時を止めるって聖女の能力にしてもチートすぎるんじゃないんでしょうか?

南 玲子

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ドルミグ副隊長をやっつける

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「ぎゃーーーーー!!!!」

時を動かしたとたん、すぐにやつは第二撃を放ってきた。目が据わっている。
兵士でもない少年に、攻撃をいなされたことで、よほど自尊心が傷ついたんだろう。
怒りで、周りの空気が溶けそうだ。

「この!くそ野朗―――――!!!!」

2撃目は剣を使わずに逃げた。逃げた方向に、炎の玉を投げつけてくる。

「それ、反則っ!!」

実戦では魔術と剣術と両方使うらしいが、この屋内訓練場では禁止だ。

なんとか交わした方向に、待ってましたとばかりに剣が襲ってくる。観念して時間を止めようとした直前、体がふわっと浮いた感じがした。

キースさんだ。キースさんが魔力で浮かせてくれたらしい。だけどすぐ魔力に限界が来たらしく、重力に引っ張られて地面に落ちる。

すぐに体勢を立て直し剣を両手に持ち、構える。剣の重みに両手が震える。
ドルミグ副隊長が、魔法を発動させる呪文を唱えて剣に魔力を注ぎ込む。完全に頭に血が上っている様子が見て取れる。

次の攻撃は彼の渾身の一撃だろうと予測をつける。これを回避するには時を止めるしかないのだろう。いくら私が剣技に優れてるとはいっても、こんなの剣道じゃない。

次の瞬間、剣先から無数の光の筋が放射状に飛んできた。

考える間もなく時間を止める。


われながら絶妙の瞬間で、時を止めたものだと自画自賛する。
目の前に広がる無数の光の筋を見て、ううむと悩む。悩んだ末勇気を出して、動くなよと念じながら指先で光を触ってみた。

あ、触れるみたいだ。そしたら簡単だ。後は私に当たりそうな光だけ、方向を捻じ曲げる。むかつくので、それらをドルミグ副隊長の方に軌道を修正してやった。


ふはは、自分の攻撃に当たるなんて思ってもいないだろう。キース様をあんなに痛めつけた、仕返しだ!

よし。と自分が戻るべき位置に立って、時を動かす。


「うおおおーーーー!!!」


作戦通り光の筋は私を避けて、ドルミグ副隊長にあたって炸裂した。

「クラマ!!大丈夫か!!」

キースさんが私を心配してこっちを見ている。立つこともできないくらいの、ひどい怪我をしているらしい。

「キースさん。私には当っていません。ですが、あの・・・これは一体・・・。」

はっきりいおう。ドルミグ副隊長は重傷を負って、そのまま地面に倒れて苦しんでいた。
あの光が体を貫き、その上、体内で炸裂したらしい。

ドルミグ副隊長さん。あんたどんな恐ろしい攻撃をしたのだ。
しかもこんないたいけな無垢な少年に向かって・・・。あれが当っていたらどうなったかと思うと、足の振るえが止まらなかった。

未だかつて受けたことの無い痛みに、ドルミグ副隊長は血を滴らせながら地面を転がり未だに叫び続けている。

生まれてはじめてみる、凄惨な光景に圧倒され私は身動きもできないで立ちすくむ。

突然目の前が暗くなり、意識が遠のいていくのを感じた。最後に目の端に映ったのは、心配そうな顔で飛び込んできたユーリス様だった。


ユーリス様。来てくれたんだ。

額に汗をかいている。そんなに慌てて来てくれたんだ。オリボレンのために・・・。
新作オリボレンは嘘です。ごめんなさい。


そんな的外れなことを考えながら、私は意識を手放した。

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