自己顕示欲の強い妹にプロデュースされる事になりました

白石マサル

文字の大きさ
35 / 167
第四章~代償と恋路~

注目のカップル

しおりを挟む
 ギリギリで教室に戻り席に着く。
 担任はまだ来ていなかったので一安心していると、隣の席の及川が

「ギリギリなんて珍しいね。 楓も一緒だったの?」

 と、どう答えるか迷う質問してきた。

「ああ、先生に仕事頼まれて手伝ってたんだ」
「そうなんだ、たいへんだね~」

 別に隠す必要は無いのだが反射的に嘘を吐いてしまった。
 そこで担任が入って来てSHLが始まる。

「あー、連絡事項が一つある。連休明けに郊外遠足があるが行先は市の総合公園でバーベキューをする。男女6~7人のグループを作っておいてくれ。以上」

 担任はそれだけ伝えて教室から出て行った。
 グループ分けか。去年までなら地獄のイベントだったな。
 今回は予想だといつも集まってるグループになりそだけどどうなんだろう?
 俺はいつも集まってる窓際後方に向かった。
 既に中居達が集まって話している。

「おっす」
「おーっす」

 この挨拶も大分慣れた。

「友也も一緒のグループでいいよな?」
「ああ、俺もそのつもりだったよ」

 水樹が普段と変わらない感じで誘ってきたのでそれに乗っかる。
 田口もいつもの調子で

「男子はこのメンバーで決まりっしょ!」
「ま、そうだな」

 中居もこのメンバーで文句はないらしい。
 男子は決まったからあとは女子だけど

「やっほー中居! 私達と組もう」

 と及川が楓と水瀬を連れてやってきた。
 
「結局いつものメンバーだな」

 と水樹が笑いながら言う

「いいじゃん、その方が楽しいし!」
「及川の言う通りっしょ!」
「二人揃うとうるさいな」
「「ははは」」

 という感じでグループが決まった。
 すると隣に楓が来て

「楽しみだね友也君」
「そうだな」

 楽しそうな笑顔で言ってくるので、俺もつられて笑顔になる。
 すると田口が

「あれ? 新島、いま佐藤君の事名前で呼ばなかった?」
「あ! 私も思ったー。さっきも二人でギリギリに来たし怪しいな~」

 田口の奴こんな時だけめざといな。
 及川もそれに乗っかってきてるし、どうするかな。
 と考えていたら楓が

「別におかしくないでしょ、私達付き合ってるし」

 躊躇なく言っちゃったよ!

「「「えええぇぇぇ!?」」」

 そりゃ驚くよな、俺も驚いてるもん。

「おいおい、マジかよ」
「侮れねぇな」

 と水樹と中居も驚いている。
 田口に至ってはウザイ。

「ちょっとちょっと佐藤君~、手が早すぎるっしょ~」

 と絡んでくる。
 そして女子も

「佐藤が変わったのって楓のためだったんだ~」
「佐藤選手! 楓を落とした今のお気持ちは?」

 及川のはあながち間違いではないな。
 そして水瀬は何故か選手インタビューの様にボールペンをマイクに見立てて聞いてくる。

「いや、落としてないぞ、俺は告白されたんだよ」

「「「……」」」

 一瞬の沈黙の後

「「「えええぇぇぇ」」」

 また絶叫。
 さっきから周りの注目浴びてるから止めて欲しい。

「難攻不落の楓が自分から告白するなんて……」
「友也、お前やっぱスゲーわ」
「あの新島がなぁ」
「楓選手! 佐藤選手に決めた切っ掛けは?」

 それぞれ思い思いに言葉を口にする
 水瀬は相変わらずインタビューの姿勢だ。

「えっと、友也君は私を変えてくれたから……」
「なになに? すっごい意味深なんだけど!」
「これは佐藤選手はやはりやり手だったんですかね~」

 女子は凄い盛り上がりだな。
 男子組は田口を除いて冷静って感じだ。

「佐藤の事見なおしたわ、お前すげぇよ」

 と中居も俺の事を認めてくれた。
 それだけに楓が今までどれだけ難攻不落だったのかが伺える。

「いや~、友也に先越されたな~。まさか楓とくっつくなんてな」
「そうそう! 佐藤君そんな素振り見せてなかったじゃんよ~」
「俺も今朝告白されてビックリしたんだよ。まぁ昨日の時点でおかしいなとは思ってたけど」
「なに? お前ら昨日も会ってたの?」
「楓に買い物に付き合ってほしいって言われてな」

