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2大ドS勝負する
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結婚式を4日後に控えているというのに、私は何故か元カレと婚約者に囲まれて座っています。健司はブレダ王国の王として結婚式に正式に招待されているので、むげに追い帰せないそうな。
侍女としての正社員の職は何が何でも捨てられないので、私は未だに侍女の服を着ている。その隣に何故か異世界なのに背広を着た健司と、反対隣りに王の白い詰襟の制服を着たデューク王が座っている。
食後の休憩とか言われて庭に出てきては見たものの、この空気どうにかしてほしい。デューク王と健司は互いに緊張感を漂よわせているし、背後には鼻息の荒い一角獣カミールが立ち、私をいつその角で刺し殺そうかと虎視眈々と狙っている。それを私の守護精霊であるレオールとシューリ、ドイールが牽制している。
処女ではないのがばれているんだね。に、匂いでも違うのだろうか、おそるべし一角獣。セカンドバージンでは駄目なんだ。1年以上してないんだけどな・・・。
でもこのカミールに出会って一番びっくりしたのは、そんなことではない。何が一番衝撃的だったかといえば・・・・・一角獣はおかまだった!!!この事実だ!
「あんたがユリカねぇ!!わたしのケンジを取らないでよぅ!」
第一声に聞いたのが野太い声で発せられた上記の台詞で、気持ちの悪さに恐れおののいた。これで理解できたよ。男からは逃げられるってところ。気のせいかユニコーンなのに眉毛が太い。こんなのが来たら誰でも逃げるよね。逃げないで守護精霊にしたケンジって案外すごいかも。こんなおかまユニコーンを世話しなきゃいけないんだから気の毒に・・・。
私は思い切り憐憫の眼差しで健司を見つめた。すると健司も私を見つめ返す。そうか、私なんか3匹も世話しなきゃいけないから、健司よりも大変だよね。健司も私を気の毒な奴だと思って見ているに違いない。
私と健司が見つめ合っているのを見たデューク王が、思いっきり私の頭を掴んで自分の方に向けさせてから言った。いたた首から変な音がしたよ・・・。
「結婚式も4日後に控えて、近隣諸国の隷属王たちも続々集まってきている。どうだ、余興でもしてみないか?成り上がり王のケンジ」
「そうですね。花嫁に逃げられてしまうと式もすぐにお開きになって、即解散になりますからね。今を楽しんでおくのはいいことですね」
いけしゃあしゃあという。いや、私は式を逃げるつもりはことさらない。せっかく当たり屋のような真似までして、ドS王の数々の仕打ちにも耐え、やっと手に入れた正社員の職だ。誓いの返事の時にノーといって、結婚回避をする予定なだけだ。我ながらなんて完璧な作戦だ。わはは。
「そうですね、我が国にウィリアムテルという話がありましてね・・・」
ん?健司が妙なことを言い始めた。
「どうでしょう、百合香の頭の上にリンゴを置いて馬に乗ってそれを射るというのは・・・。リンゴに当てた方が百合香と結婚するというのは面白い余興でしょう。外した方は彼女を失う・・」
え?!それってリンゴを外しちゃったら私の命も失われるんではないかい?っていうか結婚式の余興ってそんなんだったっけ?
「どれは面白い。ぜひ準備をさせよう」
後ろに立っていたおそらくかなりできる有能な侍従が、その台詞に反応してすぐに準備にとりかかった。
このドSコンビめ!!私は顔を青ざめさせた。健司が私の方を向いて優しく微笑んでいった。
「大丈夫、君を絶対に傷つけさせやしないよ」
目の前のイケメンに優しくそんな台詞を耳元で囁かれれば、どんな女もいちころだろう。状況さえ違えばね!!!!
