【完結】ピッツァに嘘はない! 改訂版

櫛田こころ

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第六章 実り多き秋の騒動

186.問い詰められるのは

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「そうじゃったのか……であるならば、エディ達が儂に言いにくかったのも納得出来るの。これはすぐにティナさん達には言えぬのぉ」
「時期が来るまではねー?」

 何度も何度も頷く様子は、疑うどころか楽しそうにしか見えない。
 なんで、そんなにもあっさり受け入れてくれるんだろう、この世界の人達は。
 僕も、結構流されてるところがあるからあんまり他人事じゃないけど。

「なら、いっそのこと儂の遠縁じゃったと公表すれば良いではないか?」
「「「「は?」」」」
「ふゅ?」

 いきなりの提案に全員首を傾げるしかなかった。

「どーゆーこと?」
「眼は変幻フォゼで度々変えるにしても、この純金の髪は非常に目立つ。儂らの遠戚にしておけば、フィー達との繋がりを不審がられはせんじゃろ。余計に目立つ口実にはなるかもしれんが、城に滞在する理由にはなると思ったが」
「その家庭教師にセリカを宛てがったのも?」
「後付けにと思われるじゃろうが、いくらかマシではないか?」
「うーん……」

 僕も納得していいのかわからない。
 目くらましの理由にしたって、今更過ぎな気もする。

「いっそ、神霊オルファ様の血縁者に仕立てるとか?」
「「もっとダメ(じゃ)!」」
「……ですよねぇ」

 フォックスさんの提案なんてもっと無理!
 いくら髪と目が特徴的でも、実際に会ったリーさんのような神秘的要素なんて一つもない。

「レストの提案以上に目立つし、頭のわっるい子達をあぶり出すのに利用する気?    いくら君でも怒るよ?」
「い、いや、そう言うつもりじゃ」

 あ、そっちの理由なんだ?

(たしかに、セリカさんが言ってた噂とかが本当なら……)

 嘘でも、リーさん達のような存在の血縁者と公表したら、もっと注目の的になってしまうだろう。
 そして、フィーさんが言っているような腹に一物を抱えているような人達にとって、格好の獲物になるはず。

「それならまだレスト達の親戚にした方がマシだよ。そっちでも爪弾き出来るでしょ、き・み・な・ら?」
「は、はい……」

 さっきはレストラーゼさんだったのが、今度はフォックスさんに詰め寄っている。
 いつの間にかフィーさんの手にはまたハリセンがあって、フォックスさんを威嚇しようとしていた。

「君までお馬鹿に成り下がるつもり?   君の娘も大概なとこあーるーけーどー?」
「娘さん??」

 今正座みたいな姿勢で冷や汗だらだらなおじさんに、家族っていたんだ?
 いや、失礼だけどフォックスさんが既婚者で、しかも子持ちだとは思えなかったので。

「いるよー?    カティアはたしか会ってるね?」
「え、まさかシャルロッタさん?」
「俺は伯爵なんて地位じゃねぇよ!」

 自分で言って気づいたが、シャルロッタさんって普段は料理人でも本当は伯爵様のご令嬢だったっけ。
 もしフォックスさんがお父さんなら、暗部ってお仕事はともかくとして、

「全然伯爵さんには見えないですね……」
「俺も自分でそう思うけど、言われると地味に傷つく!」
「その下の子爵じゃからのぅ?」

 それでも、一応はお貴族さんなんだ?

(けど、誰だろう?)

 料理人さん達の中に、イシャールさんやシャルロッタさんのように貴族からわざわざなる人もいるのは知ってるし、何人か仲良くなった人はいる。
 けど、その中に『ししゃく』って地位の人はいなかった気がした。

「会ってましたっけ?」
「シャルよりは回数少ないけど、あの子と関係してるよ」
「え?」

 シャルロッタさんと関係がある女の人?
 セリカさんに聞いても、小さい頃以来交流を絶った人だから知ってないのも無理はない。
 レストラーゼさんも教えてくれないし、フィーさんは僕を見ながらフォックスさんをハリセンでパシパシ叩くって器用なことをしている。
 これは早く答えないと、フォックスさんが可哀想だ。

「え、あとお会いした人って、んー……シェイルさん?」
「あ、それ」
「え?」

 適当に言ったわけじゃないけど、二回くらいしかお会いしてないし、関西弁ってしゃべり方が特徴的過ぎたから覚えてただけで。
 でも、そう言えばシャルロッタさんの友人さんだって言うのも今思い出した。

