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第1章 最果ての少女
はじめての街5
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「アリスお姉ちゃん!
すごいすごい、人もお店もいーっぱいある!
わぁ、わぁ、どこからみよう!」
市場に着くや否やちーちゃんは興奮しっぱなし。
無理もない。初めて見る大量のお店や見たことない数々の商品。色とりどりの野菜、かわいい洋服、きらきら光るアクセサリー。どれをとっても村にはない心躍らせる品々。
そんなちーちゃんをアリスは微笑ましく思った。街が閉ざされ、途方に暮れていた日々。焦る心が募り、荒んでいた自分を認識する。
事態が好転したわけではないが、いまだけはちーちゃんと楽しもう。アリスはちーちゃんの小さな手をきゅっと握りなおした、
「ははっ、ちーちゃん、あまりはしゃいで迷子にならないようにね」
「だ、だいしょうぶだよ、ちーちゃんはもう、7歳だもん」
少しだけ自信のない返事。
見栄を張りたいお年頃である。
「お母さんへのプレゼントを探しているんだったね。
そしたらアクセサリーショップを覗いてみよう」
物流が途絶えてはいるがゆえに、アクセサリー等の趣味嗜好品は余っている。
ふたりはひとつの露店へと足を運ぶ。
そこでは日差し避けのため全身を布で覆い、頭にはターバンを巻いた如何にも砂漠の商人が番を張っていた。
眼前に広げられたしーおの上には所狭しとアクセサリーが置いてある。
「へいらっしゃい、お嬢ちゃんどんなのをお望みだい?」
「へい、いらっしゃいました!!
あのね、お母さんにプレゼントするために、綺麗なアクセサリーが欲しいの!」
商人はニコニコと笑顔を浮かべながら、ちらりとアリスの方を見る。
「……おい、私ではないぞ」
こんな大きな子がいる年に見えるのかと、射殺すような目で商人を見る。
商人はそれを受け流すと、ちーちゃんの相手をし始める。
「そうかいそうかい、偉いな嬢ちゃんは。
プレゼントであればブレスレットか、ネックレスがお勧めだよ。
ほら、これなんかどうだい?」
そう言って、いくつかの商品をちーちゃんへ紹介する。
アリスはぼったくられないか厳しい目でやり取りを見ている。
その心配も杞憂であり、商人はちーちゃんのお小遣い程度でも変えそうなアクセサリーを選んでいる。
(ふむ、悪い商人ではなさそうだな)
子ども相手にここまで丁寧に接する露店商人は珍しい。
大人に対しても憮然とした態度で接客する露店商人は多い。
ちーちゃんはいくつかのアクセサリーを見て、うーんと悩みながらも、ひとつのネックレスに決めたようだ。
「これに決めたっ!!!」
「白水晶のネックレスか、嬢ちゃんいいセンス持ってるね」
白水晶はこの世界で最も多く取れる宝石であり、価値はほぼないに等しい。
商品価値を付加するのは如何に綺麗にカットするかであり、原価が安いため職人の練習用で作られた綺麗にカットされた安価な宝石が多く流通している。
職人の腕を見るには白水晶のカットを見れば分かると言われる程である。
その白水晶は綺麗にカットされていた。
見るものが見れば熟練のものであるのがわかるだろう。
ちーちゃんがそれを選んだのはたまたまである。
決して選定眼があるわけではない。
「それじゃあ、5400サクルになります」
7歳の少女が支払うには高額である。
果たしてこの少女は持っているのか。
まあ、持っていなくても後ろのお姉さんが払ってくれるだろう。
そう判断して商人はちらりとアリスをみた。
「ちーちゃん、足りなかったら私が出すよ」
「お小遣いたくさんためてるから、きっと大丈夫」
ごそごそとポシェットの中を漁り、かわいらしい小さながま口財布をとりだす。
実に田舎の子供らしい財布だなと、アリスは微笑ましく思った。
だが、その中から出てきたものを見て、アリスの笑みは凍りついたり
数枚の銀色の貨幣。
「はい、おにいさん!これで足りるかな?」
「ちち、ちーちゃん、それは、ま、まままさか、ゆゆ、ユークリッド聖貨幣?」
「じょじょじょ、嬢さん、ちょっと見せてくれないか?」
いにしえの頃に栄えた超文明ユークリッド。
そのころに使用されていた最高級の魔貨である。
天運を魔法の力によって引き寄せることができる貨幣。
これを手にして巨万の財を為した伝説の商人も語り継がれている。
古物としての価値はもちろん、魔道具としての価値も計り知れない逸品。
現存が確認されているのは、わずかに3枚。
新たに発見されれば、一枚20億サクルは下らないだろう。
それが小さながま口財布から、6枚も出てきたのだ。
アリスと商人は大量の汗をかきながら、ちーちゃんの手のひらに乗っかっている貨幣を見つめるのであった。
すごいすごい、人もお店もいーっぱいある!
