おいでよ、最果ての村!

星野大輔

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第3章 偽りの王

貧困街1

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王都の街並みは青空のした波立つ海のように美しい姿であった。
しかし貧困街はさながら、波打つ岸壁の窪みに集まるゴミのよう。
王都の青とは反対に灰色に染まっている。

それもそのはず、王都の街並みから隠すように塀に遮られたここは日差しもろくに差し込まない。

灰色の街に暮らす人々は、その名の示すよう灰色の生活を送って・・・いなかった。

昨日降った雨が未だ水たまりとなって残っている路地裏で、子供たちがばしゃばしゃとはしゃいでいる。

「こら、あんたたち、服汚すんじゃないよっ!!」
「きゃっきゃ、きゃっきゃ♪」

あるところでは。

「おい、銭屋のとこの息子が結婚したんだってよ」
「そうか、だったらいっちょ家でも建ててやっか」
「おお、南の廃材所に新しい材木が捨てられてたな」
「なあなあ、ちょっと試してみたいデザインあんだけど、俺が設計していいか」

あるところでは。

「へーっへっへっへ、依頼はなんだい。
 盗み、恐喝、殺人、誘拐、なんでも引き受けるぜ」
「ああ、凄腕のあんたに頼みたい依頼はこれだ」
「これは!!」
「キャルロットちゃんのパンツ。
 報酬は板チョコ5枚でどうだ」
「破格だな、その依頼承った!!」
「こらあんたら、こそこそと何やってんだい。
 子供はどぶ川の掃除だよ」

貧困街の連中は中々に逞しかった。
いや、人間というものはなんやかんやで環境に適応できてしまうのだ。

金こそないが、その陽気な雰囲気は王都に負けていない。

ちーちゃんはすっかり雰囲気に飲まれていた。
楽しそうな人たちがいると混じりたくなるのだ。

「上の連中、こんなでっかい鉄くずまで捨てやがって。
 てめーらいっせーのせで押すぞ。
 いっせーのせ!」
「やーーーっ!」
「うぉおっ、なんだ!?」

廃材置き場でがやがやと何かを作業している中に、ちーちゃんはしっかりと混じっていた。
大きな鉄の廃材を大勢で押している姿が何かの祭りと勘違いしたのだろう。
勢いあまって、一人で押し切っていた。

鉄廃材は「ごぅん」と音を立てて、廃材の山の奥へと落ちていった。

集まっていた大人たちはぽかんとした表情でみていた。
小さな女の子が5mもあるような廃材を一人で動かしたのだ。
普通であれば悪い夢でも見ているとでも思ったであろう。

「おおおい、すげえな嬢ちゃん!!」
「なんだなんだ、ここらじゃ見ない顔だな」
「もしかして魔族かなんかかい?」
「いや、たまげた!」

貧困街の大人たちは珍奇な客人に大盛り上がりであった。

「??」

ちーちゃんはと言えば、周囲の楽しそうな雰囲気に、とりあえず笑っていた。






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当初の予定は、
街に入って宿屋いって、翌日に王と謁見の予定だったのに、
ちーちゃんが勝手に貧困街に迷い込んでしまった。

何か流れるままに書いてしまったが、
そもそも第三章にこんな貧困街の予定なかったから、
すっかりお話に迷っちゃってます。

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