 と俺がそこまで言った後、水樹が俺の肩を抱き小声で

「一昨日の段階じゃそんな風に見えなかったけどどんなマジック使ったんだ?」
「俺は特に何もしてない。ただ買い物に付き合っただけだ」

 小声で話すのは一昨日の誕プレの事を中居に聞かれない様にだろう。
 俺と水樹が話していると中居が

「とりあえず今日の放課後詳しい話聞こうぜ」
「それしかないっしょ!」
「だな」

 中居を筆頭に話が進んでいく。

「いや、中居達部活あるだろ?」
「部活なんかやってる場合じゃねぇよ」

 サッカー部のエースの言葉とは思えない。
 俺が楓と付き合うのはそんなに大事なのか。
 今の会話を聞いた及川が

「私達も行くよ! 楓も来るでしょ?」
「も~、しょうがないな~」

 そう言いながら楓はまんざらでもないようだ。
 ここは俺も腹をくくるしかないか。

 その日、学校では俺達が付き合い出したという話題で持切りだった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

ツンデレ王子とヤンデレ執事 (旧 安息を求めた婚約破棄(連載版))

あみにあ
恋愛
公爵家の長女として生まれたシャーロット。 学ぶことが好きで、気が付けば皆の手本となる令嬢へ成長した。 だけど突然妹であるシンシアに嫌われ、そしてなぜか自分を嫌っている第一王子マーティンとの婚約が決まってしまった。 窮屈で居心地の悪い世界で、これが自分のあるべき姿だと言い聞かせるレールにそった人生を歩んでいく。 そんなときある夜会で騎士と出会った。 その騎士との出会いに、新たな想いが芽生え始めるが、彼女に選択できる自由はない。 そして思い悩んだ末、シャーロットが導きだした答えとは……。 表紙イラスト:San+様(Twitterアカウント@San_plus_) ※以前、短編にて投稿しておりました「安息を求めた婚約破棄」の連載版となります。短編を読んでいない方にもわかるようになっておりますので、ご安心下さい。 結末は短編と違いがございますので、最後まで楽しんで頂ければ幸いです。 ※毎日更新、全3部構成 全81話。(2020年3月7日21時完結)  ★おまけ投稿中★ ※小説家になろう様でも掲載しております。

社畜OLが学園系乙女ゲームの世界に転生したらモブでした。

星名柚花
恋愛
野々原悠理は高校進学に伴って一人暮らしを始めた。 引越し先のアパートで出会ったのは、見覚えのある男子高校生。 見覚えがあるといっても、それは液晶画面越しの話。 つまり彼は二次元の世界の住人であるはずだった。 ここが前世で遊んでいた学園系乙女ゲームの世界だと知り、愕然とする悠理。 しかし、ヒロインが転入してくるまであと一年ある。 その間、悠理はヒロインの代理を務めようと奮闘するけれど、乙女ゲームの世界はなかなかモブに厳しいようで…? 果たして悠理は無事攻略キャラたちと仲良くなれるのか!? ※たまにシリアスですが、基本は明るいラブコメです。

転生モブは分岐点に立つ〜悪役令嬢かヒロインか、それが問題だ!〜

みおな
恋愛
 転生したら、乙女ゲームのモブ令嬢でした。って、どれだけラノベの世界なの?  だけど、ありがたいことに悪役令嬢でもヒロインでもなく、完全なモブ!!  これは離れたところから、乙女ゲームの展開を楽しもうと思っていたのに、どうして私が巻き込まれるの?  私ってモブですよね? さて、選択です。悪役令嬢ルート?ヒロインルート?

