【完結】ピッツァに嘘はない! 改訂版

櫛田こころ

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第十一章 異界の年の瀬

350.謝礼が騒動

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 ◆◇◆











 これは……僕の言伝が悪かったせいもあります。


「あの……シャルロッタさん?」
「なぁに? カティアちゃん?」
「もう……そのくらいに」
「だ・め・よ?」
「あう……」
「ふゅふゅぅ!」


 数日で風邪から回復されて、中層調理場に戻って来られたシャルロッタさんでしたが……。僕に卵酒のお礼が言いたいと言うことで、僕の部屋に来られたのだけど。

 何故か、グルグル巻きでぐったりされているイシャールさんを引っ張って来られたんです。


「この人が、どうしてカティアちゃんに私の風邪を教えたのか。カティアちゃんのお陰で快癒しても……理由を全然しゃべんないんだもの!! 強硬手段を取るしかないわ!!」


 言えるはずがない。

 中層をクラウと散歩していたのが僕でも……イシャールさんに僕の正体が今更バレてしまったこととか。

 エディオスさん達は、フィーさんがしっかりお仕置きをされたことで我慢されたけど……セヴィルさんは怖かった。絶対零度の怒りってああ言うことを言うんじゃ……ってくらい、静かにイシャールさんに怒っていたので。

 それもあって、イシャールさんの口から簡単に僕の事をシャルロッタさんにも言えないのです。

 とは言え、事実の全部を話せないわけではない。


「……僕がクラウと散歩していたので。その時にお久しぶりに会ったんですよ?」
「…………何かされなかった?」
「…………ちょっと担がれたりは」
「イシャール料理長!?」
「レシピ教えてもらっただけだって!?」


 イシャールさんもごにょごにょ部分以外は、僕の話に合わせてくれるようだ。その内容に、さらにシャルロッタさんの威圧がかかっても。


「だ、大丈夫ですよ? ピッツァは時間の関係で無理でしたし……ピザトーストと言うのだけですが」
「ふゅ」
「……ピザトースト?」
「四角パンを使った、簡単ピッツァみたいなものです」
「……美味しそう」
「具材は、水気の多い食材を控えれば……だいたい何でも出来ますよ?」


 ヨシヨシ、良い流れになったぞ?

 僕が引きつけている間に、イシャールさんは……慣れているのか縄抜けしていた。さすが、と思ったら……シャルロッタさんにコックスーツの首根っこ掴まれちゃった!!?


「……私が寝込んでいた間に、そんな楽しいことしていたのですか?」


 良い流れどころか、余計に荒波を立ててしまったようだ!?

 怖くて、クラウと抱き合うしか出来ず……シャルロッタさんはまたね、と絶対零度の微笑みでイシャールさんを引きずって帰って行かれました……。


「…………姐さん女房になるなあ?」
「ふゅ?」
「シャルロッタさんのように、強い人が好きな人より上のことを言うんだよ」
「ふゅぅ?」


 さて、暇になったから……勉強の続きでもしようかとクラウを頭に乗せたら。

 外から、思いっきり何かが倒れた音が聞こえて来た!?


「なに!?」
「ふゅゆぅ!?」


 急いで扉を開けたら……何故か、帰られたはずのイシャールさんとシャルロッタさんがお顔真っ赤で……少し距離を置いて地面に座っていたのでした。
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