自己顕示欲の強い妹にプロデュースされる事になりました

白石マサル

文字の大きさ
93 / 167
第8章~宵越しの祭り~

広がる輪

しおりを挟む
 学校が終わり、グループでファミレスまでやってきた。
 俺はバイトなので入り口で皆と別れ裏手の従業員用の入り口から入る。

 事務所に入り着替えを済ませ、一息吐いていると

「おはようございま~す」

 と沙月が出勤してきた。
 
「おはよう」

 と声を掛けると

「あっ! 友也さんおはようございます」

 と言って近くまで寄ってきて

「昨日はお姉ちゃんがお世話になりました」

 と、沙月がお礼を言ってきた。

「なんで沙月がお礼言うんだ?」
「妹だからです。それにお姉ちゃん、もう此処には余り顔を出さないって言ってました」
「そうか。それじゃあ友華さんとは仲直り出来たんだな」
「一応はそうですね。でもライバルでもあるので協力は昨日だけですけどね」
「やっぱり昨日の事は沙月が仕向けたのか」
「へへ~、迷惑でしたか?」
「いや、今回ばかりは沙月に感謝だよ」
「ふふ、ありがとうございます」

 と言って更衣室に消えて行った。


 ホールに出ると皆が楽しそうに話している姿が見えた。
 そこに混ざりたいが勤務中なので我慢する。

 注文を取りに行く時や料理を運んでる最中に

「お、ちゃんと働いてる」
「ファミレスの制服も似合ってる」
「あ、顔が赤くなった」

 等、色々聞こえてきた。

 その一連を見ていた沙月が

「もしかして8番テーブルの人達って友也さんのお友達ですか?」
「ああ、五月蠅かったら言ってくれ注意してくるから」
「いえいえ、あの程度は五月蠅い内に入りませんよ。それよりも……」

 沙月が何か言いかけたが、結局何も言わずに仕事に戻る。
 
 他のお客様に料理を運んで戻ろうとすると、沙月が8番テーブルで何やら話しているのが見えた。
 何を話しているのか凄く気になる。

 何より今日は楓と南も居るので沙月が変な事を言わないか心配になる。

 何を話しているか気になりながらデカンターに氷を入れていると、沙月が戻ってきた。
 俺はすぐさま沙月の元へ行き、何を話していたのか聞くと

「気になりますか~? だったら直接皆さんに聞いてみてください」

 と言い終わったタイミングで

ピンポーン

 と呼び出し音が鳴り、テーブルを確認すると8番テーブルだった。

「いってらっしゃ~い」

 と沙月に言われ、8番テーブルに向かう。

 俺がテーブルに着くと

「来た来た」
「店員さん遅いですよ~」

 と水樹と中居に揶揄われたので

「御用が無いなら失礼します」

 と言って踵を返そうとしたら

「ごめんね、悪気は無いから。二人とも揶揄わないの!」

 と楓に怒られていた。
 俺は普段通りに接する事にした。

「それで? 何注文するの?」
「悪い、注文じゃないんだ。友也の意見も聞きたくてな」

 と水樹が言うと、今度は田口が

「佐藤君はメイドがいいっしょ~?」

 と訳の分からない事を言い出した。

「すまん、何の事だ?」

 と聞くと、中居が答えた。

「文化祭の出し物だよ。田口がメイド喫茶やりたいってうるせーんだ」
「へー、田口ってそっちの趣味もあるんだな」
「いやいや、違うって~。ただウチのクラスの女子レベル高いからメイド喫茶やったら儲かるかな~って」

 田口……そんなに必死に弁明すると余計ドツボにハマるぞ。
 でも確かに女子のメイド姿は見てみたいな。
 だがここで田口に乗っかったら流石元ボッチとか言われそうだ。

「メイド喫茶の他には何か案はあるのか?」

 と聞くと楓が

「ありきたりな物しか浮かばないんだよね~」

 と困った表情をしながらほっぺたを掻く。
 それならと

「ありきたりでもいいから案を出して明日のLHRで決めればいいんじゃないか?」

 と提案した時だった。

「私のクラスはハワイアン綿菓子屋やりますよ~」

 いつの間にか沙月が隣に居た。
 沙月の登場に田口が食いついた。

「ハワイアン綿菓子ってなになに~?」
「店員がアロハシャツ着て、カラフルな綿菓子作るんですよ~」
「何それ! 美味しそう!」
「是非買ってくださいね~、待ってま~す」
「分かった! 絶対買うよ!」

