自己顕示欲の強い妹にプロデュースされる事になりました

白石マサル

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第四章~代償と恋路~

触発

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 『俺と付き合わねぇか?』

 中居の急な告白に及川だけでなく俺達も驚いた。
 思わず声が出そうになったので慌てて手で口を押える。
 皆も同じようにしているが、田口は水樹に口を押えられていた。
 とっさに自分だけでなく田口の口も押えたらしい。

「今……なんて?」
「二度も言わせんな。俺がお前を守ってやる、だから俺と付き合え」

 ムードも何もない乱暴な告白に及川は俯いて黙り込んでしまう。
 中居もそれ以上は何も言わない。
 しばしの沈黙の後、及川が

「私はずっと中居の事が好きだった」

 遂に及川が気持ちを伝えた!
 と思った矢先

「でもこんな形で付き合いたい訳じゃない! 麻耶から守る為に仕方なく付き合うなんて嫌だ!」

 及川が怒りなのか悲しみなのか分からない感情を乗せて言う。
 しかし中居は全く動じずに

「なんだよ、早く言えよ」

 と言った後

「俺もおまえの事好きなんだよ。好きな奴守りたいって思うのはそんなに変か?」

 真っすぐ及川の目をみて言う。
 及川はさっきよりも更に驚いた表情をする。

「で、どうする?」

 中居の問いかけに戸惑いをみせる及川。
 しかし直ぐに真剣な表情になり中居に問いかける。

「私が可哀想だから付き合うんじゃないんだよね?」
「好きでもねぇ奴と付き合うほど暇じゃねぇ」
「なら、よろしくお願いします」
「ああ……あ?」

 今なんて言った? みたいな表情を見せる中居。

「おい……今なんて」
「も~、ちゃんと聞いててよ!」

 と少し怒りながら

「こんな私ですが、よろしくお願いします」
「あ、ああ」
「あー! 中居照れてる~」
「うっせ!」

 と普段通りにやり取りをする二人。
 さっきまでの重い空気が嘘のようだ。

「それで? どうやって私を守ってくれるの?」
「俺達が付き合ってる事を言いふらす」
「え! それはちょっと恥ずかしいかも」
「なら早川に直接言うわ」
「それはそれで怖い」
「お前は何も心配すんな」
「うん、わかった」

 どうやら無事に付き合う事になったみたいだ。
 俺も含め皆ニヤニヤしている。

「んじゃ行くか。駅まで送ってく」
「ありがと」

 と言って公園から出て行った。
 それを見て俺達は物置の影から出てそれぞれ感想を言う。

「和樹のやつ心配させやがって」
「よかった~」
「ヤバイ! 私も恋したいです」
「凄いの見ちゃったわ~、俺も彼女欲しいー」

 水樹と楓は祝福し、田口と水瀬は二人にアテられたみたいだ。
 かくいう俺も今無性に楓と二人きりになりたい気分だ。

「とりあえず二人から知らされるまでは俺達は知らないフリって事で」
「わかってるって~、南と田口も絶対言っちゃダメだよ?」
「わかってるわかってる~」
「自身無いけど頑張るわ~」

 そうして俺達も駅に向かい解散となったが、俺は楓にLINEを送った。

〈この後二人で会えない?〉

 直ぐに返事が来て

〈私も同じ事考えてた〉

 こうして俺達は他の皆と別れた後、ターミナル駅内にあるスタバに寄った。
 考えてみると完全に二人きりは久しぶりな気がする。

「中居達上手くいってよかったな」
「そうだね~。麻耶の事もあるけどきっと中居が何とかすると思うし、これで佳奈子を揶揄える」
「あまり揶揄い過ぎるなよ? こっちに飛び火するかもしれないからな」
「あはは、そうだね~」

 やっぱり何気ない会話でも楓と話してると癒される。
 これからも頑張らないといけないな。

「あのさ……」
「どうした?」
「よかったらなんだけど……」
「うん」

 楓らしくなく、歯切れが悪い。
 
「明日、家に来ない? 両親出かけちゃうからさ」
「え?」
「無理にとは言わないよ! 友也君さえよかったらって感じで」

 楓は顔を真っ赤にして俯いてしまう。
 俺は今どんな表情をしてるだろう?
 楓の家に行く。しかも以前とは違って二人きりで家族も居ない。
 それってつまりアレな感じですかね?
 階段を上る的な。
 ヤバイ、俺迄顔が赤くなるのを感じる。
 でもここは男としてちゃんとしないと。

「わかった、お邪魔するよ」

 と言うと

「うん、楽しみにしてるね♪」

 久々に見る満面の笑みが眩しい。
 その後は何を話したか覚えてない。
 ただ、家に行く時間だけが頭に残っていた。

 そして翌日、俺は今再び楓の家の前にいる。
 今回は俺一人だ。
 緊張して震える指でインターホンを押す。
 すると直ぐに楓がドアを開けた。

「いらっしゃ~い」
「お邪魔します」

 楓の部屋に入ると「適当に座ってて」と言って飲み物を取りに行った。
 とりあえず前回と同じ場所に座り、楓が戻って来るのを待つ。
 しかし良い匂いするな。芳香剤の様な物は見当たらないのにこの香りは何処から来てるんだろう。
 そんな事を考えている内に楓が戻って来た。

「はい、紅茶とクッキー」

 と言いながらテーブルに置き、俺のすぐ隣に座る。
 何も考えてなかったけど、すぐ後ろにはベッドがある。
 下心があると思われたら大変だと思い、慌てて紅茶を一口飲んでクッキーを食べる。
 そこで気づいた。

「もしかしてこのクッキー楓の手作り?」
「あ! わかった?」
「ああ、こんな上手いクッキー市販で売ってないからな」
「も~、友也君上手いんだから~」

 と言いつつ嬉しそうにしている。
 お世辞でも何でもなく本当に美味しい。

「もしかして料理も出来るの?」
「出来るよ~。あ! 今度お弁当作って来てあげる!」
「本当に! 嬉しいなぁ」
「友也君の胃袋掴んじゃうんだから!」

 と言いながら俺のお腹をさする。
 
「ちょ、くすぐったいって」

 と言い、まだお腹にある手をどかそうとすると、不意に肩に楓の頭が乗っかった。
 どかそうとしていた手を握り、少し俺に体重を預けてきた。

「楓、どうした?」

 早まる心臓を無理やり押さえつけて聞くと

「友也君……」

 どこか艶っぽい声で名前を呼ばれ、一気に緊張する。
 そんな俺を無視するかのように、楓は更に追い打ちを掛けてくる。

「キス……しよっか」

 潤んだ瞳でそう言ってきた。
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