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第六章 実り多き秋の騒動
201.郷愁
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今食べてもらってるティラミスもだけど、ピッツァもチェイシアの皆さんにも大変喜んでもらえたようだ。
まさか、子供とは言え王子様と王女様から敬語使うのをやめて欲しいと言われるなんて、思いもよらなかったけど。
(お父さんのラシードさんとは違うけど、小ちゃいエディオスさんを見てるみたい)
王子様のサシェ君ことサーファイド王子様は、年相応?のように口周りを汚しながらティラミスにがっついている。
本人が言ってた通り、外見は同じくらいだけど……実年齢はずっと上なんだよね。
ただ、精神の成長は結構遅いから、見た目相応でいいのはフィーさん談。
「……グレイルのも、いいな」
フィーさんと子供達以外には全員抹茶ティラミスだ。
エディオスさんとかはあっという間に完食してくれましたが、セヴィルさんはゆっくり食べてくれてました。
「今日はシロップとか使ってないんです」
「間のケーキではないのが甘いからか?」
「はい」
「ふゅ、ふゅぅ」
クラウは何でも食べちゃうから、今日もひと口ずつ上げながら喜んでくれた。
「カティア、美味しい!」
「父様、ひと口欲しいです!」
「はいはい。サシェも欲しいだろうから、順番だよ?」
「お、お母様、ひと口交換しませんか?」
「ええ、いいわよ? けど、苦いから本当にひと口がいいわね」
親が食べてるものは子供も食べたい。
その逆も有り。
ほのぼのとした家族団欒が見れて、少しほっこり出来た。
(家族、かぁ……)
身寄りがない設定にしてあっても、実際その通りだ。
異世界に来て、もう二度と自分の家族とは会えない。
一人暮らしする前からお兄ちゃん二人は既に独り立ちしたり結婚して家を出たから、実家には両親しかいなかった。
それには時間をかけて慣らしてても、定期的には会ってたから寂しくはなかったが。こうして、知人も誰もいない外国以上に距離が離れたところに来るとは思わないでいた。
けど、同じような経緯で転生してしまったファルミアさんはもっと寂しいし、複雑な思いでいただろう。
寝る前に、まだ数回しか送ってないが抹茶ティラミスのレシピと一緒に識札を送ろうと決めた。
「……カティア、どうかしたか?」
「あ、いえ。なんでもないです」
感傷に浸ってるのは、あんまり人に言いたくない。
きっと、セヴィルさんにはもっと気を遣われちゃうだろうから。
あと、
(ここでは言わないだろうけど、更にプロポーズくらいの告白されそうだし!)
色々整理出来てない今の気持ちじゃ、絶対応えられない。
与えてもらってるばかりじゃ申し訳ないもの。
「ふゅ、ふゅ!」
「あ、ごめんごめん。お代わりね?」
クラウに食べさせるスプーンの手も止まってたから再開させてあげた。
「ふゅふゅぅ!」
「今日はお客様もいるんだし、お行儀悪いからお皿ごと舐めちゃダメ!」
「ふゅぅ……」
最近、聞く時は聞くけど、ちょっとわがままとか自分勝手に行動することが目立つ。
生まれてひと月ちょっと経ったから、もう自分のしたいことが明確に表れてきたのか。あとでフィーさんに聞かなきゃわからないが。
なので、いつものメンバーならともかく今日はお客様がいらっしゃるから言い聞かせる方を優先にさせた。
「やめなきゃ、今日はおやつ無しにするよ?」
「ぶ、ぶゅぅ⁉︎」
使わないとは一応決めてても、ケースバイケースではそうもいかない。
ご飯じゃなくておやつ抜きでも堪えたのか、膨らんでた体が一気にしぼんでいった。
「あら、しっかり飴と鞭を使い分けてるわね? うちの子達は結構守護獣達を甘やかしてるから」
「あ、すみません……」
つい、大声出しちゃった。
でも、ミラさんは気にしないでと微笑んだら……何故かアイシャちゃんは見ずにサシェ君とエスティオちゃんに振り返った。
「同じ年頃なら、あなた達もお手本になさい?」
「「は、はーい……」」
二人とも、まだお口を汚したままだけど双子だからか同じようにしょんぼりとしてしまった。
「それにしても、素晴らしい腕前だったよ。子供達も気に入ったし、一度うちの城にも来て欲しいが……エディオス陛下が許してくれないか?」
「最低後見人のゼル込みだぞ?」
「うーん、まあそれは無理ないか。宰相殿もご一緒では、うちの連中が異常に気を遣うから」
セヴィルさんのお仕事モードは、他の国でも怖がられてるみたい。
僕まだ見てないから、本当にその具合がわからないんだよね。
先約?は一応ヴァスシードだから、チェイシアに行くとしたらもっと後だろう。
「「エディ兄様‼︎」」
「あ、どした?」
ラシードさんが引いたと思えば、今度は双子ちゃん達が声を揃えてエディオスさんを呼んだ。
叔父さんでも歳が若い?から、お兄さん呼びなんだと少し納得。
僕の姪っ子ちゃん達とかはまだ乳飲み子だったから、言葉は無理だったもの。
「「帰る前に、カティア(ちゃん)とお話させてください‼︎」」
「ぴ⁉︎」
「あー、話……か」
いきなりの事に驚いたが、エディオスさんは少し……いや、結構渋った。
無理もない。
僕はいくら外見が小学生でも中身は端の方にいるセリカさんと同じくらいだからだ。
あと、異世界からの来訪者がバレてはいけないだろうし。
「いいじゃないの、子供同士の会話くらいさせても」
「……まあ、な。カティアは、いいか?」
「え、え……っと、その……ご迷惑じゃなきゃ」
「俺達と話すの、嫌?」
「そ、そうじゃなっ……いよ」
敬語をそうになったが、慌てて訂正した。
この世界に来てから、クラウ以外じゃほとんど敬語だったからだ。
あと外見が同じくらいの人と話すのもなかったので。
「じゃあ、お話しましょう!」
エスティオちゃんの笑顔を見てしまうと断れる人はいないと思う。
エディオスさんも長くて一時間だと付け足して、許可を出してくれた。
場所は、子供達だけと言うことで僕が借りてるゲストルームになりまして、他の参加者はアイシャちゃんとクラウも加わることに。
大人しそうな性格のアイシャちゃんも、決まってから行きたいと挙手したからだ。
「片付けは給仕の子達に任せて、行っておいで?」
フィーさんがそう言ってくれたが、すぐに頭の中で彼の声が聞こえた。
【僕がちゃんと見ててあげるから、君の秘密の事聞かれたら助言するよ】
返事はしなくていいと付け足されたので、僕はクラウを抱っこして椅子から降りると空いてる手を小さな手に引かれた。
「行きましょう!」
正体はエスティオちゃんで、早く話たいのかうずうずしていた。
サシェ君は、妹のアイシャちゃんの手を握って待っててくれてた。
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