 と田口は既に行く気満々だ。
 確か沙月の学校は女子高で招待性と聞いたが田口は誰かに誘われているのだろうか。

「ま、とりあえず佐藤の言う通り出せるだけ案だしてくか」
「そうだな、他の奴らが面白い物考えてるかもしれないしな」
「ちゃんとメイド喫茶は入れといてよ~」

 と男連中は纏めに入っていたが、女子達は……特に南は沙月に興味深々だった。
 
 下から上へ舐める様に見た後、ずっと沙月を観察している。
 これじゃただのヤンキーだ。

 このままじゃマズイと思い

「それじゃ仕事あるから戻るわ」

 と言い、沙月にも「ほら、仕事するぞ」と言ってその場を離れた。

 
 カウンターに戻ると、沙月が

「田口さんってよくバ……お調子者って言われません?」
「お前今なんて言いかけた?」
「あっ! トイレ掃除行ってきま~す」

 まったく、調子がいいのは沙月だろ。

 しばらくしてグループの皆が帰り、俺も上がりの時間になった。
 着替えを済ませ事務所で待っていた沙月と一緒に帰る。
 沙月と一緒の勤務の時は一緒に帰るのが当たり前になっていた。

 帰りの道中、ネックレスの事を思い出した。

「そう言えばこのネックレス結構な値段したんじゃないか?」
「気づいちゃいましたか~」
「なんで安物だなんて嘘ついたんだよ」
「そう言わないと受け取って貰えないと思ったので」
「確かに……ちゃんとお礼はするからな」
「別にいいですよ~」
「そんな訳にはいかないだろ」

 貰いっぱなし自体気が引けるのにこんな高価な物貰ったらそれこそお返ししないと気が済まない。
 でもお礼にブランド物ねだられたらどうしよう。

「そのネックレスは首輪だって言ったじゃないですか。つまり私がご主人様なのです!」
「お前……そういう趣味だったのか」
「違います! 私は諦めませんという意志表示なんです」
「だったら最初からそう言え」

 今までの男達にやってそうで怖い。
 
「どうしてもお礼したいですか?」
「ああ、じゃないと俺の気が済まない」

 沙月は少し考えた後

「それじゃあ今度、友也さんの家に行きたいです。あっ! 勿論二人きりの時ですよ」

 断ろうと思ったが、沙月と柚希が繋がっている以上断っても無駄だと確信した俺は

「分かったよ、但し大人しくしてろよ」
「分かってますって~」

 とりあえずアレなDVDとか隠さなきゃな。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

迷子を助けたら生徒会長の婚約者兼女の子のパパになったけど別れたはずの彼女もなぜか近づいてくる

九戸政景
恋愛
新年に初詣に来た父川冬矢は、迷子になっていた頼母木茉莉を助け、従姉妹の田母神真夏と知り合う。その後、真夏と再会した冬矢は真夏の婚約者兼茉莉の父親になってほしいと頼まれる。 ※こちらは、カクヨムやエブリスタでも公開している作品です。

【完結】好きって言ってないのに、なぜか学園中にバレてる件。

東野あさひ
恋愛
「好きって言ってないのに、なんでバレてるんだよ!?」 ──平凡な男子高校生・真嶋蒼汰の一言から、すべての誤解が始まった。 購買で「好きなパンは?」と聞かれ、「好きです!」と答えただけ。 それなのにStarChat(学園SNS)では“告白事件”として炎上、 いつの間にか“七瀬ひよりと両想い”扱いに!? 否定しても、弁解しても、誤解はどんどん拡散。 気づけば――“誤解”が、少しずつ“恋”に変わっていく。 ツンデレ男子×天然ヒロインが織りなす、SNS時代の爆笑すれ違いラブコメ! 最後は笑って、ちょっと泣ける。 #誤解が本当の恋になる瞬間、あなたもきっとトレンド入り。

【本編、番外編完結】血の繋がらない叔父にひたすら片思いしていたいのに、婚約者で幼馴染なアイツが放っておいてくれません

恩田璃星
恋愛
蓮見千歳(はすみちとせ)は、血の繋がりのない叔父、遼平に少しでも女性として見てもらいと、幼い頃から努力を続けてきた。 そして、大学卒業を果たし千歳は、念願叶って遼平の会社で働き始めるが、そこには幼馴染の晴臣(はるおみ)も居た。 千歳が遼平に近づくにつれ、『一途な想い』が複雑に交錯していく。 第14回恋愛小説対象にエントリーしています。 ※別タイトルで他サイト様掲載作品になります。 番外編は現時点でアルファポリス様限定で掲載しております。

