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第89話 取り合い合戦
しおりを挟む「……やるか?」
「あ゛ぁん!?」
珀瑛様方が……どんどん、表情を険しくされている。
何が、そのような事態になってしまったのか……私が関係するにしても、珀瑛様はいつも以上に怒っていらっしゃるように見えた。そのお顔も素敵だが……今は眺めている場合ではない。
緑斗様の表情も、お美しいがかなり険しいものだったから。
「はいはーい! ミラが困っているから、ストップ!!」
「「ぐぇ!?」」
止めに入ってくださったのは……龍羽様だった。少し飛び上がり、お二人の頭上高いところから……両手を拳にして、頭に思いっきり叩きつけた!?
痛がっている珀瑛様方だったが……怒り、などは薄まったように見えた。
「んもぉ。ミラを抱っこしたい気持ちはわかるけど。ミラ本人が怖がっているんだから止めなよ?」
「「……はい」」
たしかに、少し……いえ、だいぶ怖かったのはあるけれど。
あの城に居た時と違い、『恐ろしい』とは思わなかった。
どちらかと言えば、驚いた方が強い。
けれど、龍羽様の方は納得されていないのか……珀瑛様方に、私に謝罪するように言いつけられ。
「「ごめんなさい!!」」
わざわざ、地面に深く顔をこすりつけるような姿勢で……謝罪していただいたのだ!?
そのような形は本望ではないので、すぐにおやめくださいと言ったのだが。
「良い良い。ミラが怖がっていたのは本当じゃ」
「……うん」
凰華様に、翠雨様はさせておけとばかりに私の肩を掴んで止められたのだ。
「そうだよ~? ミラが可愛いのは皆同じ!! 僕らの仲間になったんだから、取り合いも無し!!」
最後に、もう一度龍羽様が軽く拳で頭をぐりぐりされた後……謝罪は終わったのだが。
皆様の前で、私の簡易体を見せた後に……また謝罪会が起きるくらい、今度は凰華様も加わるほど……私は抱擁をあちこちから受けることになったのだ。
「「……ごめんなさい」」
「……すまなんだ」
「……い、いえ」
愛される……に近い事をされるのは、今までなかったので。
本当に、嬉しかったのだ。
「…………はしゃぎ、過ぎ」
「だねぇ?」
翠雨様と龍羽様は……見た目とは違い、少し大人のような対応をされたが。
翠雨様は、皆様が怒られている間……さりげなく、私を抱っこしたのでした。
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