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第十九章 輝かしい未来
615.愛おしい存在
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一目惚れだったと思う。
僕は子どもだったけど、突然目の前に現れた綺麗な男の子に、兄たちとは違う憧れのようなものを抱いた。
どんな声をしているか。
どんな話し方をするのか。
それまで僕は、女だといろいろ不便だから男になりたいとか……今なら、痛い思考回路をしていたなと思うが。セヴィルさんと実際話したことで、『女』であることを少し受け入れようとしていた。
それくらい、セヴィルさんの存在は青天の霹靂みたいなことだったかもしれない。
クロノさんたちによって、記憶を封じられても根底にあった『初恋』の感情はずっと残っていたのだろう。じゃなきゃ、トリップした当時のあの再会で感情が爆発しそうにならなかったもん。
その初恋の人と、まさか本当に結婚出来て子どもまで授かるとは思わなかった。
異世界に転生して、身体も相応に成長出来て、本当の意味で結ばれて。
彼以外にも、たくさんの縁が出来て友だち以上の仲間が出来た。幼馴染みでツッコミ親友だったファルミアも転生していたのは予想外だったけど。
(不幸かもだけど、あの世界で殺されなかったら……僕はここにいなかった)
ファルミアもだが、僕も大好きな人と結婚して子どもを授かる生き方を得られなかった。だから、これでいいんだ。
未練がないわけじゃないけど……もとの世界の家族を悲しませても、僕はこの世界で生きたかった。今がとても幸せなんだから。
「カティ! もおうすぐ生まれるわよ!!」
セヴィルさんと結婚出来た一年後。
無事に僕のお腹から、二人の子どもが生まれた。
産婆さんといっしょに、ファルミアが見守ってくれてたんだけど……歓声が凄かったんだよね?
「「おぎゃー!!」」
赤ちゃんの声が二重に聞こえる。お腹が普通以上に大きいから、双子かもと言われていたけど……そうなったのかな?
そうだとしても、喜ばしいことだ。息が整い、視力も少し回復してきてから枕元に赤ちゃんが来る気配がしたので見てみれば。
「……いらっしゃい」
目は開いてないけど、薄っすら見える髪の色から僕とセヴィルさんの髪色をそれぞれ受け継いでいる赤ちゃんたちだった。性別はまだ聞いていないが、どちらにしても愛おしい存在だ。
女を厭んでいた僕が、本当に子どもの母親になるだなんて思っていなかったのに……今はとても嬉しいんだ。
母親になる感動とかって、こんなにも素晴らしいことなんだって。
「カティ? 女の子と男の子よ」
「わぁ……どっちがどっち?」
「金の方が女の子。ゼルと同じなのが男の子よ」
「……セヴィルさん似がいいなあ」
「あなたに似ても、美人間違いなしよ?」
「ふふ」
自分の顔は結構美人って自覚は、完全に持ててないけど。
子どもたちの良いところになるなら、受け継いでほしい。
出産の片づけが終わって、セヴィルさんが部屋に入ってくると……子どもたちの姿と僕の無事を確認してから、思いっきり泣いちゃったんだよね?
「よく、頑張ってくれた」
「いっしょに、子育て頑張りましょうね」
「ああ。この子たちにも良き御名手が巡り合えるように」
「そうよ。カティにゼル? この子たちの御名手探しは既に始まっているんだから……競争率はすごいことになるわよ?」
「……まだ生まれた直後だが」
「それは関係なしなし」
この子たちの未来はどこへ行くのかは、まだ未定でも。
最低、僕の持つピッツァを作る楽しさは……継承してほしいなあ。
リュカルドくんたちもいるけど、自分の子どもにもちゃんと教えてあげたいから。
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