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第二章~新しい生活~
ミナ
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午前の授業が終わり昼休みとなった。
学食に向かおうと席を立つと、隣の及川から声を掛けられた。
「佐藤は学食なの?」
「うん」
「お願いがあるんだけどいいかな?」
「なに?」
「帰りに購買で売ってるいちごミルク買ってきて欲しいな~なんて。だめ?」
そんな上目遣いで頼まれたら女子に耐性がないから断れない。
「わかった。でもこれで一つ貸しね」
「えぇ~」
文句を言う及川を無視して学食に向かう。
でもこれってパシリなんじゃなかろうか?
いや、でも最後に貸しと言っておいたしパシリではないだろう。うん、きっとそうだ。
学食に着くと既に大勢の生徒で溢れ返っていた。
俺はいつものカレーうどんを頼み、もはや定位置となっている入り口傍の隅の席に座って食べる。
この席は出入りする生徒から見られたり等して人気が無く一年中空いているので利用している。
去年の俺は他人に興味が無く、どう見られても良かったので一年間利用していたが、自意識過剰でなければ明らかに去年よりも見られている気がする。
カレーうどんを食べ終わり食器をかたそうと思っていると、不意に女子から声を掛けられた。
「あの、佐藤君だよね?」
いいえ、違います。 などと言えないので
「そうですけど……あっ!」
声を掛けてきたのは休み時間に水瀬と話していた女子だった。
「えっ? なに?」
驚いて変な声が出てしまった為、若干警戒されたっぽい。
「いや、誰かな~って思ったら休み時間に水瀬と話してたよね? それを思い出して」
慌ててフォローする。
でも何でそんな事知ってるの?キモイーとかなったらどうしよう……。
「そうそう! ミナとは同じ陸上部でさー」
何とかキモイ事にはならなかった。
「あ、私は小川留美っていいます、よろしくー」
「佐藤友也です、よろしく」
小川も明るいな。 もしかして陸上やると明るくなるのかな?
というか小川は俺に何の用事だろう。
「えっと、俺に何か用?」
「そうだった! 昨日ミナと一緒に帰ったんでしょ? 何か言ってなかった?」
「何かって?」
「恋バナとか!」
ブフォッ! ゲホンゴホン。
いきなり何言ってるんだこの子は?
「大丈夫?」
「だ、大丈夫。ってか恋バナって!」
「何も聞いてないの?」
「聞いてないよ。昨日話したのは部活の事とかだけだから」
「そうなんだ~」
小川は「まったく、みなの意気地なし」と呟いて
「ならいいんだ。それじゃまたね」
と言って去ろうとしていたので慌てて引き止める。
丁度いいからあの事も聞いておこう。
「ちょっと待って」
「ん、なに?」
「小川……さんって水瀬の事ミナって呼ぶんだね」
あはは。呼び捨てでイイよー! と言った後
「うん、それがどうかしたの?」
「いや、俺の周りはそういうあだ名で呼んでる奴いないから気になって」
「あー、ミナって呼んでるの陸上部の間だけかも」
「ちなみにどうして『ミナ』なの?」
それはねー、と言ってから
「陸上部の伝統みたいなものかな。部員は皆あだ名で呼ぶ感じになってるの。それでみなの場合は名前が水瀬南でしょ?『ミナ』が名前に二つ入ってるから最初は『ミナミナ』って呼んでたんだけど部長が呼びにくいっていってミナになった感じかな」
と説明してくれた。
そんな単純なあだ名だったのか。
でも陸上部の伝統ってなると、俺があだ名で呼ぶのは厳しいかな?
「ちなみに陸上部以外の子とかもミナって呼んでる子はいるの?」
「大体は南って呼んでるけど、ミナって呼んでる子もいるよー」
なら俺が呼んでも問題ないかな。
まぁ水瀬の許可は必要だろうけど。
「わかった、ありがとう。時間取らせてごめんね」
「いいよ~、またね!」
といって今度こそ小川は去っていった。
俺も食器を片付けて頼まれたいちごミルクを買って教室にもどらないと。
教室に入るとすぐに及川に発見され
「もー佐藤遅い!」
と文句を言ってきた。
やっぱりパシリだったのかな。
しかし及川の周りを見ると、グループの面子が全員揃っていた。
俺がそこに近づいて行くと
「遅かったな友也。ナンパでもしてたのか?」
と水樹がからかうように言ってきた。
「いや、ナンパなんてしないから!」
と反論すると、今度は中居が
「佐藤にナンパする度胸なんてねぇだろ」
と厳しい言葉が返って来た。
確かにナンパなんて出来ないけど逆ナンならされたけどね。ってあれは違うか。
及川にいちごミルクを渡し自分の席に着く。
すると田口がとんでもない事を口走った。
「でも俺見ちゃったんだよねー。佐藤くんが逆ナンされてる所! 楽しそうにはなしてたじゃ~ん」
田口がそう言った瞬間、場が凍り付くのを感じた。
「おいおいマジかよ友也、すげぇな」
「ちっ!」
「それってホントなの佐藤君!」
「佐藤ってそんな奴だったの?」
「ちょ~気になる! 相手可愛かった?」
と口々に驚きやら不満を口にしている。
中居なんてあからさまに不機嫌になってるし、それに誤解だからね!