まずはお嫁さんからお願いします。

桜庭かなめ
恋愛
 高校3年生の長瀬和真のクラスには、有栖川優奈という女子生徒がいる。優奈は成績優秀で容姿端麗、温厚な性格と誰にでも敬語で話すことから、学年や性別を問わず人気を集めている。和真は優奈とはこの2年間で挨拶や、バイト先のドーナッツ屋で接客する程度の関わりだった。  4月の終わり頃。バイト中に店舗の入口前の掃除をしているとき、和真は老齢の男性のスマホを見つける。その男性は優奈の祖父であり、日本有数の企業グループである有栖川グループの会長・有栖川総一郎だった。  総一郎は自分のスマホを見つけてくれた和真をとても気に入り、孫娘の優奈とクラスメイトであること、優奈も和真も18歳であることから優奈との結婚を申し出る。  いきなりの結婚打診に和真は困惑する。ただ、有栖川家の説得や、優奈が和真の印象が良く「結婚していい」「いつかは両親や祖父母のような好き合える夫婦になりたい」と思っていることを知り、和真は結婚を受け入れる。  デート、学校生活、新居での2人での新婚生活などを経て、和真と優奈の距離が近づいていく。交際なしで結婚した高校生の男女が、好き合える夫婦になるまでの温かくて甘いラブコメディ!  ※特別編6が完結しました!(2025.11.25)  ※小説家になろうとカクヨムでも公開しています。  ※お気に入り登録、感想をお待ちしております。

あの日、幼稚園児を助けたけど、歳の差があり過ぎてその子が俺の運命の人になるなんて気付くはずがない。

NOV
恋愛
俺の名前は鎌田亮二、18歳の普通の高校3年生だ。 中学1年の夏休みに俺は小さい頃から片思いをしている幼馴染や友人達と遊園地に遊びに来ていた。 しかし俺の目の前で大きなぬいぐるみを持った女の子が泣いていたので俺は迷子だと思いその子に声をかける。そして流れで俺は女の子の手を引きながら案内所まで連れて行く事になった。 助けた女の子の名前は『カナちゃん』といって、とても可愛らしい女の子だ。 無事に両親にカナちゃんを引き合わす事ができた俺は安心して友人達の所へ戻ろうとしたが、別れ間際にカナちゃんが俺の太ももに抱き着いてきた。そしてカナちゃんは大切なぬいぐるみを俺にくれたんだ。 だから俺もお返しに小学生の頃からリュックにつけている小さなペンギンのぬいぐるみを外してカナちゃんに手渡した。 この時、お互いの名前を忘れないようにぬいぐるみの呼び名を『カナちゃん』『りょうくん』と呼ぶ約束をして別れるのだった。 この時の俺はカナちゃんとはたまたま出会い、そしてたまたま助けただけで、もう二度とカナちゃんと会う事は無いだろうと思っていたんだ。だから当然、カナちゃんの事を運命の人だなんて思うはずもない。それにカナちゃんの初恋の相手が俺でずっと想ってくれていたなんて考えたことも無かった…… 7歳差の恋、共に大人へと成長していく二人に奇跡は起こるのか? NOVがおおくりする『タイムリープ&純愛作品第三弾(三部作完結編)』今ここに感動のラブストーリーが始まる。 ※この作品だけを読まれても普通に面白いです。 関連小説【初恋の先生と結婚する為に幼稚園児からやり直すことになった俺】     【幼馴染の彼に好きって伝える為、幼稚園児からやり直す私】

10年引きこもりの私が外に出たら、御曹司の妻になりました

専業プウタ
恋愛
25歳の桜田未来は中学生から10年以上引きこもりだったが、2人暮らしの母親の死により外に出なくてはならなくなる。城ヶ崎冬馬は女遊びの激しい大手アパレルブランドの副社長。彼をストーカーから身を張って助けた事で未来は一時的に記憶喪失に陥る。冬馬はちょっとした興味から、未来は自分の恋人だったと偽る。冬馬は未来の純粋さと直向きさに惹かれていき、嘘が明らかになる日を恐れながらも未来の為に自分を変えていく。そして、未来は恐れもなくし、愛する人の胸に飛び込み夢を叶える扉を自ら開くのだった。

処理中です...