自己顕示欲の強い妹にプロデュースされる事になりました

白石マサル

文字の大きさ
6 / 167
第一章~始まり~

服装と髪型

しおりを挟む
 翌朝、柚希に半ば強引に外に連れ出された。
 何処へ行くのかと尋ねると、「着いてからのお楽しみ」としか答えてくれず、柚希に引っ張られるような感じで歩く。
 しばらく歩いて、駅前の繁華街までやってきた。
 繁華街といっても大都市の物に比べると繁華街と言っていいものか困るが、一応俺の住む市では一番栄えてる場所なので気にしない。
 結構人が居るのにスイスイと人を避けながらスムーズに歩いている柚希とは対照的に、俺は時たま肩がぶつかってしまい、思うように進めない。
 柚希の後を見失わない様に必死に後を追うと、柚希は目的地に着いたのかとある店の前で俺を待っている。
 ようやく柚希に追いつくと

「遅いよ~」

 とお叱りをを受ける。

「それじゃあもうすぐ予約の時間だから受付に行って予約した佐藤です。って言ってきて」

 と言い、柚希の後ろにある美容院を指刺した。

「え? 何で俺が?」
「お兄ちゃんが髪を切って貰うからに決まってるじゃん!」

 いやいや、俺が美容院? 無理無理無理無理! 美容院ってまさにリア充御用達感あるし、店員も凄い話しかけてくるしで、俺の苦手な物の一つだ。
 
「ま、まだそんなに伸びてないし切らなくてもいいんじゃないか?」

 と、小さな抵抗をするが

「ダメ! 身だしなみをキチンとするのもリア充には必須なの」
「それはそうだけど……。店員に何て言って切って貰えばいいんだ? それに話しかけられたとき平常心でいられる自信ないぞ」

 俺の言葉に柚希はニヤリと笑って

「大丈夫!今日カットしてくれる人はいつも私の担当の人だし、予約する時にある程度事情ははなしてあるから!」

 なんて用意周到なんだ! と驚いていると

「もう時間だから早く! 1センチ程カットして貰って、全体的に剝いてください。って言えば大丈夫だから!」

 半ば強引に店に入らされた俺は、緊張と元からのコミュ力の無さで店員にどもりながら

「あ、あの……、よ、よ、予約してた佐藤ですが……」

 

 約1時間後、俺はようやく美容院から解放された。
 店員も事情を柚希から聞いていたからだろうか、事務的な事以外は話しかけてこなかった。
 柚希は美容院の斜め向かいにある喫茶店で待ってるという事だったので喫茶店にはいる。
 店内を見渡すと二人掛けの席でスマホを弄る柚希の姿が見えたので、柚希の向かい側に腰を下ろす。

「あ、終わったんだ」
「ああ、すげー緊張した」

 柚希はしばらく俺の髪型をジーッと見たあと

「いいじゃん!髪のセットの仕方も教わったんでしょ?ちゃんと覚えた?」

 おお!今の俺は良い感じらしい。

「教わったよ。一応セットの仕方も覚えてる。それで俺がワックス使った事無いって言ったらオススメを買わされた」

 何なんだあの巧みな話術は。ついワックスを買ってしまった。将来壺とか買っちゃいそうで自分が怖い。

「ワックス買ったんだ。それなら毎日キチンと髪はセットする様に!」
「春休み中はしなくてもいいだろ?」
「ダ~メ!ちゃんと練習しないと思った様にセット出来なくなっちゃうし、これも特訓だよ」

 まぁ確かに、いざ新学期という時にセット出来ないんじゃ元も子もないよな。
 俺が納得したのを確認すると

「じゃ、次は服を買いに行くからね」

 と言いながら席を立つ。
 洋服店も苦手なんだよなぁ。センスが無い上にここでも店員が絡んでくるし。
 憂鬱なまま俺も席を立ち、何故か俺が支払いをして喫茶店を後にした。

 ショッピングモールに移動した俺達はまたもや柚希先導のもとモール内を迷いなく歩いている。
 どの店が何処にあるか全て把握してるのか? これもリア充に必要なことなのだろうかと考えている内に目的の店に着いた。

