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第四章~代償と恋路~
恋の行方
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二人の姿が消えた後、俺達は迷路のアトラクションを迂回してゴールに向かう。
予定だったのだが、水樹の
「せっかくだから友也達もやれよ」
という言葉で、俺と楓は迷路を彷徨っている。
全員でゴールに居たら中居を騙した事がバレるという水樹の言い分は最もなんだけど、俺もハメられたんじゃないだろうかと勘ぐってしまう。
このネガティブ思考も変えないとな。外面だけ変わってもいずれボロがでる。
「また分かれ道だ。どっちだと思う?」
「ん~、右かな?」
「よし、行こう」
こんなやり取りを結構やったがまだゴールに着かない。もしかして迷ったか?
それに
「ずっと俺の言う方向に行ってるけど、言いたい事あったらちゃんと言えよ」
「言いたい事って?」
「こっちがいいとか、そういうの。ずっと俺の意見聞いてるだけだからさ」
「大丈夫! 私は友也君信じてるから」
と笑顔で答える。
無理してる様子も無く、心から俺を信じてくれているのがわかる。
ここは男として何としてもクリアしないとな。
ティローンッ
と二人同時に通知音が鳴った。
きっとグループLINEの通知だろう。
確認すると、水樹たちはゴール近くに待機していて、まだ中居達もゴールしてないらしい。
「中居達も苦戦してるみたいだな」
「かもね~。でも違う理由で遅れてるかもよ?」
「違う理由?」
「ほら、佳奈子が誕プレ渡してるかもしれないじゃない?」
「確かにな。このまま追いついたら二人から恨まれそうだ」
俺がそう言うと
「なら、ここで少し話さない?」
と言って、楓は足を止めた。
「そうだな、しばらく動かないでいるか」
「うん」
果たして及川はプレゼントをちゃんと渡せるのだろうか。
緊張して結局渡せなかったと言われても納得しちゃうかもな。
中居も素直に受け取るかどうか。
そんな事を考えていると、服の袖をツンツンッと引っ張られた。
「佳奈子達の事考えてたの?」
「うん、ちゃんとプレゼント渡せるかなって」
「佳奈子もここまで来たらきっと渡すよ。むしろ渡さなかったら私が怒る」
「ははは、怖そうだ」
肩が触れるか触れないかの距離で並んで話す。
最近は慣れてきたと思ったけどやっぱり緊張するな。
「ねぇ、友也君」
楓が呼びかけてくる。
だけどその声にはいつもの明るさが無かった。
「どうした?」
「正直に答えて欲しいんだけど……」
「うん」
「私と付き合ってから嫌がらせされてるよね?」
俺は一瞬ドキッとした。
やっぱり楓は気づいていたのか?
水樹と中居の言葉を信じるなら俺は嫌がらせをされてる事になる。
でも、それを正直に言っていいのだろうか?
楓の事だから自分の所為で俺が嫌な目に遭ってると考えるだろう。
俺が何と答えるか迷っている内に楓は
「やっぱりされてるんだね」
「ちょっとした事だし、それに水樹と中居が守ってやるって言ってくれてるから」
「二人が見える範囲からは無くなるって事だよね」
「そうだな。二人には感謝しなきゃ……」
「でも、二人が居ない時だったら? 登下校中とかさ」
「それは……」
楓の言う通りだ。常に二人が一緒な訳じゃない。
中学の時の虐めも上手く先生の目を盗んでやられていた。
「もしこれ以上酷くなる様なら私達別れよう」
やっぱりこうなるのか。
きっと自分の所為で傷つく俺を見たくないって思っての言葉なんだろうな。
でも、それは違う! 俺は去年までの俺じゃないんだ!
