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第十四章 異界の春へ
417.中層厨房へ突撃
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「……ゼル向けのピッツァを作りたい?」
突撃しましたのは、中層厨房で……目的の人物は料理長のイシャールさんだ。
「はい! 日頃のお礼なども兼ねて……ですが」
「…………お前の場合、それ以上もだろ?」
「……それはご内密に」
イシャールさんはともかく、お城のほとんどの人達には……僕がセヴィルさんの御名手だという事実は知らないので、ここは黙ってもらうしかない。
「クレスタイト閣下に? さすがカティアちゃん、気遣い上手ね?」
去年イシャールさんと御名手になられた、シャルロッタさんは本日も可愛らしい。と言うか、イシャールさんと婚約されたことで可愛らしさが増したかも。恋する乙女が可愛くなるって言うもんね?
「けど……ゼル向けっつったら、アレだろ?」
「はい。アクアスを使った……ピッツァを作りたくて」
「あ、アクアスを??」
「あれで、ピッツァの味変……ちょっとした変化をつけたい時とかに使うオイルを、セヴィルさんは愛用しています」
「うぇ……」
「本当……?」
まあ、普通ならこう言う反応だろうね?
僕もひと舐め出来ないあのオイルを……セヴィルさんは普通のタバスコ以上にかけて食べちゃうんだもん。そのセヴィルさんを満足出来るようなピッツァとなれば……そのアクアスを使うしかない。
「なので……奥の厨房使わせてください」
「お前なら、上層のを使わせてくれんだろ?」
「……マリウスさん達に止められるかと思って」
「……止められるだろうな」
ピッカンテオイルの時は、ファルミアさんがいらっしゃったから……一応作れたというわけで。
イシャールさんも……少しは渋いお顔になられたが、すぐに『よし』と声を上げてくださった。
「保護者がわりに、俺も手伝う。それなら、まだいいだろ? シャル、こっちは任せた」
「はい」
「ありがとうございます!」
これで、セヴィルさんへのピッツァが出来るぞ!!
意気込んでいると、上に乗っていたクラウもはしゃいでくれた。
「んで? アクアスを使ったピッツァってどんなだ?」
「そうですねぇ……」
貯蔵庫から、イシャールさんがアクアスの箱を持ってきてくださったので……久しぶりに見るそれを改めて観察。
本当に……綺麗なスカイブルーの唐辛子にしか見えないや。
「ひと口で、大抵の奴は拷問以上の苦しみを味わうんだぜ?」
「けど、セヴィルさんは普通ですけど」
「昔俺とかがけしかけたとは言え……あそこまでの激辛好きになるとはなあ」
その話を聞いて、僕はある調理法を思いついた!
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