「この店が無難かな~。クラスの男子もここのブランド着てるし」

 ああ、俺には縁のなかったオシャレだ。

「どんな服を買えばいいんだ?オシャレなんてさっぱり分からないぞ?」

 そう言うと柚希はTシャツが並んでる売り場に行き

「お兄ちゃんならどれを選ぶ?選んでみて」

 と無茶振りをしてきた。
 悩んだ末に無地の黒いシャツを手に取る

「これかな。なんか落ち着く感じするし」

 と柚希にシャツを見せると

「無い」

 たった二文字で返されてしまった。

「じゃあどうすればいいんだ?」

 という俺の問に

「センスが無いならセンスのある人の真似をすればいいんだよ。ファッション誌とか見たりね」

 でも、と柚希は続ける。

「もっと簡単なのはマネキン買いする事かな」

 例えば……と、店内を見渡して一つのマネキンの前まで移動して

「これ一式下さいっていうだけでオシャレになれるの」
「マネキン買いがオシャレなのか?」

 マネキンが着てる服を一式下さいとか逆にオシャレじゃない様に感じたので、柚希に聞いてみると

「マネキンが着てる服のコーディネイトって誰がしてると思う?」

 という質問が飛んできた。

「それは店員さんじゃないのか?」
「そう!殆どの店はスタッフがコーディネイトを考えてマネキンに着せてるの。スタッフ一人で考える場合や、複数のスタッフが意見を出し合って決めてるの。だからマネキン買いすれば自ずとオシャレになれるってわけ」
「な、なるほど……」
「それに、ショップの店員さんってみんなオシャレでしょ?そんな人達が考えたコーディネイトなんだから大きなハズレはないから安心できるしね」

 マネキンってただの飾りじゃなかったんだな。


 という訳で柚希のオススメのコーディネイトをマネキン買いし、しかも柚希による

「ここで着替えていくんで!」

 の一言により俺は今、さっきまでマネキンが着ていた服一式を今度は俺が着ているのだ。
 元々の服はショップの袋に仕舞った。
 マネキン買いにより俺の財布の中は寂しい状態になってしまった。


 その後、近くのファミレスで昼食を済ませ、やや足早に帰路に着く。
 その理由は

「早くしないと友達が家に来る時間だ!」

 そういえば今日実戦練習するんだったなと思いながら柚希の後を追いかけた。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

迷子を助けたら生徒会長の婚約者兼女の子のパパになったけど別れたはずの彼女もなぜか近づいてくる

九戸政景
恋愛
新年に初詣に来た父川冬矢は、迷子になっていた頼母木茉莉を助け、従姉妹の田母神真夏と知り合う。その後、真夏と再会した冬矢は真夏の婚約者兼茉莉の父親になってほしいと頼まれる。 ※こちらは、カクヨムやエブリスタでも公開している作品です。

【完結】好きって言ってないのに、なぜか学園中にバレてる件。

東野あさひ
恋愛
「好きって言ってないのに、なんでバレてるんだよ!?」 ──平凡な男子高校生・真嶋蒼汰の一言から、すべての誤解が始まった。 購買で「好きなパンは?」と聞かれ、「好きです!」と答えただけ。 それなのにStarChat(学園SNS)では“告白事件”として炎上、 いつの間にか“七瀬ひよりと両想い”扱いに!? 否定しても、弁解しても、誤解はどんどん拡散。 気づけば――“誤解”が、少しずつ“恋”に変わっていく。 ツンデレ男子×天然ヒロインが織りなす、SNS時代の爆笑すれ違いラブコメ! 最後は笑って、ちょっと泣ける。 #誤解が本当の恋になる瞬間、あなたもきっとトレンド入り。

【本編、番外編完結】血の繋がらない叔父にひたすら片思いしていたいのに、婚約者で幼馴染なアイツが放っておいてくれません

恩田璃星
恋愛
蓮見千歳(はすみちとせ)は、血の繋がりのない叔父、遼平に少しでも女性として見てもらいと、幼い頃から努力を続けてきた。 そして、大学卒業を果たし千歳は、念願叶って遼平の会社で働き始めるが、そこには幼馴染の晴臣(はるおみ)も居た。 千歳が遼平に近づくにつれ、『一途な想い』が複雑に交錯していく。 第14回恋愛小説対象にエントリーしています。 ※別タイトルで他サイト様掲載作品になります。 番外編は現時点でアルファポリス様限定で掲載しております。