俺は楓の両肩を強く掴み、睨みつけるかのように見つめる。
「楓! 俺を馬鹿にするな。こうなる事位お前に告白した時から覚悟してたんだ!」
俺の怒気がこもった言葉を聞いて少したじろぐ楓
「でも、辛いでしょ?」
「そうだな、辛いかもしれない。その時は楓にいっぱい甘えるから覚悟しておけよ!」
「でも……あっ」
楓を強く抱きしめながら言う
「俺が信じられないか?」
と問うと、楓は必死に首を振り
「ううん、私が一番信頼してる人だよ」
「だったらもう心配するな」
「うん」
身体を放し見つめ合う。
どちらからともなく顔が近づいて行く。
楓が目を瞑り吐息が鼻にかかる。
もうあと数ミリで唇と唇が振れる。
と、その時
「あっ!」
と人の声がして二人して慌てて離れる。
くそ! せっかくのファーストキスのチャンスだったのに。
まぁこんな所じゃ仕方ないか。
と思っていると、楓が怒った様なトーンで
「隠れたって無駄だからね! 出てきなさい!」
そう言うと、通路の影から及川が顔を出した。
なんで及川がここに? 先に行ったはずなのに。
「ごめんね! 見るつもりは無かったの。道が分からなくてウロウロしてたら偶然見つけちゃって」
と両手を顔の前で合掌させて謝って来る及川。
すると
「こんなとこんでイチャつくな。こっちがハズいっちゅうの」
と中居も出てきた。
恥ずかしすぎて死にそうだ。
楓も顔を真っ赤にして抗議している。
「そもそも何で佳奈子が後から来るの? 一番最初に出発したのに」
楓の質問に中居が答える。
「私に任せてっつーから任せたら迷子になったんだよ」
「「あー」」
「ちょっと二人とも納得しないで!」
その後俺達は4人で行動し、無事にゴール出来た。
水樹に何で4人なの? と突っ込まれたが中居が事情を説明すると爆笑していた。
ちなみに俺と楓がキスしそうになってた事は隠してくれていた。さすがグループのリーダーだね。
今日はそこで終わりとなり、ターミナル駅まで戻って来た所で解散となった。
そして現在、グループチャットで及川にどこまで行ったのか聞いている所だ。
「じゃあ誕プレは渡せたんだな?」
「うん、ちゃんと渡したよ! 褒めて」
「うん、佳奈子はえらいえらい」
「その場面見たかったー」
渡せないんじゃないかと懸念していたが、キチンと渡せたようだ。
作戦成功を喜んでいると
「で、告白はしたの?」
と水樹が及川に投げ掛ける。
するとさっきまでのテンションが嘘の様に下がり、落ち込んだウサギのスタンプが張られ
「プレゼント渡すのが精一杯で告白なんて出来ませんでした」
「あちゃー、及川にはまだ早すぎたか」
「どういう意味よ!」
「まあまあ、佳奈子落ち着いて」
「青春だねー」
でも中居も中居だな。
「中居も及川も純情だな」
と俺が発言すると
「確かに! 及川はともかく和樹も奥手だからなー」
「ふふふ、普段威張ってるくせにねー」
「中居は素直になれないんだね! これがギャップ萌えとかいう奴なのかな?」
「和樹が萌えとかウケる」
「ふふふ」
「もう、皆笑い過ぎ!」
及川が怒ってしまったので謝る。
「とりあえず及川か和樹がその気になるまで俺達は温かく見守るか」
「そうだね~、頑張れ佳奈子!」
「恋バナならいつでも聞くからね」
と言った感じで、くっ付け作戦は終了した。
予定だったのだが、水樹の
「せっかくだから友也達もやれよ」
という言葉で、俺と楓は迷路を彷徨っている。
全員でゴールに居たら中居を騙した事がバレるという水樹の言い分は最もなんだけど、俺もハメられたんじゃないだろうかと勘ぐってしまう。
このネガティブ思考も変えないとな。外面だけ変わってもいずれボロがでる。
「また分かれ道だ。どっちだと思う?」
「ん~、右かな?」
「よし、行こう」
こんなやり取りを結構やったがまだゴールに着かない。もしかして迷ったか?
それに
「ずっと俺の言う方向に行ってるけど、言いたい事あったらちゃんと言えよ」
「言いたい事って?」
「こっちがいいとか、そういうの。ずっと俺の意見聞いてるだけだからさ」
「大丈夫! 私は友也君信じてるから」
と笑顔で答える。
無理してる様子も無く、心から俺を信じてくれているのがわかる。
ここは男として何としてもクリアしないとな。
ティローンッ
と二人同時に通知音が鳴った。
きっとグループLINEの通知だろう。
確認すると、水樹たちはゴール近くに待機していて、まだ中居達もゴールしてないらしい。
「中居達も苦戦してるみたいだな」
「かもね~。でも違う理由で遅れてるかもよ?」
「違う理由?」
「ほら、佳奈子が誕プレ渡してるかもしれないじゃない?」
「確かにな。このまま追いついたら二人から恨まれそうだ」
俺がそう言うと
「なら、ここで少し話さない?」
と言って、楓は足を止めた。
「そうだな、しばらく動かないでいるか」
「うん」
果たして及川はプレゼントをちゃんと渡せるのだろうか。
緊張して結局渡せなかったと言われても納得しちゃうかもな。
中居も素直に受け取るかどうか。
そんな事を考えていると、服の袖をツンツンッと引っ張られた。
「佳奈子達の事考えてたの?」
「うん、ちゃんとプレゼント渡せるかなって」
「佳奈子もここまで来たらきっと渡すよ。むしろ渡さなかったら私が怒る」
「ははは、怖そうだ」
肩が触れるか触れないかの距離で並んで話す。
最近は慣れてきたと思ったけどやっぱり緊張するな。
「ねぇ、友也君」
楓が呼びかけてくる。
だけどその声にはいつもの明るさが無かった。
「どうした?」
「正直に答えて欲しいんだけど……」
「うん」
「私と付き合ってから嫌がらせされてるよね?」
俺は一瞬ドキッとした。
やっぱり楓は気づいていたのか?
