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第23話 初めての豪華な食事
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風珀様の後に続き、長い廊下を歩いた先に……また大きな扉があった。
その扉を、風珀様が勢いよく開けられると……すぐに、良い匂いが漂ってきたのだ。
【お待たせ】
「待っとったで~?」
珀瑛様のお声に、少し心臓が落ち着かなくなってきたけれど……一番はお腹が落ち着いていないので、私は風珀様から中に入るように背を押されたため、ゆっくりと入れば。
目に飛び込んできたのは、お風呂以上に素晴らしい光景だった。
「……まあ」
どれもこれもが、見たことも食べたこともない料理の数々。調理した方法とかは、無知な私にはわからないが……何だか輝いているように見えた。
それらが長い机にぎっしりと並んでいたのだ。感動しないわけがない。
「好きなもん食ってや~?」
珀瑛様がいつのまにか私の手を掴み……席、のような椅子に座らせてくださった。
様々な匂いが鼻に届くので、お腹がさらに悲鳴を上げてしまう。このような料理を……私が本当に食べていい?
とても、信じられなかった。
【? どうしたの? 食べていいって主が言ったのに】
「い、いえ……その」
【「ん??」】
「このように素晴らしい料理……口にしたことが、なくて」
【……前にいたとこでは?】
「えっと……固いパンと。とりあえずのスープ、でした」
適当にお腹に入れれば、満足するだろうと言いつけられていたのもあるが。
父と母と暮らしていた時は……どんなものを食べていたのか、あまり覚えていない。
だから……食事と言うのは、そう言うものかと思っていたのだ。目の前の料理を知るまでは。
「ほらほら、ミラ」
珀瑛様のお声が聞こえたので、横を向くと……スプーンを持っていたのか私の口に何か入れてくださった。
「んむ!」
味が……する。
ボソボソしていた、乾いてカビがついたようなパンの味じゃない。
柔らかく……あたたかで、とろっとしたものが口いっぱいに広がっていく。
思わず、喉の奥でごっくんとすると……体を通っていく感じが心地良かった。
「美味いか?」
「……はい」
「今のは、シチュー言うんや。スープみたいな感じやな」
「……多分、初めて……です」
「もっといろんなもん食い? 俺らが教えたるし、食べさせたる。なんせ、ミラは俺ら精霊らの大恩人やからな!」
【そうそう。主、ミラの目を見て】
「ん? ……お? な、なんや綺麗になっとんな! そういや、髪もえらい綺麗やわ!!」
珀瑛様が……私の体の一部とは言え……褒めて、くださった。
お慕いする方からの……賞賛の言葉に、嬉しく思わない女がいるわけがない。
また涙が出そうだったが、我慢して頷くことで誤魔化した。
【主と龍羽様の魔力が循環したことで、変化が出たと思う。元聖女の理由もあるだろうけど……もしかしたら、形態変化の可能性も高い】
「せやなあ?」
「あの……それは、どう言う?」
【簡単に言うと、ミラが精霊化の可能性もあるかもしれないってこと】
「わ……たしが?」
人間でなくなるかもしれない?
けど……不思議と怖くなかった。
その……珀瑛様方と同じになるのなら、素直に嬉しいと思えたからだ。
「まあ。すぐどうこう決まるわけやないと思うけど……とりあえず、今はたっぷり食い! あ、食器の使い方わかるか?」
「えっと……スプーンだけなら」
「ほんなら、簡単な行儀作法教えながらにしよか?」
それから、次はこれ。その次は……と、少しずつだがたくさんの美味しい料理を口にすることが出来、初めてお腹がいっぱいと言うのを覚えた。
その扉を、風珀様が勢いよく開けられると……すぐに、良い匂いが漂ってきたのだ。
【お待たせ】
「待っとったで~?」
珀瑛様のお声に、少し心臓が落ち着かなくなってきたけれど……一番はお腹が落ち着いていないので、私は風珀様から中に入るように背を押されたため、ゆっくりと入れば。
目に飛び込んできたのは、お風呂以上に素晴らしい光景だった。
「……まあ」
どれもこれもが、見たことも食べたこともない料理の数々。調理した方法とかは、無知な私にはわからないが……何だか輝いているように見えた。
それらが長い机にぎっしりと並んでいたのだ。感動しないわけがない。
「好きなもん食ってや~?」
珀瑛様がいつのまにか私の手を掴み……席、のような椅子に座らせてくださった。
様々な匂いが鼻に届くので、お腹がさらに悲鳴を上げてしまう。このような料理を……私が本当に食べていい?
とても、信じられなかった。
【? どうしたの? 食べていいって主が言ったのに】
「い、いえ……その」
【「ん??」】
「このように素晴らしい料理……口にしたことが、なくて」
【……前にいたとこでは?】
「えっと……固いパンと。とりあえずのスープ、でした」
適当にお腹に入れれば、満足するだろうと言いつけられていたのもあるが。
父と母と暮らしていた時は……どんなものを食べていたのか、あまり覚えていない。
だから……食事と言うのは、そう言うものかと思っていたのだ。目の前の料理を知るまでは。
「ほらほら、ミラ」
珀瑛様のお声が聞こえたので、横を向くと……スプーンを持っていたのか私の口に何か入れてくださった。
「んむ!」
味が……する。
ボソボソしていた、乾いてカビがついたようなパンの味じゃない。
柔らかく……あたたかで、とろっとしたものが口いっぱいに広がっていく。
思わず、喉の奥でごっくんとすると……体を通っていく感じが心地良かった。
「美味いか?」
「……はい」
「今のは、シチュー言うんや。スープみたいな感じやな」
「……多分、初めて……です」
「もっといろんなもん食い? 俺らが教えたるし、食べさせたる。なんせ、ミラは俺ら精霊らの大恩人やからな!」
【そうそう。主、ミラの目を見て】
「ん? ……お? な、なんや綺麗になっとんな! そういや、髪もえらい綺麗やわ!!」
珀瑛様が……私の体の一部とは言え……褒めて、くださった。
お慕いする方からの……賞賛の言葉に、嬉しく思わない女がいるわけがない。
また涙が出そうだったが、我慢して頷くことで誤魔化した。
【主と龍羽様の魔力が循環したことで、変化が出たと思う。元聖女の理由もあるだろうけど……もしかしたら、形態変化の可能性も高い】
「せやなあ?」
「あの……それは、どう言う?」
【簡単に言うと、ミラが精霊化の可能性もあるかもしれないってこと】
「わ……たしが?」
人間でなくなるかもしれない?
けど……不思議と怖くなかった。
その……珀瑛様方と同じになるのなら、素直に嬉しいと思えたからだ。
「まあ。すぐどうこう決まるわけやないと思うけど……とりあえず、今はたっぷり食い! あ、食器の使い方わかるか?」
「えっと……スプーンだけなら」
「ほんなら、簡単な行儀作法教えながらにしよか?」
それから、次はこれ。その次は……と、少しずつだがたくさんの美味しい料理を口にすることが出来、初めてお腹がいっぱいと言うのを覚えた。
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