「それ、うちの娘」

 フォックスさんも叩かれながらそう言って、何度か頷いた。
 ただ失礼ながら、

「ぜんっぜん似てないですね……」

 顔もだけど、髪色とかどこも共通点が見当たらない。

「まあ、それはよく言われるな」
「唯一あの子が似せてるとこがあるでしょ?」

 フィーさんがやっとハリセンをしまい込むと、フォックスさんは体をボキボキ鳴らしてから立ち上がった。

「わいの似とるとこはこの言葉だけでっしゃろ」
「あ」

 その特徴的な言葉遣い。
 シェイルさんそっくり。
 いや、親子ならシェイルさんが真似たと言うかうつったのかな?
 たった一言だけど、似非に聞こえないくらい自然な言葉遣いだった。

「俺の出身地の言葉なんだよ。シェイルも帰省させるたんびに地元領主の子達と遊びまくってたからうつったわけ」
「けど、普通の話し方は違和感ないですね?」
「そりゃ曲がりなりにも貴族だしな?」

 そこはうまくTPOを使い分けているんですね?
 シェイルさんの方は、素の状態だとまったく隠してはいなかったが。

「けどまあ、爪弾きに関しては陛下からも御命令がありますんで頑張って来ますよっ」

 最後を少し強く言ったかと思えば、いきなり跳躍してそのまま天井に溶け込むように姿を消してしまいました。
 魔法だ魔法だ!って、僕とクラウははしゃいでいたら、

「逃げたのぉ」
「逃げたね」
「…………でしょうか」

 僕ら以外の人達には違って見えてたみたい。

「しかし、爪弾きも兼ねてなら儂が提案した方が良かろう。この際、埃掃除はいくらでもして良いからの」

 ほっほっほ、って楽しそうに笑ってるけれど、言ってることはちょっと怖いしそこは元神王様だったからか。
 そして、仕事は現在エディオスさんが継いでるから彼の労力を余計に増やしてしまう。
 ちょっと、申し訳ない気分になっちゃうなぁ……。

「カティアは気にしなくていいよー?   そう言うのは神王の仕事の一つだし、エディが積極的になってるやつだから」
「え?」
「自ら飛び込んでく子だからのぉ。まったく誰に似たんじゃか」
「明らかに君でしょ」
「ほっほ」

 フォックスさんがいないけど、関西人ばりのツッコミをフィーさんがレストラーゼさんにやっていた。

「けど、それならこの目はやっぱり隠しておく?」
「そうさのぉ。上層でも今の生活範囲じゃ問題なかろうが、蒼い目の時はカティアちゃん自身の魔法かの?」
「あ、はい」
「なら、念入りに練習しておきなさい。イシャールも少し気になっておったようじゃが、あれにはまだ言っておらぬのかな?」
「言って悪くもないけど、まあ、抱え込みやすいからねあの子の場合」
「そうじゃな」

 ここ最近、イシャールさんのイメージがころころ変わるなぁ……。
 シスコン、ナイーブなところって自信満々な俺様気質なあの人から想像しにくい。
 だけど、シャルロッタさんの尻に敷かれてるとこは何度か見てるから、女性に弱いんだなぁとは思っている。

「では、その旨は儂からエディに伝えよう。いきなりじゃったが、お茶会に邪魔してすまんかったの」
「「い、いえ……」」

 急展開ではあったが、テーブルのお茶はもう冷め切ってるだろう。
 ただ、気のなることが一つあった。

「れ、レストラーゼさん」
「なんじゃ?」
「あ、あの……来た時に言っていた『違う』って言うのは?」

 まだこの疑問が解決出来てない。

「おお、そうじゃったな?    実は収穫祭なんじゃが、ディオ……息子のデュアリスでエディの父親なんじゃが、あれが久し振りに城の方に参加したいと言いおってな?    その嫁さんもうちの奥さんも同意しおっての」
「ってことは……?」
「うむ。来週の収穫祭で、あれらとカティアちゃんが顔を合わせることになるな」
「えぇええええ⁉︎」

 エディオスさん達のご両親って、先代の神王様とその王妃様⁉︎
 さらに、レストラーゼさんの奥さんまでって。
 いきなり襲って来た緊張感に体ががくがくと震えていくのがわかる。クラウを頭から落としちゃいそうだった。

「それ、ほとんどカティアに会うための口実じゃないの?」
「そう言っておったわ。止めようにも、同席してたディアもはしゃぎおってな?」
「え」

 せ、セヴィルさんのお母さんまで⁉︎

「なので、儂が確認も兼ねて伝えに来たらこうなったわけじゃ」
「え、あ、う」
「まあ、カティアの参加は絶対なくらい問い合わせ凄いらしいからねー?    セヴィルに守ってもらうしかないよ」
「えぁぇあああ⁉︎」
「か、カティアちゃん大丈夫⁉︎」
「ふゅふゅぅ!」

 耳に入ってくる言葉に、頭の中がパンクした状態になってまともに返事が出来なかった。
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