勘違い聖女とドS鬼畜王の攻防 

南 玲子

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守護精霊 ルミーア

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巨大な白いライオンは地の底から響くようなうなり声をあげたかと思うと、突然怒り始めた。

「あいつはどこだ!!ボクの洞窟を壊したあいつ!!絶対に許さない!!!」

レオールとシューリ、ドイールは本来の姿に戻って私を守るように囲んだ。

「あれってば、光の精霊のルミーアじゃない?あの子ひきこもりで洞窟から何百年と出てこなかったんだけど、どうしてこんなところに来たのかしら?」

「ものすごく怒っているみたいだの。あんな状態の坊主はかなりやばいぞ」

「何たって光の精霊だからな、用心しろ」

な・・・なんだって?!光の精霊?!なんでひきこもりの精霊が結婚式に怒って出てくるの!!

「も・・・もしかして、私が好き・・だとか・・?んぐっ!!!」

レオールが私の顔を尻尾でたたく。本来の姿に戻ったレオールの尻尾でたたかれるとかなり痛い。私はレオールを、口に入った毛を取り除きながら睨んだ。

「馬鹿か・・・お前は・・。そんな訳あるわけないだろう。洞窟をこわされたとか言っておったのう」

「そうか!!誰かに何百年も引きこもっていた洞窟を壊されたんで怒っているんだ!!」

私は真実を突き止めたとばかりに、ドヤ顔で言った。隣に立つデューク王が信じられないといった表情をしてつぶやく。

「あれは光の精霊なんだろう・・・違うのか?そして洞窟を壊されたといった。この世界で精霊の住む洞窟を壊すような馬鹿は、私は一人しか知らない」

そうですね・・・デューク王・・あなたです。

「いたっ!」

心の中でつぶやいたのに、なぜか頭にチョップがとんだ。

「馬鹿!!ケンジだよ!あいつならやりかねない!」

デューク王がそう叫んだとたん、皆が全員で健司の座っていた辺りを振り向く。健司は丁度カミールの背にまたがったところだった。そうして私たちの視線に気が付くと、爽やかに笑いながら言った。

「いやーー、光の守護精霊も従えたいと思っていたんだ。洞窟さえ壊せば外に出てくると思ったんだけどね。予想が外れたよ」

健司はそういいながら私たちの方に近づいてくる。そうして完全に背後に隠れた。

えーー。何をしているのでしょうか?連城さん・・・?

「だって僕とカミールだけだと危ないだろう?百合香の傍にいれば土、火、水の精霊にも守ってもらえると思って」

髪をかき上げながら絶世の微笑みをたたえて、鬼畜なセリフをはく。私と2大ドS王、4大エレメントの精霊が一堂に会し、怒りをたぎらせる光の精霊、白ライオンに立ち向かう。

3メートルの巨体で大きく咆哮をし、前足をたたきつける。教会の壁がその一撃でもろくも崩れ始めた。

「ここにいると危ない!教会を出ろ!」

デュークはそういって私を抱え上げて、一緒に銀の豹レオールに飛び乗った。レオールは私たちが背に乗ったのを確認して、しなやかな猫のように教会を飛び出した。残された者たちが後に続く。

私は振り落とされないようにレオールの毛に必死でしがみ付いていた。気が付くと王城の庭をレオールの背にデューク王と一緒に乗ったまま逃げていた。その傍らには健司を乗せたカミールが必死の形相で逃げている。やっぱりおっさんユニコーンだ・・。

なんて思いながら後ろを振り返ると、巨大白ライオンが光の矢を放ってきた。背後からなん十本の光の矢が飛んでくる。私たちのすぐ後を飛んでいる怪鳥のシューリと黒い竜のドイールが、その矢を火や水を使って跳ね返す。

カミールも風を操り突風を起こして、光の矢を違う方向に飛ばす。意外とやるわね、あのおかまユニコーン。

私は必死でレオールにしがみ付いていることしかできなかった。カミールの凄まじい風が周りを通り過ぎる。

「シューリ、ドイール、カミーラ、邪魔をしないでくれ、その男がボクの洞窟を壊して引きこもりをやめて出て来いと説得しようとしたんだ。そいつを殺さないと気が済まない!!」

そう叫びながら白いライオンは突然あたりの光を奪った。いきなり闇が襲ってきて何も見えなくなる。抱きかかえるようにして私の背後にいるデューク王の手を確かめて安心する。

シューリがあたりに火を灯して、灯りを付けた。ぼんやりとだが辺りが見えるようになった。その間にも光の矢は間髪を入れずに襲ってくる。

「デューク、あの精霊ルミーアは健司の命を狙っているみたい!!どうにかして落ち着かせないと王城が滅茶苦茶になっちゃう!」

レオールの背中で揺れながらなので、舌を噛まないように注意して伝える。デューク王には精霊の話している言葉は聞こえないからだ。デューク王はしばらく考え込んだ後、何かを思いついたようで私にこんなことを言った。

「ユリカ、初夜を楽しみにしているよ。お前のセカンドバージンは私がもらう」

次の瞬間、胸の間をとんっと突き飛ばされた。そのままレオールの背中から落ちる。それを見てドイールが私を翼で受け止め、背中に乗せて助けた。

「行くぞ!ケンジ!!こっちだ!!」

そういってデューク王はレオールに乗ったまま、カミールに乗った健司と一緒に王城の屋上を目指す。それを追いかけていく白ライオン。あっという間に3体とも見えなくなった。私は一人、王城の庭にシューリとドイールと共に残された。やっと静けさが戻ってきたが、デューク王が去った方向で未だに光の矢が飛んでいるのが見える。

「はあ・・はあ・・・デューク王・・」

一体どうするつもりなんだろう。私は二人の身が心配になってきた。

「シューリ、ドイール、ルミーアに弱点は無いの?」

「あたしあの子の事、極端な人嫌いで引きこもりっていう事しか知らないの。外に出てこないからほとんど話したこともないし」

光の精霊で引きこもりなんて、いったい何があったんだろうか?土だったら理解できないこともないけどさ・・。

「ドイール、だったらルミーアの好きなものは何か知っている?」

「知らんな、やはり孤独が好きなんじゃないかな?」

そ・・・そうか・・まあいい、ならば・・・よし決まった!!

「じゃあ、私たちでまた洞窟を作ってあげましょうよ。レオールがいたら簡単にできるはずでしょう?だからシューリ、ドイール私をあそこに連れて行って?私がルミーアと話をつけるわ」

私はドイールの背に乗ったまま、デューク王とケンジのいる場所に向かった。


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