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第4章 異世界からの訪問者
死蔵依頼
しおりを挟む「俺はただ魔王を退治しようと・・・」
「それが余計なお世話だというのだ、全く。
新人冒険者か、貴様は?」
「・・・だから言ってるだろう、俺は勇者だって!」
「それはもういい、組合に登録しているか否かを聞いてるんだっ!」
アリスの迫力にタキタは言葉をつまらせる。
「・・・登録は行ってない。」
「依頼人でもなければ、組合を利用するには登録は必須だ、覚えておけ!
それにだ、魔王は対国家間の情報扱いだ、特例でない限りその情報は一般に入手することは出来ない。
・・・ふん、まあ仮に本当に勇者であれば別かも知れないがな。」
「だから俺は勇者だと言ってる・・・!」
「口で言うならそこらへんの子供でも言える、勇者であるなら身をもってその功績を示してみよっ!」
売り言葉に買い言葉というか、アリスは牽制の意味でそう言ったのだが、タキタは違う意味で受け取ってしまった。
功績を示せば、勇者だと認めてくれるのだと。
「ふふふふふふふ、そういうことか。
確かに力を示すイベントは必須だよなぁ。」
「なにをブツブツ言ってるのだ。」
「いや、あんたの言うことは最もだ、ふふふ、俺はまだ素性の知れないイチ戦士だもんな。
であれば、示そうじゃないか、チカラっ!!」
タキタは再び嬢の方を見ると、手を差し出す。
「組合への登録準備よろしく!
あと一番むずかしいクエストを紹介してくれっ!」
「えっ、え、えええっ!!?」
「急にそんな難しい依頼こなせるわけ無いだろう!
物事には順序ってものがっ!」
「まあまあお姉さん、そんなことは百も承知。
だけど冒険者たるもの全ては自己責任。
俺が死んだからといって誰が迷惑になるんですか?
あ、もちろん依頼は人に迷惑が掛からないもので構わないよ。」
正真正銘の命知らずのバカだと、アリスは頭を抑えながら、もう説得は無理とばかりに溜息をつく。
これは痛い目を見ないと、引っ込みがつかないと思ったアリスは受付嬢に話しかける。
「済まないが、死蔵依頼から見繕ってくれ。」
「か、かしこまりました!」
「死蔵依頼?」
タキタが頭にはてなマークを浮かべていると、受付嬢は戸棚から一本の依頼書を持ってきた。
「死蔵依頼とはな、依頼は出されたものの誰にも達成できなかった依頼のことだ。
勿論、危険な依頼であれば組合が国に依頼し報奨金を上乗せしたり、国が直接動いたりしてなど達成するものだが、即座に危険ではないと判断されたものに関しては一定期間後に死蔵依頼として奥へ仕舞われる。
ずっと張っておいては、依頼ボードがいくつあっても足りないからな。
死蔵されたものに関しては、組合が適宜達成できそうな冒険者が現れた際に提案したりするなどして、消化していくのだ。」
「なんでそんなものを。」
「言ったであろ、放置しても問題のない依頼だ。
貴様が失敗しようとも誰にも迷惑を掛けないってことだ。
ただし、死蔵依頼と言われるものは総じて難易度が高い。」
「あのー、依頼の方持って参りました。」
受付嬢が持ってきた依頼の内容はこうだ。
王都から10km離れた所にある山の頂上で発見された古代遺跡の探索と制覇。
(古代遺跡というものの多くは防衛機構が備わっており、往々にして最奥に制御装置がある。)
「ふむ、遺跡探索であれば国が主導してもおかしくないものを、どうして死蔵なんかに?」
「なんでも高ランク冒険者が何組も挑んだのですが、半数以上が帰還できず、また残りの方も壊滅的なダメージを受けております。
国としても制覇したいのですが、組合長の方が危険と判断し、死蔵したようです。」
「ふふふふふ、いいねえ、俺にふさわしい依頼じゃないか!」
タキタが声高らかに笑った。
何をそんなに喜んでいるのかとアリスは眉をひそめる。
「こちらの成功報酬の方ですが300万サクルになっております。」
「なにっ、300万だとっ!!」
今度はアリスが受付嬢に食いかかった。
その依頼料は破格、借金を返済しても有り余るほどの金額。
目の色を変えたアリスを見て、タキタは小さく笑みを浮かび話しかけた。
「なあ、お姉さん。
よかったら俺と勝負をしないか。
内容は勿論、どちらが早く依頼を達成できるか、だ。」
「な、なんだと!?」
「依頼料はもちろん勝った方のもの。」
「馬鹿者、組合からの依頼を勝負事にするなど・・・」
「もしお姉さんが勝った場合は、俺の方からも追加で200万サクル追加でだそう。」
「乗った!!!」
アリスは喜々として飛び乗った。
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今週中に終わるか心配になってきた・・・。
来週になるとまた時間が・・・。
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