王宮まかない料理番は偉大 見習いですが、とっておきのレシピで心もお腹も満たします

櫛田こころ

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番外編

第97話 貴族の子ども

 アーネストとイツキの第一子が、男児とわかりました。

 その情報は、部下であるアーネスト本人から直接聞いたのです。とても喜んでいました。


「きっと、可愛らしいお嬢さんになるでしょう」

「イツキの血を受け継ぎますからね」

「副隊長も、自分の顔意識しとらんのん?」

「俺は大したことはないだろう」

「「…………」」


 僕ほどではなくとも、家格の高い公爵家の次男。

 近衛騎士団の副隊長。

 そして、『閃光のアーネスト』と異名がつくほどの腕前。

 これほどの優良物件がそこいらにほいほいとあるはずがありません。本当にイツキが第一なので、自分のことについてはどうでも良いのですね。それがまた評判を上げている一因ですが。


「まあ、副隊長はいいとして。イツキはんによう似た嬢ちゃんやったら、嫁の候補はぎょーさん求められるやろなあ?」

「簡単には受け入れん」

「そこは一端の父親やんな、副隊長……」

「それくらいは普通ですよ」


 逆に、こっちのレクサスはどうでしょうね。同じくらいに結婚は出来ましたが、サフィア殿はリュシアーノ様付きのメイドですから簡単には学園から戻ってきませんし。なので、特別に独身寮に在籍しているのです。僕は僕でリュシアーノ様と婚約はしていますが、婚礼については最低十年近く先。

 それまでに、自分を磨きに磨きあげるまでです。それはこの場合いいとして。


「けんど。実際問題は出てくるで? 国の救世主の子息やろ? 早期縁談の持ちかけくらいあるんとちゃう?」


 自分も伯爵家のご令嬢を妻としたので、それくらいの知識は得たのでしょうね。レクサスは。

 アーネストも子煩悩でいるわけではないので、それは頷きました。


「それはいくつか考えた。父上らにも伝えたら……まあ、嫁候補は殺到するだろうなと言われた」

「せやろ。父親としては、どーんと構えていられんで」

「……お前とて、サフィア殿と子どもができたら変わってくるだろう?」

「男ならともかく……女やったら、サフィアがキツく教育する言っとるわ」

「「と言うと?」」

「殿下やその御子にお仕え出来るかわからんでも、最低限の貴族作法は叩き込みたいんやと」

「「……サフィア殿らしい」」


 さすがは、氷の美女の異名は健在ですね。

 その女性が、本当によくこのちゃらんぽらんに見える男と結婚出来たものです。よく惚気られますが、レクサスの前では氷の表情もほとんどないのだとか。


「とにかく。イツキと俺の子です。一端の騎士並みに厳しく躾ますとも!」

「……まだ生まれてすらいませんが、その意気ですよ。アーネスト」


 自分の子どもについては、下手をすると庶民より貴族階層が一番気を遣いますからね。

 ですが、僕もイツキらの友人として何か用意しましょう。

 せっかくですから、もうすぐ学園に戻られるリュシアーノ様にも相談せねば。
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