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第3章 偽りの王
ラックの疑惑4
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久々に再開したジョイフルの纏う魔素はかつての比ではなかった。
ラックがこの街を離れた数年間の間に彼もまた半魔として目覚めたのであろう、質問するまでもなくそれは明白である。
それに簡単に触れていい話題でもない。
だからラックは気づかないフリをしていた。
「やっぱり気づいていたか」
「ああ、会った瞬間に分かったよ。
そんな濃密な魔素を纏っておきながら、気づかないわけ無いだろう」
「そりゃそーだ。
魔族は魔素を感じ取れる感覚を持ってるもんな」
「ああ」
その感覚を自覚する度にラックは自らが半魔であることを思い出し嫌な気分になる。
「だからこそ気づかない訳がないだろう、魔物の大発生を。
街から数キロも離れてない森だ。
しかも話を聞くに一月、二月といったレベルの滞留じゃない。
少しでも街から出れば気づくはずだ。
あそこへちーちゃんを乘せた馬車を通らせたのは、故意としか考えられない」
ラックは鋭い目つきでジョイフルを睨みつける。
それをジョイフルは何とも無いかのように受け流す。
口を開かぬままジョイフルは壁際の酒棚へと近寄ると、白い酒瓶を一本取り出しグイッと飲んだ。
「っはーー、昼から飲む酒は最高だな。
世の中のみんなが一生懸命に働いている時にだ、俺はこうして部屋でくつろいで酒を浴びている。
とても昔は考えられなかった。
俺はいつまでも、どこまでいっても下っ端だと思っていたさ。
上へいける、登れるなんて想像すらしたことがなかった。
そりゃそうだ、俺にそんな力はなかったからな。
人間は空を飛ぼうだなんて思わないだろう。
それと一緒さ、無理だと予め分かっていることを想像しないものさ。」
一息つくと再び酒瓶を傾ける。
「だが、どうだ。
俺は自らが半魔だと知った時、この力に身震いした。
溢れ出してくる今まで感じたことのない力に狂喜したよ。
ただの餓鬼でしかなかった自分が、全てを手に入れる力を得たんだ。
夢が夢ではなくなった。
上を目指せる、どこまでも上を目指せるんだ。」
「・・・お前はこの力を疎んだことがないのか?」
「ラックよ、お前がいたから俺は受け入れられたのかもしれない。
お前が辿った運命をこの目で見ていたからな。
だから、自分の身に降り掛かった時、俺は冷静でいられたんだ。」
ジョイフルはラックの肩に手をおいた。
「受け入れるしか無いんだよ。
いくら恨んだって、俺達は半魔であることに変わりはない。
だったらその力を最大限に活用しようじゃないか。
お前がいてくれれば、俺も力強い。
また、二人で昔のように暴れよう。
そしてこの街を俺達のものにしよう。
今なら決して夢物語ではないんだ」
囁くように語りかけてくるジョイフルの言葉が、ジワジワとラックの心へ染み込んでいった。
-----------------------------------------------------------
くらーーーい、なんか暗いです!
第三章は諦めてください!
次章はコメディ中心になりますので、今回はご勘弁を!!
とても嬉しいことに、お気に入りが1000件を超えました。
いやあ読んでくれる人っているもんですね。
ラックがこの街を離れた数年間の間に彼もまた半魔として目覚めたのであろう、質問するまでもなくそれは明白である。
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「ああ、会った瞬間に分かったよ。
そんな濃密な魔素を纏っておきながら、気づかないわけ無いだろう」
「そりゃそーだ。
魔族は魔素を感じ取れる感覚を持ってるもんな」
「ああ」
その感覚を自覚する度にラックは自らが半魔であることを思い出し嫌な気分になる。
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少しでも街から出れば気づくはずだ。
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それをジョイフルは何とも無いかのように受け流す。
口を開かぬままジョイフルは壁際の酒棚へと近寄ると、白い酒瓶を一本取り出しグイッと飲んだ。
「っはーー、昼から飲む酒は最高だな。
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とても昔は考えられなかった。
俺はいつまでも、どこまでいっても下っ端だと思っていたさ。
上へいける、登れるなんて想像すらしたことがなかった。
そりゃそうだ、俺にそんな力はなかったからな。
人間は空を飛ぼうだなんて思わないだろう。
それと一緒さ、無理だと予め分かっていることを想像しないものさ。」
一息つくと再び酒瓶を傾ける。
「だが、どうだ。
俺は自らが半魔だと知った時、この力に身震いした。
溢れ出してくる今まで感じたことのない力に狂喜したよ。
ただの餓鬼でしかなかった自分が、全てを手に入れる力を得たんだ。
夢が夢ではなくなった。
上を目指せる、どこまでも上を目指せるんだ。」
「・・・お前はこの力を疎んだことがないのか?」
「ラックよ、お前がいたから俺は受け入れられたのかもしれない。
お前が辿った運命をこの目で見ていたからな。
だから、自分の身に降り掛かった時、俺は冷静でいられたんだ。」
ジョイフルはラックの肩に手をおいた。
「受け入れるしか無いんだよ。
いくら恨んだって、俺達は半魔であることに変わりはない。
だったらその力を最大限に活用しようじゃないか。
お前がいてくれれば、俺も力強い。
また、二人で昔のように暴れよう。
そしてこの街を俺達のものにしよう。
今なら決して夢物語ではないんだ」
囁くように語りかけてくるジョイフルの言葉が、ジワジワとラックの心へ染み込んでいった。
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くらーーーい、なんか暗いです!
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