりないので……間半も扇子で遮ってみたがまるで意味がない。

 とりあえず、見届けるためにステージから跳躍して美兎らの方に距離を詰めた。


「ど、どどど、どうしよう!?」


 近づくにつれて、美兎が慌てている様子が見えた。サンタクロースからの小さな小箱。あれは条件が揃わなければ開かない仕組みだったのか。相変わらず、手がこんでいるとしか思えない。


「まっぶし!?」


 守護に憑いている座敷童子の真穂ですら、触れることが出来ないのだろう。であれば、間半が手助けするしかない。


「お嬢さん、落ち着いて」
「!? まなか、さん!!」


 間半が声をかけても、光が溢れているこの状況では顔も見えないのだろう。間半には見えているので、落ち着かせるために肩を叩いてやった。


「君の願い、君の想い。相手を知りたくて発動したのだろうね? とにかく、この光は尋常じゃない。君がまず落ち着かなくては」
「どう、すれば……!?」
「深呼吸の要領でいいよ? まず落ち着いて」
「……スーハー」


 間半もある意味適当なことを言ってしまったが、それが正解だったのか光が徐々に消えていった。完全に消えた後に美兎の手を見ると……赤い小箱の中には一組のアクセサリーが入っていた。


「ふむ。そこの猫坊主に合わせてか? あいつも粋なことをするねえ?」
「僕……ですか?」
「相変わらず、色恋事には鈍感過ぎるね? 全然気づいていなかったのかい?」
「ま、間半さん!?」
「大事なことだよ、お嬢さん? 今の光の理由はこの猫坊主が半分以上原因だったんだから」


 間半がきっぱり言うと、猫坊主と呼ばれる火坑かきょうは水色の目を大きく開いた。


「え……僕、が?」
「真摯に答えてあげなよ? ここの収集は僕が担おう」
「! ありがとうございます……」


 そして、火坑はまだあたふたしている美兎の手を掴み、何処かへと歩いて行ったのだ。


「なぁに? 御大おんたいと総大将もグル??」


 真穂が聞いてきたので、間半は扇子を閉じてから顎に当てた。


「ふふ。クリスマスは終わっても、素敵な事じゃないか?」


 素敵な素敵なクリスマスプレゼント。

 サンタクロースからの真の贈り物を得た美兎ならば、間違った使い方をしないだろう。

 とりあえず、ここであっけらかんとなっているあやかし達の正気を戻すのに、間半はまたステージへと戻って行く。


「くく。メリークリスマス!!」


 あの生意気な猫坊主に人間の恋人。

 だが、ただの人間でないのは美兎もだが火坑も気づくだろうか。
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