水樹と中居の言葉を信じるなら俺は嫌がらせをされてる事になる。
でも、それを正直に言っていいのだろうか?
楓の事だから自分の所為で俺が嫌な目に遭ってると考えるだろう。
俺が何と答えるか迷っている内に楓は
「やっぱりされてるんだね」
「ちょっとした事だし、それに水樹と中居が守ってやるって言ってくれてるから」
「二人が見える範囲からは無くなるって事だよね」
「そうだな。二人には感謝しなきゃ……」
「でも、二人が居ない時だったら? 登下校中とかさ」
「それは……」
楓の言う通りだ。常に二人が一緒な訳じゃない。
中学の時の虐めも上手く先生の目を盗んでやられていた。
「もしこれ以上酷くなる様なら私達別れよう」
やっぱりこうなるのか。
きっと自分の所為で傷つく俺を見たくないって思っての言葉なんだろうな。
でも、それは違う! 俺は去年までの俺じゃないんだ!
俺は楓の両肩を強く掴み、睨みつけるかのように見つめる。
「楓! 俺を馬鹿にするな。こうなる事位お前に告白した時から覚悟してたんだ!」
俺の怒気がこもった言葉を聞いて少したじろぐ楓
「でも、辛いでしょ?」
「そうだな、辛いかもしれない。その時は楓にいっぱい甘えるから覚悟しておけよ!」
「でも……あっ」
楓を強く抱きしめながら言う
「俺が信じられないか?」
と問うと、楓は必死に首を振り
「ううん、私が一番信頼してる人だよ」
「だったらもう心配するな」
「うん」
身体を放し見つめ合う。
どちらからともなく顔が近づいて行く。
楓が目を瞑り吐息が鼻にかかる。
もうあと数ミリで唇と唇が振れる。
と、その時
「あっ!」
と人の声がして二人して慌てて離れる。
くそ! せっかくのファーストキスのチャンスだったのに。
まぁこんな所じゃ仕方ないか。
と思っていると、楓が怒った様なトーンで
「隠れたって無駄だからね! 出てきなさい!」
そう言うと、通路の影から及川が顔を出した。
なんで及川がここに? 先に行ったはずなのに。
「ごめんね! 見るつもりは無かったの。道が分からなくてウロウロしてたら偶然見つけちゃって」
と両手を顔の前で合掌させて謝って来る及川。
すると
「こんなとこんでイチャつくな。こっちがハズいっちゅうの」
と中居も出てきた。
恥ずかしすぎて死にそうだ。
楓も顔を真っ赤にして抗議している。
「そもそも何で佳奈子が後から来るの? 一番最初に出発したのに」
楓の質問に中居が答える。
「私に任せてっつーから任せたら迷子になったんだよ」
「「あー」」
「ちょっと二人とも納得しないで!」
その後俺達は4人で行動し、無事にゴール出来た。
水樹に何で4人なの? と突っ込まれたが中居が事情を説明すると爆笑していた。
ちなみに俺と楓がキスしそうになってた事は隠してくれていた。さすがグループのリーダーだね。
今日はそこで終わりとなり、ターミナル駅まで戻って来た所で解散となった。
そして現在、グループチャットで及川にどこまで行ったのか聞いている所だ。
「じゃあ誕プレは渡せたんだな?」
「うん、ちゃんと渡したよ! 褒めて」
「うん、佳奈子はえらいえらい」
「その場面見たかったー」
渡せないんじゃないかと懸念していたが、キチンと渡せたようだ。
作戦成功を喜んでいると
「で、告白はしたの?」
と水樹が及川に投げ掛ける。
するとさっきまでのテンションが嘘の様に下がり、落ち込んだウサギのスタンプが張られ
「プレゼント渡すのが精一杯で告白なんて出来ませんでした」
「あちゃー、及川にはまだ早すぎたか」
「どういう意味よ!」
「まあまあ、佳奈子落ち着いて」
「青春だねー」
でも中居も中居だな。
「中居も及川も純情だな」
と俺が発言すると
「確かに! 及川はともかく和樹も奥手だからなー」
「ふふふ、普段威張ってるくせにねー」
「中居は素直になれないんだね! これがギャップ萌えとかいう奴なのかな?」
「和樹が萌えとかウケる」
「ふふふ」
「もう、皆笑い過ぎ!」
及川が怒ってしまったので謝る。
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