自己顕示欲の強い妹にプロデュースされる事になりました

白石マサル

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第8章~宵越しの祭り~

祭りの後に

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 準備があるということは後片付けもある。
 片付け面倒臭いや壊すの勿体ない等で教室がザワついていると

「売り上げの集計結果出たぞー」

 と、クラス委員の滝沢が叫ぶ。

 すると一瞬教室の中がシーンッと静まり返るが、すぐに喧騒に包まれる。
 特に男子は1日目、2日目と女子に負けているので全敗は避けたいところだ。

 俺も滝沢の元に行き確認する。
 すると3日目は男子の勝利だった。

 そして3日間の総合売り上げを見てみると、男子が女子にほぼダブルスコアで勝利していた。

 それを皆に伝えると

「「うおおおぉぉぉ!!」」

 と歓声が上がった。

 俺も喜んでいると、早川が近づいてきて

「やるじゃんか、私の負けだよ。友也の事を認めるよ」
「早川……」

 早川はそれだけ言って立ち去ろうとするが呼び止める。

「待てよ早川」
「何? 負けは認めただろ」
「そうだな、俺達が勝った」
「ならもう用はないだろ」
「いいや、用ならある」

 わざと溜めを作り

「早川、罰ゲームな」

 俺がそう言うと早川はチッ! と舌打ちをし

「くそ、上手く誤魔化せたと思ったのになー」
「さーて、何して貰おうかなー」
「変な提案したらひっぱたくから」
「そんな提案しないって。そうだ! 耳貸してくれ」
「は? なんで?」
「皆に聴かれてもいいならこのまま話すけど?」

 俺がそう言うと早川はまたしてもチッ! と舌打ちをする。
 早川は髪を耳に掛け、此方に向ける。
 
 いつもは長い金髪で隠れている耳があらわになる。
 俺は耳に触れるか触れないかの距離まで近づき

 ふーっ

 と息を吹き掛けた。

 すると早川は

「キャッ!」

 と普段からは想像出来ない可愛らしい声を挙げて身体をビクッとさせる。

「今のが罰ゲームな」

 と言うと、早川は顔を真っ赤にさせて

「ふ、ふざけんなし! もういい!」

 と言って早足で教室から出て行ってしまった。
 それを見届けた男子達から歓声が挙がった。

「すげー、あの女王が恥ずかしがってたぞ!」
「一体何をしたんだ!」
「女王を退けた!」
「さすが俺達のリーダーだ!」

 
 早川を退けて歓声が挙がり、その盛り上がりが落ち着いた後、中居が

「この後佐藤のバイト先で打ち上げするか」

 と提案してきた。
 正直早く帰って休みたかったが、今日ばかりは余韻に浸ってもいいかもしれない。

 そして俺達はファミレスで打ち上げをした。
 何故か勤務中の沙月や真弓さんも混じって盛り上がっている。

 打ち上げでは終始ライブの事をイジられた。
 まぁ皆が来るまで緊張で震えてたので何も言い返せなかった。


 打ち上げが終わり家に帰宅すると、物凄い笑顔の柚希に出迎えられた。
 そしてそのまま柚希の部屋に連行された。

 部屋に入ると、開口一番

「ライブ凄かったねお兄ちゃん!」

 と珍しく褒められた。

「クラスの出し物も凄い繁盛してたし、学校一の有名人って言っても過言じゃないよ!」
「流石にそれは言い過ぎなんじゃないか?」
「私が言うんだから間違いないよ!」
「そ、そうか」

 あの柚希が此処まで言うなら信じてみよう。

 あれ? だとすると学校一のリア充になるっていうのは達成されたんじゃ?
 その事について聞いてみると

「お兄ちゃんは学校一の有名人になったけど、学校一のリア充には成れてないないんだよ」
「それって何が違うんだ?」
「ズバリ彼女だよ! お兄ちゃんには彼女が居ないでしょ?」
「まぁ、そうだな」
「でも安心して。彼女が居なくてもリア充に成れるから」
「それってハーレム作るとかってやつか?」
「その通り! 今でも新島先輩達がいるけど、もっと増やします!」
「はぁ? 勘弁してくれ。今の状況だけで精一杯だよ」

 それでなくとも楓と南には返事を待って貰ってるっていうのに。

「じゃあどうするの? 誰かと付き合う?」
「……」

 付き合うかぁ。
 やっぱりこのままじゃ楓と南に悪いよなぁ。

 それに多分だけど俺の中では既に答えは出てる。

「ああ、告白するよ」

 俺の決意の籠った言葉を受けて、柚希は一瞬驚いた様だったが直ぐに不敵な笑みを浮かべて

「やっと決心したんだ?」
「ああ」
「そりゃそうか、ライブであんな歌唄う位だもんね」
「……そうだな」

 俺がそう答えると柚希はおもむろにスマホを操作して、動画を見せてきた。
 その動画を見て俺は戦慄した。

「いざとなったらこの動画をアップしてお兄ちゃんの知名度を上げようと思ってたけど止めておいてあげる」

 そう言って柚希は動画を閉じてスマホを仕舞う。
 
「その代わりちゃんと告白して彼女作ってね。じゃないとお兄ちゃんは世界的に有名人になっちゃうよ?」

 殆ど脅してる様なものだが、逆に俺の中で火が付いた。

「ああ、近い内に俺の彼女だって紹介してやるから待ってろ!」



 2年生になり、仲居達や柚木のおかげで俺の学生生活は大きく変わった。
 夏休みには楓や南、沙月や友華さんとも本当に色々あった。

 辛い思いもさせてしまったと思う。
 でも、ようやく答えが出せたんだ。

 こうして気持ちの整理と共に、俺の文化祭が終了した。
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