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第十一章 異界の年の瀬
343.浮き足立つ(セヴィル視点)
しおりを挟む☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆(セヴィル視点)
カティアと交際を始めた。
まだ公には出来ないが、御名手としても婚約者にもなれたのだ。
口づけなどは出来なかったが……それでも、それでも。
身体の変化がないとは言え、正式にカティアと共に居られるのだ。まだエディオス達以外は先先代にしか知られていないが……カティアを婚約者と呼んでいいのだ。
その喜びが表れてしまっていたのか……執務中にエディオスからは呆れられ、他の近侍達には遠巻きに避けられていた。
「…………緩み過ぎだぞ?」
小声だったが、エディオスは呆れた口調で俺に声をかけてきた。
「……………………そんなにもか?」
「あいつらが引くくらい……冷徹どころか、ゆるゆるの表情のゼルは気持ち悪りぃ」
「……そこまでか」
常日頃、感情が面に出にくいと自覚はしていたが。
来年のはじめ近くにある、自分の誕生日までカティアと何度逢引きに行けるのか楽しみで仕方がなかった。
カティアからは、当日俺に菓子を贈りたいと言っていたが……カティアの菓子なら甘くても食べられるようになってきた。
以前なら考えられなかった食の好みも、彼女のお陰で随分と変わった。どんなものか非常に楽しみである。
「あれか? 雪が落ち着いたら、カティアと逢引きにでも行くつもりか??」
「予定としては……お前の方はどうなんだ?」
「…………誘おうにもどーしたらいいんだ?」
「…………お前は神王だからな」
実は、セリカとお前が御名手だと知っていても……他者が口出しするのは大変よろしくないとされている。
唯一、最高神であるフィルザス神は別だが。
カティアへ最初に告げたのは……おそらく、セリカへの理解者としてだろう。俺には、逆にエディオスの方を。
しかしながら、俺以上に前に踏み込めないエディオスをどうすればいいのか
神域での計画も、結局はアナ達の方を優先しただけに終わった。セリカとの距離は……縮まったかと聞けば、微妙だと返事があった。
とすると……こちらの事をカティアと相談すべきか。
逢引きとは言い難いが、八つ時前後の茶会で俺はカティアに提案してみた。
「セリカさんですか……」
俺がエディオスの様子を伝えると、カティアは首を横に傾げた。
「ああ。距離が近くなったかと思えば、そうでもないようだ」
「エディオスさんは、意外なとこでヘタレなんでしょうか?」
「ヘタレ?」
「簡単に言うと意気地なしです」
「それは……」
カティアもなかなか強気に言うことが増えてきた。
風邪が完全に回復し、俺と交際を始めたことで……自信が出てきたのだろうか? こちらの世界で俺と再会した時のような、少し自信がない様子が見られなくなってきた。
「とは言っても、セリカさんのお悩みがわからないわけでもありません。過ごしてきた時間はちゃんとありますから……お貴族さんに戻っても、その自信が今に繋がるとも言えませんし」
「…………そうだな」
それは俺もそうだった。
カティアと再会しなければ……俺の恋路などはすべてないものと同じだった。
似た境遇となっていたセリカも、それは同じだろう。
「なので、僕からひとつ提案したい行事があるんです!」
「行事??」
「女性が男性に好意を向けて、お菓子を贈ることなんです」
それは、ファルミアがこちらに滞在していた時に……セリカにも伝えたらしいが、『バレンタイン』と言う行事だそうだ。
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