【完結】ピッツァに嘘はない! 改訂版

櫛田こころ

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第七章 繋がりは広がる

241.身近な封印

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 ◆◇◆








 倒れていた時の記憶が全然ない。

 だけど、起きたら泊まっていた部屋のベッドで寝かされていたらしく、それに気がついたらセヴィルさんに抱きしめられたのだ。

 あったかくて、香水じゃない良い匂いがして。僕は……とても心臓が早鐘を打つように早くなった。エディオスさん達もいるのに、セヴィルさんは羞恥心も気にせずにぎゅーぎゅーに抱きしめている。


(僕何かしましたか!?)


 エディオスさん達とアナさん達の結婚式を計画するところで、記憶が途切れている。そのあと、僕の身に何か起きたんだろう。とにかく、しゃべりたくても抱きしめる力が強くて、ほとんどしゃべれない!?

 セヴィルさん、離して欲しいんですけどぉおおお!?



 パチン。




 いきなり、指を鳴らす音が聞こえた。

 それと同時に、抱きしめてきた腕が緩まり、膝の上が重たく感じた。

 何? と思ったら、セヴィルさんもだけどエディオスさんにセリカさんまで絨毯の上に倒れていた。


「え?!」
「カティア、ごめん……」


 フィーさんは起きていて、僕の隣に腰掛けていた。その表情は少し俯いているからよく見えない。そして、僕の前にも手を持って来ると、指を鳴らすポーズをした。


「フィー……さん?」
「まだ、その時じゃないんだ。今は忘れて」


 すぐに指を鳴らす音が聞こえた。僕の意識がだんだんとぼやけていき、気がついたら……エディオスさんに呼ばれたところで突っ立ってた。


(……あれ?)


 僕は今まで何をしてたんだっけ?

 よく思い出せないでいると、エディオスさんにもう一度呼ばれた。


「いつまで隅っちょでだべってんだよ。時期の調整すんだから、お前らも来いよ」
「ほいほーい」
「は、はい!」


 フィーさんと一緒にいたのは?

 僕は何を話していたんだろう?

 全然思い出せないけど、エディオスさんの機嫌を損ねちゃいけないから慌てて席に着いた。


「あとどんくらいで戻って来るかはわかんねーが、フィーが前に使ったやつで出迎えようぜ?」
「あれ使う?」
「何を使ったんですか?」
「んー? クラッカー! 超特大サイズで」
「俺の誕生日ん時に使われたんだよ……」
「なるほど」


 びっくり&どっきりを仕掛けるのであれば、ちょうど良いかもしれないね?

 それから、アナさんとサイノスさんが帰って来るまで、フィーさんの用意した特大クラッカー……今の僕サイズもある巨大なクラッカーを入り口に設置して。

 フィーさんの透視魔法で戻って来たのと、扉を開けるタイミングを見計らって!

 大きく開いた直後に、エディオスさんとフィーさんがクラッカーの紐を引っ張った!!



 パ​───────ァン!!




 雷の爆音みたいにびっくりしたのは、僕もセリカさんも同じで。クラウは僕の腕の中で器用にひっくり返っていた。


「な、なんだ!?」
「びっくり……しましたわ!!?」


 アナさんの方を見ると、サイノスさんの腰に抱きついていた。きゃっきゃうふふな展開じゃないけど、もう既にらぶらぶなんですね?

 非常にごちそうさまでした!!


「サイノス~、アナ~!!」
「とうとうくっつきやがったか!!? 御名手みなてだって、フィーに聞いたぞ!!」
「え、エディお兄様!?」
「やっぱ、フィーがここにいるからバレたか」
「「おめでとうございます!!」」
「…………おめでとう」
「ふゅふゅうううううう!!」


 僕らからも賛辞を贈れば、サイノスさんはアナさんの肩に手を乗せて、何度か頷いてくれました。


「んじゃ、僕らからの前祝いじゃないけど。キアルの実を使った料理を披露するよ!!」


 フィーさんは元気いっぱいに言うと、厨房で保温の結界に入れてたオーブン焼きの料理を自ら持って来てくださった。その後から、コボティの皆さんがテーブルセットをしてくださったんです。


「「おお!?」」
「素敵ですわ!! カッツもたくさんで!!」
「カティア達もいっぱい手伝ってくれたしね? 食べよ食べよ!!」
「ふゅぅううううう!!」


 なんてことのない、日常。

 嬉しい出来事のはずなのに。

 僕の心は……少し渇いたかのように、悲しかった。だけど、気にしちゃいけないからと取り分けていただいたお料理を口にすると。

 チョコの香りがしたキアルの実なのに、とってもコクがあってビーフシチューのような仕上がりになっていた。

 お肉はとっても柔らかくて、歯がいらないくらい。チーズとじゃがいもの部分と一緒に食べれば幸せの洪水だ!!

 美味しくて美味しくて、クラウと一緒に夢中になって食べていく。


「カティア……口周りが凄いぞ?」


 そして、セヴィルさんに指摘された時には。子供のように口周りをソースでベトベトにしてしまったのだった。
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