チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい

616號

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第2章

第百六十三話 帰還

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 悪魔族からの反撃は止まり、会場内に残っているモンスターは降下を急ぐ奴と他へ逃げる奴に二分化された。

 さて、どうするか……このフェス会場には軽いノリで異世界を侵略しちゃおうという奴らが集まり転移魔法陣を開いたようで、まさか乗り込んでくるなんて想定外だったのだろう。

 逃げる奴を追ってまで、殺したくはない……。街に住んでいる悪魔族も同じく無差別に殺す理由もない。何となく俺の中で方針が決まりつつあった。

 再び悪魔族からの攻撃が開始されるが、はじめの攻撃ほど火力はない。極私的絶対王国(マイキングダム)で方向を変え、打ち消しながら、攻撃元を潰していく。

 転移魔法陣に並ぶモンスターは全て倒したので、そろそろ引き上げるか……。

 極私的絶対王国(マイキングダム)を街を含めた周辺に拡大し、声を届ける。

「……聞け、悪魔族よ……今回の騒動に関する報復は、この程度で許してやる。……だが、同じことをしてみろ、デアネーストの全住民の死もってその対価を償うことになるぞ!」

 脅し文句はこれくらいしか思いつかなかった。時間を置いて、異世界転移魔法陣でこっそりと街の様子や動向を見に来ることにしよう。

 最後に開いていた悪魔族の転移魔法陣を閉じ、帰還のための転移魔法陣を開通させて、フォーマントの街に戻った。



 向こうの世界に行く前に展開しておいた、極私的絶対王国(マイキングダム)から統計を読む。モンスターの数はおよそ二千体がこちらに降りているようだ。

「カラル、今何体取り込んでいる?」

「……およそ五百体よ」

 街の防衛軍は一万で、圧倒的に防衛側が押している。それに空に展開されていた異世界転移魔法陣が消えたため、活気づいているようにみえた。

 ルーミエとユウキに好きなようにさせて、俺はその護衛につくことを伝える。

 通りに降り立ち、暴れているサイクロプスやキメラなど大型モンスターと戦っているところに彼女たちは向かっていった。

 他の冒険者とは全く違う速さで動き、モンスターに何もさせないままルーミエとユウキのコンビは次々に倒していく。

 戦う二人を目で追うカラルがつぶやく。

「二人とも強くなったわね」

「ああ、本当に凄まじい成長だよ。俺のこともそうだけどカラルの宝具のおかげだよ」

「今回の防衛はいかがでしたか?」

「大したことのない奴らで良かったよ。魔人相手だと連れているモンスターも強いだろうからもっと大変だったかもな。……そうだ、ユウキとの旅行が終わったら、さっきの悪魔族の街へ行こうか」

「ええ、喜んでお供するわ」



 夕方にはモンスターを倒し終えた。ギルドから終了宣言が響き渡り、街全体が歓声と雄たけびに包まれる。

「ルーミエ、ユウキお疲れ様さま。宿に戻って祝杯をあげよう」

 二人ともかなりの数のモンスターを倒したのにもかかわらず鎧はあまり汚れていない。

「もうすこし、この街を見ておきたいの。少し歩いてもいいかな?」

 ルーミエは感慨深げだ。この街の人たちが喜ぶ様子や被害の状況、防衛が失敗しエソルタ島が支配されたこと、自分自身の力のこと。色んなものが彼女の中で思い起こされてのいるだろう。

 ユウキが無言でルーミエと手をつなぐ。彼女たちにしかわからない思いがあるのだ。

 喜びあう人々。
 倒壊した建物に生き埋めなっている人を救助する光景。
 親しい者や家を失い嘆く人。
 街の中では喜怒哀楽が渦巻いている……。

 以前魔族に問いただしたら、この世界の地脈エネルギーが目当てだと言っていた。今回の悪魔族の目的は何だったのだろうか……。

「カラル。ユウキが撃ち抜いた首謀者らしい奴はモンスター・コアに残しているのか?」

 フォーマントの街の極私的絶対王国(マイキングダム)のダンジョン・コアはカラルのコントロール下にあった。

「はい」

「そいつを呼び出してくれ」

 そう伝えるとカラルは路地裏に入り、次の交差点で男を連れて合流する。

「ありがとう、カラル」

 分析能力で確認する。

◇ ◇ ◇
Lv1 亜種魔族 ソルディア 190センチ 95キロ 魔法使い
◇ ◇ ◇

 悪魔族が頭にはターバンを巻き、この街の住民と同じような服装をしている。レベルが1なのは召喚時に強制的に下げてあるからだ。街を歩きながら話を始める。

「ソルディア……お前、今の状況は理解できているのか?」

「確か異世界に降下しながら、魂魄束縛の魔法陣を展開していたはず……」

 即死だったので、最後の状況をはっきりとは覚えていないようだ。

「……降下中に頭を撃ち抜かれ、即死だった。そしてお前は俺たちの支配下になった」

「この体は支配されている……我が物ではないようだな……作戦は失敗したのか?」

 独り言とも取れるつぶやきに答える。

「ああ、さっきすべてが終わった。お前たちは負けたんだよ」

「はぁ……これで借金を返せると思ったのにな……」

「借金?……この侵略でお前は何を得たかったんだ?」

「侵略イベントを開催して、参加料や侵略で得られる金品をモンスター提供者に分配する。成功すれば胴元には多くの収入がある。……それで俺はこれまでの借金の返済したかった」

 失敗と聞き、うなだれながらも素直に答えるのは絶対服従の効果だ。

 悪魔族にも当然生活があり、ソルディアにも家族があった。しかし異世界侵略での一獲千金を夢見てしまったこいつは借金を一気に返し、遊んで暮らせるだけの金を目当てに今回のイベントを計画したそうだ。

 そしてこいつらの世界ではよくあることなのだと最後に付け加えた。

 今回の悪魔族、そしてエソルタ島を侵略した魔族。この世界は少なくとも二つの異世界からの侵略をうけている。

 侵略が定期的に発生している裏にはそんな事情があったのか……。もしかしたら第三、四の異世界からの侵略もあるのかもしれないな。

「頼む!俺にはまだ小さい子がいるんだ。開放してくれ!」

 ソルディアは身の上を話し終えると、命乞いを始めた。だったらこんなことはせずに、真面目に働けよ……。これ以上話すのは無駄だな。

「この状況を見てまだそんなことがいえるんだな……」

 今度は俺も路地裏へ入り、人の目がないことを確認して極私的絶対王国(マイキングダム)で死亡を命じ亡骸と精気を回収した。
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