わぁ、わぁ、どこからみよう!」
市場に着くや否やちーちゃんは興奮しっぱなし。
無理もない。初めて見る大量のお店や見たことない数々の商品。色とりどりの野菜、かわいい洋服、きらきら光るアクセサリー。どれをとっても村にはない心躍らせる品々。
そんなちーちゃんをアリスは微笑ましく思った。街が閉ざされ、途方に暮れていた日々。焦る心が募り、荒んでいた自分を認識する。
事態が好転したわけではないが、いまだけはちーちゃんと楽しもう。アリスはちーちゃんの小さな手をきゅっと握りなおした、
「ははっ、ちーちゃん、あまりはしゃいで迷子にならないようにね」
「だ、だいしょうぶだよ、ちーちゃんはもう、7歳だもん」
少しだけ自信のない返事。
見栄を張りたいお年頃である。
「お母さんへのプレゼントを探しているんだったね。
そしたらアクセサリーショップを覗いてみよう」
物流が途絶えてはいるがゆえに、アクセサリー等の趣味嗜好品は余っている。
ふたりはひとつの露店へと足を運ぶ。
そこでは日差し避けのため全身を布で覆い、頭にはターバンを巻いた如何にも砂漠の商人が番を張っていた。
眼前に広げられたしーおの上には所狭しとアクセサリーが置いてある。
「へいらっしゃい、お嬢ちゃんどんなのをお望みだい?」
「へい、いらっしゃいました!!
あのね、お母さんにプレゼントするために、綺麗なアクセサリーが欲しいの!」
商人はニコニコと笑顔を浮かべながら、ちらりとアリスの方を見る。
「……おい、私ではないぞ」
こんな大きな子がいる年に見えるのかと、射殺すような目で商人を見る。
商人はそれを受け流すと、ちーちゃんの相手をし始める。
「そうかいそうかい、偉いな嬢ちゃんは。
プレゼントであればブレスレットか、ネックレスがお勧めだよ。
ほら、これなんかどうだい?」
そう言って、いくつかの商品をちーちゃんへ紹介する。
アリスはぼったくられないか厳しい目でやり取りを見ている。
その心配も杞憂であり、商人はちーちゃんのお小遣い程度でも変えそうなアクセサリーを選んでいる。
(ふむ、悪い商人ではなさそうだな)
子ども相手にここまで丁寧に接する露店商人は珍しい。
大人に対しても憮然とした態度で接客する露店商人は多い。
ちーちゃんはいくつかのアクセサリーを見て、うーんと悩みながらも、ひとつのネックレスに決めたようだ。
「これに決めたっ!!!」
「白水晶のネックレスか、嬢ちゃんいいセンス持ってるね」
白水晶はこの世界で最も多く取れる宝石であり、価値はほぼないに等しい。
商品価値を付加するのは如何に綺麗にカットするかであり、原価が安いため職人の練習用で作られた綺麗にカットされた安価な宝石が多く流通している。
職人の腕を見るには白水晶のカットを見れば分かると言われる程である。
その白水晶は綺麗にカットされていた。
見るものが見れば熟練のものであるのがわかるだろう。
ちーちゃんがそれを選んだのはたまたまである。
決して選定眼があるわけではない。
「それじゃあ、5400サクルになります」
7歳の少女が支払うには高額である。
果たしてこの少女は持っているのか。
まあ、持っていなくても後ろのお姉さんが払ってくれるだろう。
そう判断して商人はちらりとアリスをみた。
「ちーちゃん、足りなかったら私が出すよ」
「お小遣いたくさんためてるから、きっと大丈夫」
ごそごそとポシェットの中を漁り、かわいらしい小さながま口財布をとりだす。
実に田舎の子供らしい財布だなと、アリスは微笑ましく思った。
だが、その中から出てきたものを見て、アリスの笑みは凍りついたり
数枚の銀色の貨幣。
「はい、おにいさん!これで足りるかな?」
「ちち、ちーちゃん、それは、ま、まままさか、ゆゆ、ユークリッド聖貨幣?」
「じょじょじょ、嬢さん、ちょっと見せてくれないか?」
いにしえの頃に栄えた超文明ユークリッド。
そのころに使用されていた最高級の魔貨である。
天運を魔法の力によって引き寄せることができる貨幣。
これを手にして巨万の財を為した伝説の商人も語り継がれている。
古物としての価値はもちろん、魔道具としての価値も計り知れない逸品。
現存が確認されているのは、わずかに3枚。
新たに発見されれば、一枚20億サクルは下らないだろう。
それが小さながま口財布から、6枚も出てきたのだ。
アリスと商人は大量の汗をかきながら、ちーちゃんの手のひらに乗っかっている貨幣を見つめるのであった。
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