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第七章 繋がりは広がる
244.青いザリガニ-①(セヴィル視点)
しおりを挟む☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆(セヴィル視点)
何かが欠如している。
記憶がところどころないように思えるのだが。
カティアがきちんと笑っているなら、それで良い。
そう思うことが出来るようになったので、俺は疑問に思った事を彼女に聞くのはやめにしておいた。
「ヴィラカダって、魔獣なんですか?」
カティアのピッツァを堪能した翌日。
城に帰還する前に、俺達はフィルザス神の提案にもあったヴィラカダの狩りに出掛けることになった。異界渡りで来たと思われるカティアには、ヴィラカダの存在がどんなものかは知らない。
ならば、昨日彼女が口にした『エビ』とも色々違うだろう。
「ああ。どちらかと言えば聖獣ではあるが、混合種ではあるな? だから、神域にも棲息域は存在している」
「エビ……に近いんですよね? 僕の知っているエビと言うのは、種類によるんですけど手のひらくらいなのから僕の頭くらいとか色々いるんです」
「なら、カティアの頭くらいあるな? そして繁殖力が高く、泉や湖に棲息している。捕獲は網が主流だ」
「…………伊勢エビサイズですね」
「イセエビ??」
「日本だと、有名な地名と合わせて……とても大きくて高級なエビなんです。僕は一度しか食べたことがないんですが。すっごく美味しいんです!!」
「ふゅぅ?」
「クラウはエビ初めてだもんね?」
「ふゅゆ!」
とにかく、カティアやクラウはヴィラカダを初めて目にする。
途中まではフィルザス神の転移陣での移動、そこから徒歩となり全員で向かった先は。
「着いたよー?」
フィルザス神がそう口にした場所は、聖樹水の泉よりは段違いに広い泉……いや、おそらく湖。
このような場所で、ヴィラカダが捕れると言うのか。久しく神域には来ていなかったため、色々変わることもあるのだなと思えた。
この神域が無ければ、カティアもこの世界には来られる事がなかったから。
「おっきいですね!」
「ふゅふゅぅう!!」
何もかもが初めてなカティアとクラウにはこの光景でも新鮮に写るのだろう。
岸辺に着くと、カティアは水に手を触れさせていた。
「……思ったより冷たいんですね?」
「ヴィラカダは冷たい水を好むんだよ? この神域には住んでいる生き物に合わせて、水の冷たさが自在に変えられる。なにせ、僕の神域だからね?」
「……なんでも有りなんですね?」
フィルザス神の性格にも、カティアはだいぶ慣れたようだ。
「じゃ、網を出してあげるからそれぞれ捕ろうか?」
「こんな近い距離に、もういるんですか?」
「うじゃうじゃいるよー? それに神域のだから普通のとこよりも段違いに大きい!!」
「おっきい伊勢海老……もしくはロブスター!!」
「ふふーん? ピッツァにしたら絶対美味しそうだもんねー?」
カティアに網は大き過ぎるため、俺が代わりに投げてやったが……すぐにはかからずしばらく待つ形になった。
「エビと言えば……シュリンプ。シュリンプと言えば、マヨネーズにジェノベーゼでもなんでも合うから……」
「ふゅぅ?」
待っている間の時間も無駄にしないとは、流石だ。やはり、料理人としてのサガなのだろう。イシャールとよく似ていた。
「おっしゃぁ!! かかった!!」
一番に声を上げたのは、左側で待っていたエディオスが網を引っ張っていた。立派なヴィラカダがかなりの数もかかっていたのだが……それを見ていたカティアの顔が何故か青ざめてしまっていた。
「いやああああああああああ!!? ザリガニぃいいいいいいいいいいい!!!??」
と叫んで、後ろの森にひとりで走り出してしまったので。クラウを抱いてから俺は後を追いかけた。
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