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

SSS級の絶世の超絶美少女達がやたらと俺にだけ見え見えな好意を寄せてくる件について。〜絶対に俺を攻略したいSSS級の美少女たちの攻防戦〜

沢田美
恋愛
「ごめんね、八杉くん」 中学三年の夏祭り。一途な初恋は、花火と共に儚く散った。 それ以来、八杉裕一(やすぎ・ゆういち)は誓った。「高校では恋愛なんて面倒なものとは無縁の、平穏なオタク生活を送る」と。  だが、入学した紫水高校には《楽園の世代》と呼ばれる四人のSSS級美少女――通称《四皇》が君臨していた。  • 距離感バグり気味の金髪幼馴染・神行胱。  • 圧倒的カリスマで「恋の沼」に突き落とす銀髪美少女・銀咲明日香。  • 無自覚に男たちの初恋を奪う、おっとりした「女神」・足立模。  • オタクにも優しい一万年に一人の最高ギャル・川瀬優里。  恋愛から距離を置きたい裕一の願いも虚しく、彼女たちはなぜか彼にだけ、見え見えな好意を寄せ始める。 教室での「あーん」に、放課後のアニメイトでの遭遇、さらには女神からの「一緒にホラー漫画を買いに行かない?」というお誘いまで。  「俺の身にもなれ! 荷が重すぎるんだよ!」  鋼の意志でスルーしようとする裕一だが、彼女たちの純粋で猛烈なアプローチは止まらない。 恋愛拒否気味な少年と、彼を絶対に攻略したい最強美少女たちの、ちょっと面倒で、でも最高に心地よい「激推し」ラブコメ、開幕!

貧乏貴族の俺が貴族学園随一の麗しき公爵令嬢と偽装婚約したら、なぜか溺愛してくるようになった。

ななよ廻る
恋愛
貴族のみに門戸を開かれた王国きっての学園は、貧乏貴族の俺にとって居心地のいい場所ではなかった。 令息令嬢の社交場。 顔と身分のいい結婚相手を見つけるための場所というのが暗黙の了解とされており、勉強をしに来た俺は肩身が狭い。 それでも通い続けているのは、端的に言えば金のためだ。 王国一の学園卒業という箔を付けて、よりよい仕事に就く。 家族を支えるため、強いては妹に望まない結婚をさせないため、俺には嫌でも学園に通う理由があった。 ただ、どれだけ強い決意があっても、時には1人になりたくなる。 静かな場所を求めて広大な学園の敷地を歩いていたら、薔薇の庭園に辿り着く。 そこで銀髪碧眼の美しい令嬢と出会い、予想もしなかった提案をされる。 「それなら、私と“偽装婚約”をしないかい?」 互いの利益のため偽装婚約を受け入れたが、彼女が学園唯一の公爵令嬢であるユーリアナ・アルローズと知ったのは後になってからだ。 しかも、ユーリアナは偽装婚約という関係を思いの外楽しみ始めて―― 「ふふ、君は私の旦那様なのだから、もっと甘えてもいいんだよ?」 偽装婚約、だよな……? ※この作品は『カクヨム』『小説家になろう』『アルファポリス』に掲載しております※ ※ななよ廻る文庫(個人電子書籍出版)にて第1巻発売中!※

【完結】1日1回のキスをしよう 〜対価はチョコレートで 〜

田沢みん
恋愛
ハナとコタローは、 お隣同士の幼馴染。 親から甘いもの禁止令を出されたハナがコタローにチョコレートをせがんだら、 コタローがその対価として望んだのは、 なんとキス。 えっ、 どういうこと?! そして今日もハナはチョコを受け取りキスをする。 このキスは対価交換。 それ以外に意味はない…… はずだけど……。 理想の幼馴染み発見! これは、 ちょっとツンデレで素直じゃないヒロインが、イケメンモテ男、しかも一途で尽くし属性の幼馴染みと恋人に変わるまでの王道もの青春ラブストーリーです。 *本編完結済み。今後は不定期で番外編を追加していきます。 *本作は『小説家になろう』でも『沙和子』名義で掲載しています。 *イラストはミカスケ様です。

罰ゲームから始まった、五人のヒロインと僕の隣の物語

ノン・タロー
恋愛
高校2年の夏……友達同士で行った小テストの点を競う勝負に負けた僕、御堂 彼方(みどう かなた)は、罰ゲームとしてクラスで人気のある女子・風原 亜希(かざはら あき)に告白する。 だが亜希は、彼方が特に好みでもなく、それをあっさりと振る。 それで終わるはずだった――なのに。 ひょんな事情で、彼方は亜希と共に"同居”することに。 さらに新しく出来た、甘えん坊な義妹・由奈(ゆな)。 そして教室では静かに恋を仕掛けてくる寡黙なクラス委員長の柊 澪(ひいらぎ みお)、特に接点の無かった早乙女 瀬玲奈(さおとめ せれな)、おまけに生徒会長の如月(きさらぎ)先輩まで現れて、彼方の周囲は急速に騒がしくなっていく。 由奈は「お兄ちゃん!」と懐き、澪は「一緒に帰らない……?」と静かに距離を詰める。 一方の瀬玲奈は友達感覚で、如月先輩は不器用ながらも接してくる。 そんな中、亜希は「別に好きじゃないし」と言いながら、彼方が誰かと仲良くするたびに心がざわついていく。 罰ゲームから始まった関係は、日常の中で少しずつ形を変えていく。 ツンデレな同居人、甘えたがりな義妹、寡黙な同クラ女子、恋愛に不器用な生徒会長、ギャル気質な同クラ女子……。 そして、無自覚に優しい彼方が、彼女たちの心を少しずつほどいていく。 これは、恋と居場所と感情の距離をめぐる、ちょっと不器用で、でも確かな青春の物語。

処理中です...