302 / 730
第302話 こちらの恋路①
しおりを挟む
ケントが、エリーと誕生日デートをしているとは言え。
「……のどかだなあ」
「のんびりだねぇ?」
私には直接的に関係がないので、今日も今日とてポーション作りに勤しむだけだが。
ジェイドがいることで片付けは楽になった。契約関係で、創始の大精霊を使役することになったが……特に彼は雑務を気にしていないのか、今日もコーヒーを淹れてくれた。
下手なカフェに行くより断然美味い!
「……ケントはうまくいっているだろうか?」
「決め手には欠けそうだけど」
「……そこだな」
特殊な条件で転生させられたとは言え……ケントは大人と子供の中間くらいの青年だ。
こちらの世界では成人しているが、あちらではまだまだ子供の一歩手前。
であれば、指輪の意味を本質的にわかっているのだろうか?
エンゲージリング……のつもりではなさそうだったが。
「……そう言う君はいいの?」
コーヒーをまたひと口飲むと、ジェイドがじーっとこちらを見つめてきたのだった。
「うん?」
「君も人間だから、いい歳してるじゃない? 誰かいないの?」
「……いるように見えるか?」
顔立ちは整えられてしまったが、下手に言い寄ってくる肉の塊らを相手にしている気にはなれん。
ロイズのように、ルゥに気があるわけでも全然ない。
だから……未だ独り身ではあるのだ。
「全然見えない」
って、ジェイドにもきっぱり言われてしまうからなあ?
それくらい……女性には縁がない。
幼馴染みらは特殊過ぎて……ルゥにはそう言った感情を持ったことがないのだ。諦めきれないロイズは辛抱強い人間だ。
「私はこのままでいいさ。自分でもなんだが、面倒な性格の野郎と一緒になりたい女性はいないだろう?」
「自分で言っちゃうんだ」
「下手に自覚がないよりマシだ」
「まあ、そうだけど」
とここで、来店の知らせがあるドアベルが鳴った。
鳴り具合から、急ぎの客ではない感じはしたのだが。
「こんにちは、エヴァンス先生」
薄青の落ち着いた色合いの長い髪。
少し線は細いが、浮かべているのは笑顔。
私を安心させてくれる要素が多い女性だ。
歳は、たしかケントらより少し上だったか?
「いらっしゃい、レイア」
この子は定期的に私のポーションを購入してくれる女性。
あの下品な女共に比べたら、別枠と言っていいくらい好印象を持てる女性だ。
ただ……彼女は。
「すみません、また目に光が届かなくなってしまって」
目が少し見えにくい。
先天性のものらしいが、完治は魔法医でもポーションでも難しい。
私のポーションでは、悪化を少し緩められる程度だが。
「いや、早く来てくれる分は大事ない。悪化してからの方が治りにくいからな」
ジェイドに彼女への茶かコーヒーを頼み、彼女に処方してあるポーションを取りに行く。
見つかれば、彼女から代金をもらい……すぐに試してもらうと。心なしか、目の瞳孔が輝いているように見えた。
「……さすがは、先生のポーションです」
にっこり笑顔になると、少しばかりこちらの内面が温かになっていくようだった。
気の優しい女性の笑顔は和むほどだ。
「とは言え、多用し過ぎもいかんな。私も改良点を探してみよう」
「いえ。今は少し先生のお顔も見えていますし、大丈夫です」
それでは……と、礼儀正しく頭を下げ、帰っていった。
彼女がここに通うようになったのはここ数ヶ月だが……何か力になれないだろうか?
A級錬金術師とは言えど、患者を完治させられるのは……私なんかよりケントの方が上だ。
となれば……ケントに、改めて頼ってもいいかもしれん。
「……ヴィンクス。あの子、特別視してない?」
「……は?」
黙ってたジェイドが、何故か意味深なセリフを口にしたのだった。
「……のどかだなあ」
「のんびりだねぇ?」
私には直接的に関係がないので、今日も今日とてポーション作りに勤しむだけだが。
ジェイドがいることで片付けは楽になった。契約関係で、創始の大精霊を使役することになったが……特に彼は雑務を気にしていないのか、今日もコーヒーを淹れてくれた。
下手なカフェに行くより断然美味い!
「……ケントはうまくいっているだろうか?」
「決め手には欠けそうだけど」
「……そこだな」
特殊な条件で転生させられたとは言え……ケントは大人と子供の中間くらいの青年だ。
こちらの世界では成人しているが、あちらではまだまだ子供の一歩手前。
であれば、指輪の意味を本質的にわかっているのだろうか?