なすすべもなく私はドS王たちの遊びに巻き込まれていった。
ウィリアムテルは何とかすれすれで乗り切った。カミールがわざと私に当てようと妙な走りをして健司を困らせたが、弓など持ったことがないであろう健司はうまく矢をリンゴに当てて私の頭は守られた。
デューク王ときたら私を恐怖のどん底に落としたいらしく、わざと頭を狙って打つ真似を数回した後、私の苦悶の表情に満足したらしく、最終的にはリンゴを落とした。本当にこれでもこの男は私を愛しているというんだろうか?激しい疑問が残る。
「これは引き分けですね。次はどうしますか?」
「そうだね、ボッシュ王国で伝統的な対決があるんだ。やってみる気はあるかい?」
「もちろんでしょう」
なに?なに?内容を聞いてから決めて欲しいんだけども・・・・。
私の意見など聞く奴らではない。願いもむなしく、私は何故か広い闘技場の真ん中に連れてこられた。周りを檻で囲んであってだんだんと不安が大きくなってくる。土埃が風に舞って、なんだか動物の匂いが充満している。嫌な予感がしてきた・・・。
「あの、わたし侍女の仕事がそろそろ・・・・」と逃げだそうとした瞬間、10頭のライオンもどきが檻が開いて入ってきた。もどきというのは見かけは激しくライオンなんだけど、しっぽが蛇で背中に白い羽が生えているからだ。
勿論ライオンもどきは私に向かって走ってくる。死ぬぅーーーーと思って身構えた!
「大丈夫だ、ユリカ。お前の周りにだけ結界を張ってあるからね。すぐに助け出してあげる。私が必ず守ってやるから安心しておいて」
突然剣を片手に颯爽と現れたデューク王が、私に顎くい、をかましながら低い声で囁く。
だーかーらー!!私をこんな状況にしたのはあんた達でしょう!!!
必死の叫びにも耳もかさずに、二人はライオンを何頭倒せるかを競っている。二人とも結構楽しそうだ。ライオンに襲われるという危機感など全然感じない、私以外は!!
私はといえば結界は張ってあるんだろうけれども、いかんせんその半径が小さすぎるため、ライオンは私の体ぎりぎりまで牙を剥いてとびかかってくる。もう苦悶の表情を通り越して最終的には無表情になった。
人間極限状態を通り過ぎると、無心になるんだと初めて知った。結局互いに5頭ずつ倒し、依然として勝負はつかず次の勝負に持ち越された。
これ以上こいつらの思い通りにさせるわけにはいかない。大体今回の勝負で私が囮になる意味が分からない。ただただ、私の苦悶の表情が見たいだけとしか思えない。なのでこいつらが口を開く前に先に次の勝負を提案した。
「次の勝負は私が提案します。ズバリ名付けてワンちゃんおいでおいで大会です。これは日本に古来から伝わる伝統競技です。今でもよくテレビで正月に放映されています」
沢山の犬を離しておいて、何匹のワンちゃんを手なずけて自分の陣地に連れてこられるかを競う。ドSにとって、動物子供は鬼門なはず。これでもう私の勝ちは決まったもんだ、わはは。
「ユリカ、ところでワンちゃん?ってなんだい?」
あれ、そこからですか?そうか、まあライオンもどきもいたんだ。犬もどきもそりゃあいるだろう。っていうかそこにいる日本黒犬は、一体何の動物だと思っていたんだ?私はプードルの絵をかいてデューク王に説明した。するとすぐに理解したようで、頷きながらおそらくかなりできる有能な侍従に指示をだす。
なにやら傍で護衛している近衛兵たちの顔色がさっと変わった。なんだろう?犬が嫌いなのかな?
今回は私も参戦するという事で、先ほどの闘技場で3人で待機する。デューク王が私の耳に再び囁く。甘い息がかかって首筋がぞぞっとする。やめろ!イケメンは嫌いなんだ!!
「ユリカがこんなに好戦的だとはしらなかったよ。私と気が合うね。二人で最初の共同作業でもしようか?」
何を言っているのだ、この男は。これから可愛いワンちゃんが・・・・・。
檻が開いて出てきた生き物に私は仰天した。
「違う、違う、これワンちゃん違う・・・」
余りの驚きに言葉が文章にならない。檻から放たれたのは確かにプードルの姿形をしていたが、サイズがもう犬の領域を超えていた。もう象の大きさを超えて恐竜レベルのでかさだった。しかもそんなのが数えきれないほどにうようよ出てきた。確かに絵には大きさは書かなかったけど、常識的な犬のサイズをはるかに超越している。
おそらくかなりできる有能な侍従!どこからこんなに集めてきたの!しかもこんな短時間で!!
