【完結】ピッツァに嘘はない! 改訂版

櫛田こころ

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第十四章 異界の春へ

425.とうとう知る-②

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 トリップじゃない……死んだ? 転生??

 全く記憶にない……以上に、体も変化してたんだから……思い当たることはいっぱいあったのに。

 どうして、僕はそこに行き着かなかったのだろう?

 誰かに、そう思い込ませられていたから?


「だ、大丈夫か、カティア?!」


 セヴィルさんが、立たせてくれようとした。

 けど、ショックが大きいのと体にうまく力が入らなくて……僕はしばらく、絨毯から立ち上がれなくなった。

 クラウは心配して、僕の頭に抱きついてきてくれた。

 フィーさんは……無表情で僕を見ているだけだった。


「無理ないよ。自分が一度、死んでるってわかれば」
「フィルザス神、いつからそれを?」
「……カティアが来て、割とすぐ」
「何故それを」
「教えようにも、僕ら神が止めに入っていたからなんだ。カティアのために」


 セヴィルさんの言葉に、かぶせるようにフィーさんが伝えてくれた言葉には。

 僕を……心配してくれる気持ちが伝わってきた。


「……僕の、ためですか?」


 ゆっくり聞くと、フィーさんは首を縦に振った。


「その身体と魂が馴染むために……魂に負荷をかけすぎないように、僕ら神が全力で取り組んでいた」
「けど……そこそこ時間経って、いますけど」
「その段階が少しずつ、良くなったんだ。だから……今こうして言える」
「僕が……大きくなったから?」
「あと、クラウの成長も必要不可欠だった」
「ふーゅぅ」


 クラウは僕の頭にすりすりしてくる以外はいつも通りだ。


「クラウが、僕のじい様が僕に託した神獣なのは伝えたでしょ? どうも……カティア、君がここに来るのを予知して準備していたらしい」
「……僕の、ために?」


 そんなずっと昔から……僕のために、クラウが準備されていた?

 びっくりして、クラウを頭から外して抱っこしても。

 クラウが嬉しいのか、『きゃっきゃ』とはしゃぐだけで……。


「……クラウがそのような?」


 セヴィルさんが見ても、クラウがそうは見えなかったようだ。


「ふーゅぅ?」


 セヴィルさんが加わっても、クラウは首を横に傾げるだけだ。


「その準備が落ち着いて……じい様からも夢渡りで伝えられた。そろそろ良いだろうって」
「それで……秘密にしていたことを?」
「そう。僕としては、カティアが生前の年齢に身体の成長が馴染んでからでも……けど、じい様は大丈夫って言ってくれた」


 だから、いつ言おうかめちゃくちゃ悩んでたんだ。

 フィーさんはそう言ってくれた時は、まだ……何かを隠しているような、苦笑いをしたんだ。


「……他には?」


 僕が聞こうとすると、セヴィルさんが先に口を開けた。


「他?」
「カティアの身体もだが……記憶はどうなんだ?」
「……それは、まだ僕にも」
「嘘だ。でなければ、中途半端なこの状態を維持するのはおかしい」


 それはもっともなことだ。

 僕に、真実の一部を伝えても……僕自身、何も変化がないのだから。


「…………綻びは結んだ。けど、身体に記憶が耐えられるかはわからない。それでも」
「聞きたいです!」


 僕が知りたい。

 きちんと自分の事を。

 僕は立ち上がって、フィーさんの両手をしっかりと握った。
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