エンゲージリング……のつもりではなさそうだったが。
「……そう言う君はいいの?」
コーヒーをまたひと口飲むと、ジェイドがじーっとこちらを見つめてきたのだった。
「うん?」
「君も人間だから、いい歳してるじゃない? 誰かいないの?」
「……いるように見えるか?」
顔立ちは整えられてしまったが、下手に言い寄ってくる肉の塊らを相手にしている気にはなれん。
ロイズのように、ルゥに気があるわけでも全然ない。
だから……未だ独り身ではあるのだ。
「全然見えない」
って、ジェイドにもきっぱり言われてしまうからなあ?
それくらい……女性には縁がない。
幼馴染みらは特殊過ぎて……ルゥにはそう言った感情を持ったことがないのだ。諦めきれないロイズは辛抱強い人間だ。
「私はこのままでいいさ。自分でもなんだが、面倒な性格の野郎と一緒になりたい女性はいないだろう?」
「自分で言っちゃうんだ」
「下手に自覚がないよりマシだ」
「まあ、そうだけど」
とここで、来店の知らせがあるドアベルが鳴った。
鳴り具合から、急ぎの客ではない感じはしたのだが。
「こんにちは、エヴァンス先生」
薄青の落ち着いた色合いの長い髪。
少し線は細いが、浮かべているのは笑顔。
私を安心させてくれる要素が多い女性だ。
歳は、たしかケントらより少し上だったか?
「いらっしゃい、レイア」
この子は定期的に私のポーションを購入してくれる女性。
あの下品な女共に比べたら、別枠と言っていいくらい好印象を持てる女性だ。
ただ……彼女は。
「すみません、また目に光が届かなくなってしまって」
目が少し見えにくい。
先天性のものらしいが、完治は魔法医でもポーションでも難しい。
私のポーションでは、悪化を少し緩められる程度だが。
「いや、早く来てくれる分は大事ない。悪化してからの方が治りにくいからな」
ジェイドに彼女への茶かコーヒーを頼み、彼女に処方してあるポーションを取りに行く。
見つかれば、彼女から代金をもらい……すぐに試してもらうと。心なしか、目の瞳孔が輝いているように見えた。
「……さすがは、先生のポーションです」
にっこり笑顔になると、少しばかりこちらの内面が温かになっていくようだった。
気の優しい女性の笑顔は和むほどだ。
「とは言え、多用し過ぎもいかんな。私も改良点を探してみよう」
「いえ。今は少し先生のお顔も見えていますし、大丈夫です」
それでは……と、礼儀正しく頭を下げ、帰っていった。
彼女がここに通うようになったのはここ数ヶ月だが……何か力になれないだろうか?
A級錬金術師とは言えど、患者を完治させられるのは……私なんかよりケントの方が上だ。
となれば……ケントに、改めて頼ってもいいかもしれん。
「……ヴィンクス。あの子、特別視してない?」
「……は?」
黙ってたジェイドが、何故か意味深なセリフを口にしたのだった。
23
あなたにおすすめの小説
神様の忘れ物
mizuno sei
ファンタジー
仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。
わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。
おっさん料理人と押しかけ弟子達のまったり田舎ライフ
双葉 鳴
ファンタジー
真面目だけが取り柄の料理人、本宝治洋一。
彼は能力の低さから不当な労働を強いられていた。
そんな彼を救い出してくれたのが友人の藤本要。
洋一は要と一緒に現代ダンジョンで気ままなセカンドライフを始めたのだが……気がつけば森の中。
さっきまで一緒に居た要の行方も知れず、洋一は途方に暮れた……のも束の間。腹が減っては戦はできぬ。
持ち前のサバイバル能力で見敵必殺!
赤い毛皮の大きなクマを非常食に、洋一はいつもの要領で食事の準備を始めたのだった。
そこで見慣れぬ騎士姿の少女を助けたことから洋一は面倒ごとに巻き込まれていく事になる。
人々との出会い。
そして貴族や平民との格差社会。
ファンタジーな世界観に飛び交う魔法。
牙を剥く魔獣を美味しく料理して食べる男とその弟子達の田舎での生活。
うるさい権力者達とは争わず、田舎でのんびりとした時間を過ごしたい!
そんな人のための物語。
5/6_18:00完結!
転生したけど平民でした!もふもふ達と楽しく暮らす予定です。
まゆら
ファンタジー
回収が出来ていないフラグがある中、一応完結しているというツッコミどころ満載な初めて書いたファンタジー小説です。
温かい気持ちでお読み頂けたら幸い至極であります。
異世界に転生したのはいいけど悪役令嬢とかヒロインとかになれなかった私。平民でチートもないらしい‥どうやったら楽しく異世界で暮らせますか?
魔力があるかはわかりませんが何故か神様から守護獣が遣わされたようです。
平民なんですがもしかして私って聖女候補?