健司の方を見ると、一瞬驚いたらしいがすぐに冷静になって行動を開始する。さすが状況適応能力の高い男だ。異世界に来てすぐに守護精霊を従えて一国を落としただけあるな。
などと感心している間に、競技は終わってしまった。ドS王コンビは魔法で火や雷を使ってワンちゃんを自分の陣地に追い込んだ。恐竜サイズのプードルたちはキャンキャン吠えながら逃げる様にして追い込まれていった。
「またしても、勝負はつきませんでしたね」
健司が残念そうでは全くない様子で、残念そうなセリフをはく。恐らく彼もこの遊びを楽しんでいるのだろう。ドS男め!!
・・・・・?あれ・・?
「あの・・健司って魔法使えるんだっけ?」
私は疑問に思って聞いた。だって魔法を使えるのは異世界人だけなはずだ。違う世界から来た私たちは魔法は使えないはず。
「ああ、この世界に来た時、魔女に魔法の腕輪を貰ったんだ。ほら、これ・・・」
そういって、金色に輝く腕輪を見せてくれた。なんでも腕輪に魔力が詰まっていて、腕輪を付けた人物は魔法が使えるようになる優れものらしい。
「それは伝説級の代物だね。私も書物を読んで存在は知っていたが初めて見た。そんな貴重な代物を簡単に魔女が手放すわけがない。一体どんな手を使ったんだい?」
デューク王が不信感をあらわにして聞くと、健司は満面の笑顔で答えた。
「少し、生きていくのが嫌になる言葉をかけただけだよ。そうしたら永遠の眠りにつくとか言い出して棺桶の中で眠り始めたから、腕輪を拝借しておいたんだ」
えーーーっと。それって自殺教唆で睡眠強盗っていう犯罪ではないのでしょうか・・・。
「お前、ヒルデアの魔女を倒したのか!?あの魔女は民衆を苦しめて死に至らしめる魔物だったんだ。最近悪行を聞かないと思ったら、ケンジが討伐して民を救っていたなんてしらなかったよ」
デューク王が感心した様にいう。
あれ?あれ?じゃあ、自殺教唆と睡眠強盗ではなくて人々を悪い魔女から救った英雄だって事?!!
なんだかだんだん自分の価値観に自信がなくなってきて、私は頭を抱えた。ドSコンビは二人で楽しそうに笑いながら、ドS談義に花を咲かせていた。いかにして人を陥れるのかが議題だ。
私はそんな二人に気づかれないようにその場を離れて城に戻り、侍女の仕事を黙々とこなした。これが一番落ち着く。ふぅ。
侍女としての正社員の職は何が何でも捨てられないので、私は未だに侍女の服を着ている。その隣に何故か異世界なのに背広を着た健司と、反対隣りに王の白い詰襟の制服を着たデューク王が座っている。
食後の休憩とか言われて庭に出てきては見たものの、この空気どうにかしてほしい。デューク王と健司は互いに緊張感を漂よわせているし、背後には鼻息の荒い一角獣カミールが立ち、私をいつその角で刺し殺そうかと虎視眈々と狙っている。それを私の守護精霊であるレオールとシューリ、ドイールが牽制している。
処女ではないのがばれているんだね。に、匂いでも違うのだろうか、おそるべし一角獣。セカンドバージンでは駄目なんだ。1年以上してないんだけどな・・・。
でもこのカミールに出会って一番びっくりしたのは、そんなことではない。何が一番衝撃的だったかといえば・・・・・一角獣はおかまだった!!!この事実だ!
「あんたがユリカねぇ!!わたしのケンジを取らないでよぅ!」
第一声に聞いたのが野太い声で発せられた上記の台詞で、気持ちの悪さに恐れおののいた。これで理解できたよ。男からは逃げられるってところ。気のせいかユニコーンなのに眉毛が太い。こんなのが来たら誰でも逃げるよね。逃げないで守護精霊にしたケンジって案外すごいかも。こんなおかまユニコーンを世話しなきゃいけないんだから気の毒に・・・。
私は思い切り憐憫の眼差しで健司を見つめた。すると健司も私を見つめ返す。そうか、私なんか3匹も世話しなきゃいけないから、健司よりも大変だよね。健司も私を気の毒な奴だと思って見ているに違いない。
私と健司が見つめ合っているのを見たデューク王が、思いっきり私の頭を掴んで自分の方に向けさせてから言った。いたた首から変な音がしたよ・・・。
「結婚式も4日後に控えて、近隣諸国の隷属王たちも続々集まってきている。どうだ、余興でもしてみないか?成り上がり王のケンジ」
「そうですね。花嫁に逃げられてしまうと式もすぐにお開きになって、即解散になりますからね。今を楽しんでおくのはいいことですね」
いけしゃあしゃあという。いや、私は式を逃げるつもりはことさらない。せっかく当たり屋のような真似までして、ドS王の数々の仕打ちにも耐え、やっと手に入れた正社員の職だ。誓いの返事の時にノーといって、結婚回避をする予定なだけだ。我ながらなんて完璧な作戦だ。わはは。
「そうですね、我が国にウィリアムテルという話がありましてね・・・」
ん?健司が妙なことを言い始めた。
「どうでしょう、百合香の頭の上にリンゴを置いて馬に乗ってそれを射るというのは・・・。リンゴに当てた方が百合香と結婚するというのは面白い余興でしょう。外した方は彼女を失う・・」
え?!それってリンゴを外しちゃったら私の命も失われるんではないかい?っていうか結婚式の余興ってそんなんだったっけ?