俺は若干田口を睨みながら
「違うって! あの子は陸上部の小川って子で、決して逆ナンとかじゃないから!」
俺がそう弁明すると「どうして部活やってない佐藤に話しかけんの?」等言われたが、俺は見逃さなかった。
小川の名前が出た時、明らかに水瀬が動揺したのを。
学食に向かおうと席を立つと、隣の及川から声を掛けられた。
「佐藤は学食なの?」
「うん」
「お願いがあるんだけどいいかな?」
「なに?」
「帰りに購買で売ってるいちごミルク買ってきて欲しいな~なんて。だめ?」
そんな上目遣いで頼まれたら女子に耐性がないから断れない。
「わかった。でもこれで一つ貸しね」
「えぇ~」
文句を言う及川を無視して学食に向かう。
でもこれってパシリなんじゃなかろうか?
いや、でも最後に貸しと言っておいたしパシリではないだろう。うん、きっとそうだ。
学食に着くと既に大勢の生徒で溢れ返っていた。
俺はいつものカレーうどんを頼み、もはや定位置となっている入り口傍の隅の席に座って食べる。
この席は出入りする生徒から見られたり等して人気が無く一年中空いているので利用している。
去年の俺は他人に興味が無く、どう見られても良かったので一年間利用していたが、自意識過剰でなければ明らかに去年よりも見られている気がする。
カレーうどんを食べ終わり食器をかたそうと思っていると、不意に女子から声を掛けられた。
「あの、佐藤君だよね?」
いいえ、違います。 などと言えないので
「そうですけど……あっ!」
声を掛けてきたのは休み時間に水瀬と話していた女子だった。
「えっ? なに?」
驚いて変な声が出てしまった為、若干警戒されたっぽい。
「いや、誰かな~って思ったら休み時間に水瀬と話してたよね? それを思い出して」
慌ててフォローする。
でも何でそんな事知ってるの?キモイーとかなったらどうしよう……。
「そうそう! ミナとは同じ陸上部でさー」
何とかキモイ事にはならなかった。
「あ、私は小川留美っていいます、よろしくー」
「佐藤友也です、よろしく」
小川も明るいな。 もしかして陸上やると明るくなるのかな?
というか小川は俺に何の用事だろう。
「えっと、俺に何か用?」
「そうだった! 昨日ミナと一緒に帰ったんでしょ? 何か言ってなかった?」
「何かって?」
「恋バナとか!」
ブフォッ! ゲホンゴホン。
いきなり何言ってるんだこの子は?
「大丈夫?」
「だ、大丈夫。ってか恋バナって!」
「何も聞いてないの?」
「聞いてないよ。昨日話したのは部活の事とかだけだから」
「そうなんだ~」
小川は「まったく、みなの意気地なし」と呟いて
「ならいいんだ。それじゃまたね」
と言って去ろうとしていたので慌てて引き止める。
丁度いいからあの事も聞いておこう。
「ちょっと待って」
「ん、なに?」
「小川……さんって水瀬の事ミナって呼ぶんだね」
あはは。呼び捨てでイイよー! と言った後
「うん、それがどうかしたの?」
「いや、俺の周りはそういうあだ名で呼んでる奴いないから気になって」
「あー、ミナって呼んでるの陸上部の間だけかも」
「ちなみにどうして『ミナ』なの?」
それはねー、と言ってから
「陸上部の伝統みたいなものかな。部員は皆あだ名で呼ぶ感じになってるの。それでみなの場合は名前が水瀬南でしょ?『ミナ』が名前に二つ入ってるから最初は『ミナミナ』って呼んでたんだけど部長が呼びにくいっていってミナになった感じかな」
と説明してくれた。
そんな単純なあだ名だったのか。
でも陸上部の伝統ってなると、俺があだ名で呼ぶのは厳しいかな?
「ちなみに陸上部以外の子とかもミナって呼んでる子はいるの?」
「大体は南って呼んでるけど、ミナって呼んでる子もいるよー」
なら俺が呼んでも問題ないかな。
まぁ水瀬の許可は必要だろうけど。
「わかった、ありがとう。時間取らせてごめんね」
「いいよ~、またね!」
といって今度こそ小川は去っていった。
俺も食器を片付けて頼まれたいちごミルクを買って教室にもどらないと。
教室に入るとすぐに及川に発見され
「もー佐藤遅い!」
と文句を言ってきた。
やっぱりパシリだったのかな。
しかし及川の周りを見ると、グループの面子が全員揃っていた。
俺がそこに近づいて行くと
「遅かったな友也。ナンパでもしてたのか?」
と水樹がからかうように言ってきた。
「いや、ナンパなんてしないから!」
と反論すると、今度は中居が
「佐藤にナンパする度胸なんてねぇだろ」
と厳しい言葉が返って来た。
確かにナンパなんて出来ないけど逆ナンならされたけどね。ってあれは違うか。
及川にいちごミルクを渡し自分の席に着く。
すると田口がとんでもない事を口走った。
「でも俺見ちゃったんだよねー。佐藤くんが逆ナンされてる所! 楽しそうにはなしてたじゃ~ん」
田口がそう言った瞬間、場が凍り付くのを感じた。
「おいおいマジかよ友也、すげぇな」
「ちっ!」
「それってホントなの佐藤君!」
「佐藤ってそんな奴だったの?」
「ちょ~気になる! 相手可愛かった?」
と口々に驚きやら不満を口にしている。
中居なんてあからさまに不機嫌になってるし、それに誤解だからね!
俺は若干田口を睨みながら
「違うって! あの子は陸上部の小川って子で、決して逆ナンとかじゃないから!」
俺がそう弁明すると「どうして部活やってない佐藤に話しかけんの?」等言われたが、俺は見逃さなかった。
小川の名前が出た時、明らかに水瀬が動揺したのを。
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