【完結】ピッツァに嘘はない! 改訂版

櫛田こころ

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第十二章 異界の年明け

374.はじめて食べてもらう

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 イシャールさんとシャルロッタさんは初めてではないけど。ジェイルさんとシェイルさんは違う。

 食べ方をお伝えしたら、上座にいるエディオスさんが声を上げた。


「今日は無礼講だ! お前らも好きに飲み食いしろ!!」
「……エディオスさん、言い方」
「今日は構いやしねぇよ」


 ほとんど身内とは言えど、無礼講にしてはエディオスさんが飲み食いしたいだけなんじゃ……と思われるだろう。

 しかし、シャルロッタさんとかシェイルさんがオロオロする程度だったので……これがいつも通りなんだな、とまだまだメンバーに加わって新人の僕はそう思うしか出来ない。


「わーい!! 食べよ食べよ!!」
「ふゅゆぅ!!」


 フィーさんもクラウもいつも通りだったので、ここはもう受け入れるしかないだろう。


「…………初めて、見る料理……ですが」


 ジェイルさんもだけど、シェイルさんもそうなので首を縦に振られた。


「カティアが得意なピッツァって料理だ。パンみてぇに手づかみで食うもんだよ」
「「手づかみで??」」
「切り込み見えんだろ? それをこうやって……」


 イシャールさんが手本だと言わんばかりに、マルゲリータを持ち上げて……すぐに口に入れてくださった。表情がすぐにゆるゆるになっていく。


「「ごくり」」


 って、ジェイルさん達は唾を飲み込んでいた。


「うんめ!! 久々に食うけど……マジで美味いぜ、カティア!!」
「どうもです」


 一応、元専門職だったので妥協はしていませんとも?

 フィーさん達にも手伝っていただけたし、今焼いているシカゴ風ピッツァも是非堪能していただきたい。

 イシャールさんに引き続くように、シャルロッタさん達も自分の前に置かれたお皿に手を伸ばしていく。


「うぉ!?」
「カッツが……こんなにも!!?」
「ささっ、急いで口に」


 僕が勧めると、シェイルさんとジェイルさんはすぐに口に入れてくださった。そしてすぐに……『ぱあっ』って効果音がつくように表情が変わっていく。


「おいひい……!」
「これは……たしかに、リチェルカーレ料理長が頷くのも納得だ」
「カッツにこんな使い方あるなんて……!」
「そうだな」


 普通に話せているようでなにより。

 御名手の儀式を終えたことで、お互いが素直になれたかもしれない。


(いやぁ……良かったよかった)


 ご結婚とかはまだまだ先でも……サイノスさんとアナさんのように公式発表はあるんだって。僕とセヴィルさんのは……僕の体が戻るまで無理なので出来ませんし、公表だなんて無理ですぅ。


「ヴァスシード代表としても、祝福させて欲しい」


 食べながらだけど、ユティリウスさんがイシャールさん達にそう告げたら……皆さんは、姿勢を正して腰を折りました。いつもおちゃらけた雰囲気のユティリウスさんだけど……ちゃんと地方の王様だなと実感しました。


「大変お待たせ致しました」


 そのやりとりが終わった後に……マリウスさんがシカゴ風ピッツァを持ってきてくださったので。イシャールさんが、口をあんぐり開けたのがおかしくて……ほぼ全員で笑い出してしまった。
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