「どれは面白い。ぜひ準備をさせよう」
後ろに立っていたおそらくかなりできる有能な侍従が、その台詞に反応してすぐに準備にとりかかった。
このドSコンビめ!!私は顔を青ざめさせた。健司が私の方を向いて優しく微笑んでいった。
「大丈夫、君を絶対に傷つけさせやしないよ」
目の前のイケメンに優しくそんな台詞を耳元で囁かれれば、どんな女もいちころだろう。状況さえ違えばね!!!!
なすすべもなく私はドS王たちの遊びに巻き込まれていった。
ウィリアムテルは何とかすれすれで乗り切った。カミールがわざと私に当てようと妙な走りをして健司を困らせたが、弓など持ったことがないであろう健司はうまく矢をリンゴに当てて私の頭は守られた。
デューク王ときたら私を恐怖のどん底に落としたいらしく、わざと頭を狙って打つ真似を数回した後、私の苦悶の表情に満足したらしく、最終的にはリンゴを落とした。本当にこれでもこの男は私を愛しているというんだろうか?激しい疑問が残る。
「これは引き分けですね。次はどうしますか?」
「そうだね、ボッシュ王国で伝統的な対決があるんだ。やってみる気はあるかい?」
「もちろんでしょう」
なに?なに?内容を聞いてから決めて欲しいんだけども・・・・。
私の意見など聞く奴らではない。願いもむなしく、私は何故か広い闘技場の真ん中に連れてこられた。周りを檻で囲んであってだんだんと不安が大きくなってくる。土埃が風に舞って、なんだか動物の匂いが充満している。嫌な予感がしてきた・・・。
「あの、わたし侍女の仕事がそろそろ・・・・」と逃げだそうとした瞬間、10頭のライオンもどきが檻が開いて入ってきた。もどきというのは見かけは激しくライオンなんだけど、しっぽが蛇で背中に白い羽が生えているからだ。
勿論ライオンもどきは私に向かって走ってくる。死ぬぅーーーーと思って身構えた!
「大丈夫だ、ユリカ。お前の周りにだけ結界を張ってあるからね。すぐに助け出してあげる。私が必ず守ってやるから安心しておいて」
突然剣を片手に颯爽と現れたデューク王が、私に顎くい、をかましながら低い声で囁く。
だーかーらー!!私をこんな状況にしたのはあんた達でしょう!!!
必死の叫びにも耳もかさずに、二人はライオンを何頭倒せるかを競っている。二人とも結構楽しそうだ。ライオンに襲われるという危機感など全然感じない、私以外は!!
