おいでよ、最果ての村!

星野大輔

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第2.5章 草原の詩

奥へ続く穴

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「はい、これでまお兄ちゃんにプレゼントできるね!」
「ありがとう、ちーちゃん!」

魔石を持ち上げて、レイリに渡すちーちゃん。
二人ともこの魔石の価値を知らない。
レイリは運よく掘り出すことが出来たが、魔石というものは本来レアリティのとても高いものだ。
山一つ掘り返しても出ないことなんてざらだ。

レイリはたまたま、この付近で小さな魔石の欠片を見つけたことから、ここにあたりを付けた。
それで現れたのが50cm近くの魔石。

市場に出れば500万サクルはくだらない。



「あれっ?」

レイリが崩れた洞の奥に何かを見つける。

「穴がある、奥につづいてる穴があるよ、ちーちゃん」

ちーちゃんの一撃で崩れ去った土壁の奥に、ぽっかりと暗闇がのぞいていた。
長い間ふさがれていたのだろう、むせ返るような土の湿った匂いが吹き出てくる。

「ほんとだ、おーーーーい!」

ちーちゃんは奥へ向かって声をかける。
その声は狭い通路を何度も反響し、やがて消えていく。

「結構深そうだね……」

レイリはごくりとつばを飲み込む。

「ね、ねぇちーちゃん、この奥を探検してみない?」
「探検!?」

その言葉にときめかない子供はいないだろう。
ちーちゃんはすっかりウキウキとした気分になっている。
しかし、誘った当の本人であるレイリは決して浮かれてなどいない。

兄も成人となる。
弟である自分もしかっかりせねばならぬ。
そんな思いがレイリの中にはあった。

これはちょっとした冒険。
普段大人しいレイリの初めての無茶。

(僕だってすこしは強くなるんだ!)

ちーちゃんの子ども前回の浮かれっぷりとは違い、レイリのそんな思いを抱いていた。



「それじゃあ、レイリ隊員!!
 準備はよいでありますか!?」

ピシっと敬礼を決めるちーちゃん。
その横でケロちゃんも心なしかビシッとした。

「は、はい、ちーちゃん!」
「ちーちゃんではない!!
 ちーちゃん隊長である!!」
「はい、ちーちゃん隊長!!」

隊長と言う響きに、にへらと笑うちーちゃん。

「われわれは仲間である、パーティーである。
 れんけいを取って、気を付けてすすむぞー」
「おーーーっ!」

気の抜けた掛け声とともに、二人は穴の奥へと進んでいく。




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