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

元暗殺者の俺だけが、クラスの地味系美少女が地下アイドルなことを知っている

甘酢ニノ
恋愛
クラス一の美少女・強羅ひまりには、誰にも言えない秘密がある。 実は“売れない地下アイドル”として活動しているのだ。 偶然その正体を知ってしまったのは、無愛想で怖がられがちな同級生・兎山類。 けれど彼は、泣いていたひまりをそっと励ましたことも忘れていて……。 不器用な彼女の願いを胸に、類はひまりの“支え役”になっていく。 真面目で不器用なアイドルと、寡黙だけど優しい少年が紡ぐ、 少し切なくて甘い青春ラブコメ。

罰ゲームから始まった、五人のヒロインと僕の隣の物語

ノン・タロー
恋愛
高校2年の夏……友達同士で行った小テストの点を競う勝負に負けた僕、御堂 彼方(みどう かなた)は、罰ゲームとしてクラスで人気のある女子・風原 亜希(かざはら あき)に告白する。 だが亜希は、彼方が特に好みでもなく、それをあっさりと振る。 それで終わるはずだった――なのに。 ひょんな事情で、彼方は亜希と共に"同居”することに。 さらに新しく出来た、甘えん坊な義妹・由奈(ゆな)。 そして教室では静かに恋を仕掛けてくる寡黙なクラス委員長の柊 澪(ひいらぎ みお)、特に接点の無かった早乙女 瀬玲奈(さおとめ せれな)、おまけに生徒会長の如月(きさらぎ)先輩まで現れて、彼方の周囲は急速に騒がしくなっていく。 由奈は「お兄ちゃん!」と懐き、澪は「一緒に帰らない……?」と静かに距離を詰める。 一方の瀬玲奈は友達感覚で、如月先輩は不器用ながらも接してくる。 そんな中、亜希は「別に好きじゃないし」と言いながら、彼方が誰かと仲良くするたびに心がざわついていく。 罰ゲームから始まった関係は、日常の中で少しずつ形を変えていく。 ツンデレな同居人、甘えたがりな義妹、寡黙な同クラ女子、恋愛に不器用な生徒会長、ギャル気質な同クラ女子……。 そして、無自覚に優しい彼方が、彼女たちの心を少しずつほどいていく。 これは、恋と居場所と感情の距離をめぐる、ちょっと不器用で、でも確かな青春の物語。

優しい雨が降る夜は

葉月 まい
恋愛
浮世離れした地味子 × 外資系ITコンサルのエリートイケメン 無自覚にモテる地味子に 余裕もなく翻弄されるイケメン 二人の恋は一筋縄ではいかなくて…… 雨降る夜に心に届いた 優しい恋の物語 ⟡☾·̩͙⋆☔┈┈┈ 登場人物 ┈┈┈ ☔⋆·̩͙☽⟡ 風間 美月(24歳)……コミュニティセンター勤務・地味でお堅い性格 雨宮 優吾(28歳)……外資系ITコンサルティング会社勤務のエリートイケメン

貧乏貴族の俺が貴族学園随一の麗しき公爵令嬢と偽装婚約したら、なぜか溺愛してくるようになった。

ななよ廻る
恋愛
貴族のみに門戸を開かれた王国きっての学園は、貧乏貴族の俺にとって居心地のいい場所ではなかった。 令息令嬢の社交場。 顔と身分のいい結婚相手を見つけるための場所というのが暗黙の了解とされており、勉強をしに来た俺は肩身が狭い。 それでも通い続けているのは、端的に言えば金のためだ。 王国一の学園卒業という箔を付けて、よりよい仕事に就く。 家族を支えるため、強いては妹に望まない結婚をさせないため、俺には嫌でも学園に通う理由があった。 ただ、どれだけ強い決意があっても、時には1人になりたくなる。 静かな場所を求めて広大な学園の敷地を歩いていたら、薔薇の庭園に辿り着く。 そこで銀髪碧眼の美しい令嬢と出会い、予想もしなかった提案をされる。 「それなら、私と“偽装婚約”をしないかい?」 互いの利益のため偽装婚約を受け入れたが、彼女が学園唯一の公爵令嬢であるユーリアナ・アルローズと知ったのは後になってからだ。 しかも、ユーリアナは偽装婚約という関係を思いの外楽しみ始めて―― 「ふふ、君は私の旦那様なのだから、もっと甘えてもいいんだよ?」 偽装婚約、だよな……? ※この作品は『カクヨム』『小説家になろう』『アルファポリス』に掲載しております※ ※ななよ廻る文庫(個人電子書籍出版)にて第1巻発売中!※

処理中です...