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第2.5章 草原の詩
砕け散る
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「ち、ちーちゃん」
がっくりとひざを着くレイリ。
自分が誘ってしまったばかりに、こんなことになってしまった。
「そうだ、絶望しろ!
その表情がたまらんのだよ、くくくく」
「ああ、いい匂い」
「かぐわしい、ぜつぼう」
「じゅるるるる」
さまざまな恐怖の感情がレイリを襲う。
まともに村を出たことも無いレイリは、魔物すらみたことがない。
そんな少年が初めて相対した魔物は、絶望級の怪物。
遠い昔、大賢者が封印した伝説上の魔物。
そんなものの前に自分が出来ることなどない。
逃げ惑うことすら許されないだろう。
(ぼ、くの人生は、ここで、おわりなんだ。
ごめん、ちーちゃん。
ごめん、お兄ちゃん。
せっかく魔石を見つけたのに…魔石!)
手元に輝く魔石。
何かに呼応するかのように奥底で明滅する光。
(いちかばちか)
魔石を握りしめ、視線を魔物へと移す。
そこには先ほどまでの絶望に満ちた表情はない。
その表情が気に食わなかったのは魔物。
「無駄な希望を持ちおって。
ふん、鮮度が落ちる前に食ってやろう!!」
激情をむき出しに襲い来る魔物。
足が震えるのを抑え、レイリは手に持った魔石を投げる。
魔石が魔物へあたり砕けると、凄まじいエネルギーが空間を包む。
衣類はひとつも揺れないというのに、体の奥を突き抜けるような、精神への衝撃。
それは魔物へ大きなダメージを負わせた。
「ぐぐぐ、ぐがあああああああ!!!
貴様、よくもやってくれたな!!!!」
「いだい、いだいよぉ」
「体の中の何人かが、しんでしまった」
「ふっ」
レイリはこれから訪れる死を感じながらも、一矢報いたことで笑みを浮かべた。
「いつまでも弱気な僕だと思うなよーーー!!!
さぁ、食べるならさっさと食べてみろーーーー!!」
「言われずとも、その体、ひとかけらも残さず食べてや「やーーーーーーっ!!」ぐぼおぉぉっ!!!!」
突然、魔物の体が弾けた。
その中からは、当たり前のような顔をしてちーちゃんが現れた。
「ちーちゃん!!無事だったの!?」
「ん?? どうしたのレイリ??」
全く現状を理解していない、ちーちゃん。
先ほどまで絶望をまき散らしていた魔物は、欠片ひとつ残っていなかった。
相変わらず空気を読まないちーちゃん。
「あれ? 何か落ちてる?」
レイリは砕け散った魔物のいた場所に、きらりと光るものを見つけた。
それは白い陶器で作られたかのような美しい光沢を持った剣。
「きれいだねー」
「うん、すごくきれい。
これ、お兄ちゃんにプレゼントしたら喜ぶかな」
「わーーー、良いと思うよ!
絶対に喜ぶよ!!」
こうして二人は、誰から知られることも無く村を救ったのである。
とぅるるっとゅとゅー♪
レイリはどこからともなく聞こえた音に、周囲を見回す。
しかし、それらしきものは何もなく、気のせいだと思うことにした。
「レイリー、はやくかえろうよーー」
「うん、ちょっとまって、今行くよちーちゃん」
がっくりとひざを着くレイリ。
自分が誘ってしまったばかりに、こんなことになってしまった。
「そうだ、絶望しろ!
その表情がたまらんのだよ、くくくく」
「ああ、いい匂い」
「かぐわしい、ぜつぼう」
「じゅるるるる」
さまざまな恐怖の感情がレイリを襲う。
まともに村を出たことも無いレイリは、魔物すらみたことがない。
そんな少年が初めて相対した魔物は、絶望級の怪物。
遠い昔、大賢者が封印した伝説上の魔物。
そんなものの前に自分が出来ることなどない。
逃げ惑うことすら許されないだろう。
(ぼ、くの人生は、ここで、おわりなんだ。
ごめん、ちーちゃん。
ごめん、お兄ちゃん。
せっかく魔石を見つけたのに…魔石!)
手元に輝く魔石。
何かに呼応するかのように奥底で明滅する光。
(いちかばちか)
魔石を握りしめ、視線を魔物へと移す。
そこには先ほどまでの絶望に満ちた表情はない。
その表情が気に食わなかったのは魔物。
「無駄な希望を持ちおって。
ふん、鮮度が落ちる前に食ってやろう!!」
激情をむき出しに襲い来る魔物。
足が震えるのを抑え、レイリは手に持った魔石を投げる。
魔石が魔物へあたり砕けると、凄まじいエネルギーが空間を包む。
衣類はひとつも揺れないというのに、体の奥を突き抜けるような、精神への衝撃。
それは魔物へ大きなダメージを負わせた。
「ぐぐぐ、ぐがあああああああ!!!
貴様、よくもやってくれたな!!!!」
「いだい、いだいよぉ」
「体の中の何人かが、しんでしまった」
「ふっ」
レイリはこれから訪れる死を感じながらも、一矢報いたことで笑みを浮かべた。
「いつまでも弱気な僕だと思うなよーーー!!!
さぁ、食べるならさっさと食べてみろーーーー!!」
「言われずとも、その体、ひとかけらも残さず食べてや「やーーーーーーっ!!」ぐぼおぉぉっ!!!!」
突然、魔物の体が弾けた。
その中からは、当たり前のような顔をしてちーちゃんが現れた。
「ちーちゃん!!無事だったの!?」
「ん?? どうしたのレイリ??」
全く現状を理解していない、ちーちゃん。
先ほどまで絶望をまき散らしていた魔物は、欠片ひとつ残っていなかった。
相変わらず空気を読まないちーちゃん。
「あれ? 何か落ちてる?」
レイリは砕け散った魔物のいた場所に、きらりと光るものを見つけた。
それは白い陶器で作られたかのような美しい光沢を持った剣。
「きれいだねー」
「うん、すごくきれい。
これ、お兄ちゃんにプレゼントしたら喜ぶかな」
「わーーー、良いと思うよ!
絶対に喜ぶよ!!」
こうして二人は、誰から知られることも無く村を救ったのである。
とぅるるっとゅとゅー♪
レイリはどこからともなく聞こえた音に、周囲を見回す。
しかし、それらしきものは何もなく、気のせいだと思うことにした。
「レイリー、はやくかえろうよーー」
「うん、ちょっとまって、今行くよちーちゃん」
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