最強の剣がフランスパン!?〜最弱冒険者の無双冒険録〜

櫛田こころ

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第五章 ダンジョン突入

第3話 ジェフ=リジェクター

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 ジェフ=リジェクター。

 熟練もだが、若手冒険者でも大抵の人間は知っているだろう。

 整った容姿に体格もあるけど、背負う槍は聖槍と呼ばれる特別な槍で。手に入れた経緯は謎とされているが、その聖槍から繰り出す攻撃は……一振りで魔猪とかなら吹き飛ばすほどの威力と伝え聞く。

 その実力に、数多のパーティーからの勧誘を受けるが、ソロでいることを貫き、ランクも聖槍を所持していてもCで止まっているらしい。その理由だけは知られているが『面倒』だそうだ。


(そんな超有名人さんが、なんで僕の肩叩いたの!?)


 それに、僕……と言うか、フランツを気にしている??

 僕がびっくりして、ジェフさんの名前を呼ぶと彼は人懐っこい笑顔を見せてくれた。


「ま、そこそこ名は知られているからなあ? お前さんは?」

「え……?」

「ランクはいいから、名前。聞きてぇんだよ」

「そちらの方は、トラディス=クレイグさんですの」

「ん? エルフの嬢ちゃん?」

「はいですの」


 僕の代わりに、マシュさんが教えてしまった!?

 まあ、フランツの素性がバレるよりはいいかな??


「ペア? パーティーじゃねぇよな?」

「トラディスさんは、私の護衛さんですの」

「ほう? このダンジョンに??」

「その……ギルマスさんからの依頼で」

「なーるほど? 面白い」


 何が面白いのかさっぱりわからないんですけど??


【やーな、予感するわ】


 フランツのテレパシーに同感するくらい、僕も嫌な予感しかしない!!


「俺もついて行こうか?」

「「え??」」

【ほらな?】


 何ですと!?

 ジェフさんが同行!?

 噂だとこの人ソロ中心の活動って聞くのに!!?


「嬢ちゃんもだが、トラディス……だったか? あんまダンジョン慣れしてねぇってさっき聞こえたからなあ? 俺はランクはともかく、ダンジョンにはまあまあ行き慣れてはいる。が、ここはペア以上の挑戦者じゃねぇとしんどいときた。だったら、俺の攻略ついでに同行させてくれ」

「まあ、ドロップアイテムが目的ですの?」

「違う違う。俺の相棒はこの槍だけだ。素材とかは特に興味ねぇ」


 たしかに……聖槍を持っているんだから並大抵の武器じゃ、満足しないよね?

 僕も、フランツと出会わなきゃ……あの捕まったパーティーで今も奴隷扱いされていたもん。


「マシュさん、どうします? この方は、僕ら冒険者の間では有名なんです。実力もたしかです」

「そうですの? 私はトラディスさんで十分ですが」

「ま、後ろから勝手についていくより、同行の方が聞こえはいいだろ? アイテム回収とかの邪魔は基本的にしない」

「……わかりましたの。ですが、報酬などはあとで私の叔父であるギルマスに言ってくださいですの」

「金には困ってねぇが……まあ、手助けしたらそうなるわな? わかった」


 と言うわけで、ふたりだけの突入のつもりが、超有名冒険者も加わっての攻略となってしまった!!?

 ただ、入り口に着くと……ジェフさんが僕だけを呼んで内緒話するようにマシュさんから離した。


「ジェフさん?」

「……トラディス。その魔剣…… 知性のある武器インテリジェンス・ウェポンだろ??」

「え!?」


 どう言うわけか、ジェフさんにはフランツのことがバレていた!!?
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