脳筋美女と愛猫が繰り広げる行きあたりばったりファンタジー!なのか?
常に何処かで大食いバトルが開催中!
登場人物ほぼ甘党!
ファンタジー要素薄め!?かもしれない?
母ミレディアが実は隣国出身の聖女だとわかったので、私も聖女にならないか?とお誘いがくるとか、こないとか‥
◇◇◇◇
現在、ジュビア王国とアーライ神国のお話を見やすくなるよう改稿しております。
しばらくは、桜庵のお話が中心となりますが影の薄いヒロインを忘れないで下さい!
転生もふもふのスピンオフ!
アーライ神国のお話は、国外に追放された聖女は隣国で…
母ミレディアの娘時代のお話は、婚約破棄され国外追放になった姫は最強冒険者になり転生者の嫁になり溺愛される
こちらもよろしくお願いします。
最底辺の転生者──2匹の捨て子を育む赤ん坊!?の異世界修行の旅
散歩道 猫ノ子
ファンタジー
捨てられてしまった2匹の神獣と育む異世界育成ファンタジー
2匹のねこのこを育む、ほのぼの育成異世界生活です。
人間の汚さを知る主人公が、動物のように純粋で無垢な女の子2人に振り回されつつ、振り回すそんな物語です。
主人公は最強ですが、基本的に最強しませんのでご了承くださいm(*_ _)m
本の知識で、らくらく異世界生活? 〜チート過ぎて、逆にヤバい……けど、とっても役に立つ!〜
あーもんど
ファンタジー
異世界でも、本を読みたい!
ミレイのそんな願いにより、生まれた“あらゆる文書を閲覧出来るタブレット”
ミレイとしては、『小説や漫画が読めればいい』くらいの感覚だったが、思ったよりチートみたいで?
異世界で知り合った仲間達の窮地を救うキッカケになったり、敵の情報が筒抜けになったりと大変優秀。
チートすぎるがゆえの弊害も多少あるものの、それを鑑みても一家に一台はほしい性能だ。
「────さてと、今日は何を読もうかな」
これはマイペースな主人公ミレイが、タブレット片手に異世界の暮らしを謳歌するお話。
◆小説家になろう様でも、公開中◆
◆恋愛要素は、ありません◆
帰国した王子の受難
ユウキ
恋愛
庶子である第二王子は、立場や情勢やら諸々を鑑みて早々に隣国へと無期限遊学に出た。そうして年月が経ち、そろそろ兄(第一王子)が立太子する頃かと、感慨深く想っていた頃に突然届いた帰還命令。
取り急ぎ舞い戻った祖国で見たのは、修羅場であった。
#密売じゃありません!ミツバイギフトで最高に美味しい果物作ったら、領主令息が夫になった件について
国府知里
ファンタジー
「がんばっても報われなかったあなたに」“スローライフ成り上がりファンタジー”
人生に疲れ果てた北村めぐみは、目覚めると異世界の農村で少女グレイスとして転生していた。この世界では6歳で神から“ギフト”を授かるという。グレイスが得た謎の力「ミツバイ」は、果物を蜜のように甘くするという奇跡の力だった!村を、領地を、やがて王国までも変えていく果樹栽培の物語がいま始まる――。美味しさが未来を育てる、異世界農業×スローライフ・ファンタジー!
【改訂版】槍使いのドラゴンテイマー ~邪竜をテイムしたのでついでに魔王も倒しておこうと思う~
こげ丸
ファンタジー
『偶然テイムしたドラゴンは神をも凌駕する邪竜だった』
公開サイト累計1000万pv突破の人気作が改訂版として全編リニューアル!
書籍化作業なみにすべての文章を見直したうえで大幅加筆。
旧版をお読み頂いた方もぜひ改訂版をお楽しみください!
===あらすじ===
異世界にて前世の記憶を取り戻した主人公は、今まで誰も手にしたことのない【ギフト:竜を従えし者】を授かった。
しかしドラゴンをテイムし従えるのは簡単ではなく、たゆまぬ鍛錬を続けていたにもかかわらず、その命を失いかける。
だが……九死に一生を得たそのすぐあと、偶然が重なり、念願のドラゴンテイマーに!
神をも凌駕する力を持つ最強で最凶のドラゴンに、
双子の猫耳獣人や常識を知らないハイエルフの美幼女。
トラブルメーカーの美少女受付嬢までもが加わって、主人公の波乱万丈の物語が始まる!
※以前公開していた旧版とは一部設定や物語の展開などが異なっておりますので改訂版の続きは更新をお待ち下さい
※改訂版の公開方法、ファンタジーカップのエントリーについては運営様に確認し、問題ないであろう方法で公開しております
※小説家になろう様とカクヨム様でも公開しております
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる