最強の剣がフランスパン!?〜最弱冒険者の無双冒険録〜

櫛田こころ

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第十九章 出戻り⑤

第4話 ダンジョンマスターの謝罪から

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『……すみませんでした』


 何度も、コアさんから飛び蹴りをされたダンジョンマスターさんは……コアさんが『絶対何もしない?』と脅し文句のようなお叱りを受けてから、僕らの前で、床に頭を擦り付けるようにして……謝ってくれた。

 どうも、無くなりかけていた魔素の関係で……逆に気分が高揚してしまい、僕からフランツを奪い返そうとしたんだって。そこで、レイザーさんの魔眼を見た時には……もうどうしようか、めちゃくちゃ慌てたらしく、僕にあの三つ首のモンスターを向かわせたんだとか。


『……まったくだ。権限はともかく、私をここまで弱らせるくらいの魔素を使ったんだから』


 事情をポツポツとダンジョンマスターさんが説明した後、コアさんは綺麗な足でダンジョンマスターさんの頭を蹴っていく。

 ……僕は謝らない。僕はともかく、フランツにも他の冒険者さん達にも迷惑をかけたんだからね?


【であれば。妾が与えた魔素で……エリシアのコアを落ち着かせようぞ?】


 コウシャさんはまだ紋章を通じて出てきているので、僕の後ろに浮かんでいる状態だった。


『コウシャの言う通り。トラディス……魔剣を持ってこちらに』

「はい」


 コアさんがダンジョンマスターさんをペイっと放り投げた後に、僕に来るように言ってきた。ジェフさん達にちょっと振り返ると、『行ってこい』って顔だったので僕はコアさんに着いていく。コウシャさんも自然に一緒に行く形にはなったけど。

 コアさんが案内してくれた場所には……見覚えのある段差が見えてきた。僕が……あのパーティーメンバーに抜いてこいと言われて、たどり着いたフランツの刺さっていた場所だ。


『その魔剣は……楔だった』

「くさび?」

【こちらのダンジョンの奥深くには……太古に棲息していたモンスターを封印しているのじゃ。その楔を抜かれ……ダンジョンマスターのあれは、トラディスから魔剣を回収しようとしたが、無理じゃった。魔剣はトラディスを唯一の主と認めておる】

『そう。だから……コウシャの与えた魔素を、その封印に重ねかける』


 そのために、ここに刺して……とコアさんが、フランツが刺さっていた凹みの部分に指を向けた。


【大丈夫やで、マスター? ワイは今全快や】


 テレパシーでそうはっきり言ってくれたフランツ。

 だったら、フランツがこれ以上酷くなる前に……このダンジョンに必要な封印を重ねよう。

 僕は、フランツのパンの部分に見える刀身を……凹みにしっかりと刺した!



【『承認アプローバル』】



 頭の中と同時に、コアさんが声を上げた。



【『承認アプローバル。フランスパンの魔剣の魔力パターンを認証。地底部のモンスターへの封印強化。これより、魔力の転送を開始』】



 アナウンス……に近いのか、コアさんが言葉を繋げていくと。僕もだけど、フランツからどんどん魔力が吸い上げられていく感じがする!?

 本当に大丈夫かと思っている間に、コアさんとアナウンスの声が終わりを告げてきた。



【『五、四、三……完了コングラッチュレーション!』】

「うわ!?」


 フランツの方から勢いよく抜ける感覚があり、僕は気をつけながらフランツを抜いてやった。

 傷ひとつなくて、なんか前よりもツヤツヤしているような? 僕の目には相変わらずパンの刀身にしか見えないけど……。


【逆にうんまい負の魔力もろたわ。ご馳走さん!】


 なんか、物騒なこと言っているけど!!?


『だ、大丈夫なのフランツ!?』

【おん。今度レーザーソードとか使うのに、充電させとくわ】

『じゅうでん?』

【蓄えや。心配せんとき】


 ならいいのかな? と安心していると……コアさんが僕の手を握ってきた。
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