チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい

616號

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第2章

第百六十五話 わがまま

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 トーアと名乗る男は少しの間黙り込み、俺をじっと見つめる。

「……カラルさんだけではなく、アキトさん、あなたも特別でしたか……そのとおりです。俺のしてきたことはあまりに有名すぎて、本名を名乗ることをここ数百年していないんだ。いかにも俺はあのラッテだ……」

「ええっ!?」
「噓!?」

 ルーミエとユウキは驚いていたが、一人納得していたカラルが指摘する。

「ラッテさんと竜人族のお二人は傀儡……そして獣人族のあなたは魔の者で三人の操者ね」

 なるほど、レベルは操者を超えることはできないから低く、加えて年齢が出なかったのか……。

「ご明察だ……襲撃の情報を聞いて、隣街にいた俺たちは防衛するためにここに来た。
 そしてフェモが今朝、早くに起きて言うんだ『強力な魔族が来た』ってね。襲撃が来たことを察知したと思い、急いで準備をして、街に飛び出した」

 カラルがルーミエと転移魔法でやって来たときの話だな。

「それでも襲撃が始まった様子はない……力を感じる方へ向かうと、この宿にたどり着いたんだ。何も起こらないのに乗り込むわけに行かないので、そのまま待っていたら、日が昇るくらいにあなたたちが出てきた。姿を見て街を襲う気配もなくて、安心したよ。フェモの怯え方が尋常ではなかったからね……」

「それでその後もずっと、つけてたってわけか……」

「転移魔法陣に入っている時はわからないが、この街で起こったことは見ていた。あとをつけるような真似をして悪かった……」

「……いや、別にかまわない」

 跡をつけられていることは全く気が付かなったし、街を守りたいという思いは一緒だったはずだ。ラッテは複雑な表情を浮かべる。

「ここからが本題だ……実は獣魔族のフェモがあまり長くなく、もうすぐ寿命を迎える。キアートを一人にしたくないという俺のわがままのために、寿命を無理やり延ばしているんだ……」

 今もまだ迷っているラッテの言葉に続くようにフェモが願いを口にする。

「……おねがいカラル様。私たちを支配してほしいの」


 ここで言う支配とはカラルのモンスター・コアに入り傀儡として生命を存続させたいということだ。ダンジョン都市ドルトミア地下の三十二あるダンジョンを作り出したロンダールもしかり、この世に未練がある奴はこういった方法で寿命を延ばそうとする。

 長寿命のエルフを一人残して死にたくないということか……この問題は俺たち家族にもいえることで、俺とカラルは特殊な宝具”契りの寝具”で魂を同化しているため、俺は千年以上の寿命を手に入れた代わりにカラルは寿命を千年減った。レイラは八分の一はエルフの血が流れているのでその寿命は二百年ある。ルーミエとユウキは八十年くらいで寿命となる。生身のまま寿命が延びるのであればそれが一番なのだが、カラル以外の三人の寿命を延ばす方法の一つとして傀儡として支配するのもアリだと思っている。

 フェモから願われたカラルが答える。

「あら、素敵じゃない。夫婦が最後の時まで一緒にいることを願いとされるなんて……でもその見返りはご用意されているのかしら?」

 シビアに思えるが、その生命を維持させるにも精気の収集が欠かせないため、タダでいいなんてそんな虫のいい話はなく、その見返りは必要不可欠だ。

「金、武器、装備、戦力、なんでも聞き入れるつもりだよ」

 ラッテもそのあたりは心得ているようだ。

「……でもラッテさんが思っている以上にウチは過酷かもしれませんわよ、ねぇアキト様」

 そんなにハードルを上げるなよ。

「……ああ、覚悟はできている。頼むカラルさん!!」

 思いつめた表情をするラッテ一行。カラルもそんなに引っ張らないでOKしちゃえばいいのに……。

「ラッテさん、今わらわたちが一番求めているものは、戦力なの。それも個体能力が高ければ高いほどいいわ」

「それなら——」

「それでもわらわでは恐らくあなたの能力を最大限に活かすことはできないわ……」

「そ、そんな……」

 竜人族のチノが険しい表情で詰め寄ろうとするのをコアが止めている。

「我が夫アキト様の力があれば、可能かもしれないのよ」

 え!?初耳なんですけど……。

「彼は人族なのでは?」

「そうよ、わらわの術で魂を同化させたの」

「そ、そんなの聞いたことないわ」

 フェモが力なく否定する。カラルの兄、アールマー特製の豪華なベッドでアレをすると魂が同化するなんて考えもつかないだろう。

「まあ、アキト様の力は言うよりかは見せた方が早いのだけれど、今晩に準備をして、明日に試験を行って結果発表とします」

 何だか面接官にでもなった気分だな。相手は伝説の冒険者だぞ……。ルーミエとユウキなんて声には出していないが、表情が仲間になってほしいと言わんばかりだった。

 明日の朝この宿で待ち合わせることを伝えて、ラッテたちと別れた。
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