私はといえば結界は張ってあるんだろうけれども、いかんせんその半径が小さすぎるため、ライオンは私の体ぎりぎりまで牙を剥いてとびかかってくる。もう苦悶の表情を通り越して最終的には無表情になった。
人間極限状態を通り過ぎると、無心になるんだと初めて知った。結局互いに5頭ずつ倒し、依然として勝負はつかず次の勝負に持ち越された。
これ以上こいつらの思い通りにさせるわけにはいかない。大体今回の勝負で私が囮になる意味が分からない。ただただ、私の苦悶の表情が見たいだけとしか思えない。なのでこいつらが口を開く前に先に次の勝負を提案した。
「次の勝負は私が提案します。ズバリ名付けてワンちゃんおいでおいで大会です。これは日本に古来から伝わる伝統競技です。今でもよくテレビで正月に放映されています」
沢山の犬を離しておいて、何匹のワンちゃんを手なずけて自分の陣地に連れてこられるかを競う。ドSにとって、動物子供は鬼門なはず。これでもう私の勝ちは決まったもんだ、わはは。
「ユリカ、ところでワンちゃん?ってなんだい?」
あれ、そこからですか?そうか、まあライオンもどきもいたんだ。犬もどきもそりゃあいるだろう。っていうかそこにいる日本黒犬は、一体何の動物だと思っていたんだ?私はプードルの絵をかいてデューク王に説明した。するとすぐに理解したようで、頷きながらおそらくかなりできる有能な侍従に指示をだす。
なにやら傍で護衛している近衛兵たちの顔色がさっと変わった。なんだろう?犬が嫌いなのかな?
今回は私も参戦するという事で、先ほどの闘技場で3人で待機する。デューク王が私の耳に再び囁く。甘い息がかかって首筋がぞぞっとする。やめろ!イケメンは嫌いなんだ!!
「ユリカがこんなに好戦的だとはしらなかったよ。私と気が合うね。二人で最初の共同作業でもしようか?」
何を言っているのだ、この男は。これから可愛いワンちゃんが・・・・・。
檻が開いて出てきた生き物に私は仰天した。
「違う、違う、これワンちゃん違う・・・」
余りの驚きに言葉が文章にならない。檻から放たれたのは確かにプードルの姿形をしていたが、サイズがもう犬の領域を超えていた。もう象の大きさを超えて恐竜レベルのでかさだった。しかもそんなのが数えきれないほどにうようよ出てきた。確かに絵には大きさは書かなかったけど、常識的な犬のサイズをはるかに超越している。
おそらくかなりできる有能な侍従!どこからこんなに集めてきたの!しかもこんな短時間で!!
健司の方を見ると、一瞬驚いたらしいがすぐに冷静になって行動を開始する。さすが状況適応能力の高い男だ。異世界に来てすぐに守護精霊を従えて一国を落としただけあるな。
などと感心している間に、競技は終わってしまった。ドS王コンビは魔法で火や雷を使ってワンちゃんを自分の陣地に追い込んだ。恐竜サイズのプードルたちはキャンキャン吠えながら逃げる様にして追い込まれていった。
「またしても、勝負はつきませんでしたね」
健司が残念そうでは全くない様子で、残念そうなセリフをはく。恐らく彼もこの遊びを楽しんでいるのだろう。ドS男め!!
・・・・・?あれ・・?
「あの・・健司って魔法使えるんだっけ?」
私は疑問に思って聞いた。だって魔法を使えるのは異世界人だけなはずだ。違う世界から来た私たちは魔法は使えないはず。
「ああ、この世界に来た時、魔女に魔法の腕輪を貰ったんだ。ほら、これ・・・」
そういって、金色に輝く腕輪を見せてくれた。なんでも腕輪に魔力が詰まっていて、腕輪を付けた人物は魔法が使えるようになる優れものらしい。
「それは伝説級の代物だね。私も書物を読んで存在は知っていたが初めて見た。そんな貴重な代物を簡単に魔女が手放すわけがない。一体どんな手を使ったんだい?」
デューク王が不信感をあらわにして聞くと、健司は満面の笑顔で答えた。
「少し、生きていくのが嫌になる言葉をかけただけだよ。そうしたら永遠の眠りにつくとか言い出して棺桶の中で眠り始めたから、腕輪を拝借しておいたんだ」
えーーーっと。それって自殺教唆で睡眠強盗っていう犯罪ではないのでしょうか・・・。
「お前、ヒルデアの魔女を倒したのか!?あの魔女は民衆を苦しめて死に至らしめる魔物だったんだ。最近悪行を聞かないと思ったら、ケンジが討伐して民を救っていたなんてしらなかったよ」
デューク王が感心した様にいう。
あれ?あれ?じゃあ、自殺教唆と睡眠強盗ではなくて人々を悪い魔女から救った英雄だって事?!!
なんだかだんだん自分の価値観に自信がなくなってきて、私は頭を抱えた。ドSコンビは二人で楽しそうに笑いながら、ドS談義に花を咲かせていた。いかにして人を陥れるのかが議題だ。
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