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第十二章 異界の年明け
380.自信はないけど-②(セリカ視点)
しおりを挟む☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆(セリカ視点)
……そうだったわ。
私は……大事なことを、忘れていた。
かつての襲撃事件がきっかけで……人生の大半を市井で過ごしてきたが。
想いを諦めかけていた……エディお兄様の説得もあり、私はリチェルカーレ家に……六大侯爵家の一員に戻れたのだ。
公式にもお披露目したのだから……私は正真正銘のリチェルカーレ家の令嬢だ。市井が長かったことは本当でも……フィルザス神様から、カティアちゃんの教育指導である家庭教師も任せていただいている。
ただの……深層の令嬢とかではない。
毎日ではないが……エディお兄様ともご一緒に過ごさせていただいている。
アナお姉様やカティアちゃんは……きちんと、御名手の方々と結ばれた。
私は……お兄様とそうかはわからないけれど……カティアちゃんは勇気をくれた。
障害がないわけではないが……カティアちゃんに比べれば、私はまだまだ恵まれている。自分で避けていたところもあるが……想いを寄せている方の近くにいるじゃないか。
なら、ファルミア様とのこのお菓子作りが成功したら……エディお兄様に、そのお菓子を差し上げたい。
このお菓子を渡す時期は、本来ならまだ先のようだけど……私は、行動すると決めたらすぐに動きたい性格だった。子供の頃は特に。
自分の兄であるイシャールお兄様にも……御名手が出来たのだから。お兄様と私は……見た目は特に似ていないが、慕っていたこともあり、中身は少し似ている。
だから……出来上がったら、エディお兄様に渡しに行きたいと皆さんに告げると。
「いいことよ、セリカ!!」
アナお姉様には、一番に喜んでいただき……手を握っていただけた。
「そうね? 善は急げというもの? 決意が固まっているうちに行動に移すのがいいわ」
「そうですね?」
ファルミア様やカティアちゃんも賛成していただけた。
私のパウンドケーキというのは……ココルルの匂いが強烈にしたが、冷却でいくらか冷ますと匂いも落ち着いた。
それを、マリウス料理長の調理場にある紙を拝借して……包んだら、カティアちゃんと一緒にお兄様のいる執務室に向かうことになったわ。
「僕がセヴィルさんを連れて行きますので」
「……ありがとう」
カティアちゃんの姿。
私にもある『見解の魔眼』のおかげで……私くらいの美しい女性の姿と重なって見えているけれど……。これが、現実となったら……ゼルお兄様、今でもカティアちゃんを愛していらっしゃるのに大丈夫かハラハラしてしまうわ。
そうこうしているうちに、上層で作業していたからあっという間にお部屋に着いてしまい。
今度は……私の方がすごく緊張してしまった!!
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