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戦いの傷
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「騎士隊が戻ってきたぞ! 騎士が三人、重体らしい!」
その声に愛は飛び跳ねて起き上がった。そうして怪我をした人が運び込まれる場所に急ぐ。
(騎士! まさかトーマスさんやガイルさん! エグバートさんだったらどうしよう!)
「大丈夫か! しっかりしろっ!」
運び込まれていたのは愛の見知った騎士ではなかった。けれども愛は全く喜べない。三人の中の一人は重体というよりはもうすでに虫の息だったから。
救護員が必死で治療をしながら顔を横に振っている。彼の翼竜も怪我をしていて歩くのもままならないというのに、主人の体から一ミリも離れようとしない。
「……駄目だ、もう心臓が止まっている。これ以上治療をしても助かる見込みはない。残念だがこの騎士様はもう助からん」
数人の救護員が立ち替わりその騎士を診るが、もう手の施しようがないようだ。誰もが暗い顔をして立ち去って行った。
「そんな……」
「まさか最強の軍隊である帝国の騎士様までこうなるなんて、どれほどナーデン神国の聖女は強いというのか!」
ずっと騎士の様子を見ていたマーシャルが慟哭を漏らしたとき、アナイスが救護テントに入ってきた。みなが一様に膝をついて頭を下げる。
「みなさん、今は帝国の一大事です。私への敬意は結構ですから治療に専念してください」
「あぁ、神巫女様……」
「神巫女様……なんてお優しいのでしょうか」
アナイスは先ほど運ばれてきた騎士達の様子を見に来たようだ。一人の騎士が助からなかったことを知ると、悲しそうに目を伏せた。
「この騎士に神のご加護を……でも帝国には帝王であるお兄様と騎士団長のダグラス様がいます。騎士団もまだ全力を尽くしているところ。私たちも頑張りましょう」
アナイスの言葉に、憔悴しきっていた現場の人たちは元気を取り戻した。彼女は愛の存在に気が付いたが少し会釈をしただけで、救護テントから去っていく。今はアナイスと知り合いだと思われない方が助かる。
主人が死んでいると分かっているのか、翼竜が騎士の体を守るように傍にいて誰も近づけさせようとはしない。ないので彼の体を清めることすらできなくて困っている。
「あの、私ならたぶん大丈夫だと思います」
愛は自らその役を申し出た。遠征隊にいたころからわかっていたことだが翼竜は不思議なことに、愛に敵意を抱かない。そっと手を伸ばすと、翼竜は悲しそうな鳴き声をだしながら愛を見上げた。
「すごい! 本当にあの翼竜が攻撃しない! じゃあ、アイ。せめて家族に会わせるときには彼を綺麗にしておいてあげてください。それが私たちにできる最大限のことです」
「はいっ」
たった今息を引き取ったばかりの騎士は、まだ顔色も悪くなくまだ生きているようだ。お葬式の時、お棺に入っていた父とは随分違う。
愛は濡れたタオルでゆっくりと彼の血や泥を拭う。近くで寄り添っている翼竜のちぎれた羽を見て、愛は目を細めた。
「お前も怪我してるじゃない。それでもご主人様が大事なんだよね……」
きつく剣を握りしめていたのか、騎士の指にはそのあとがまだくっきりついていた。彼の腕の肉は削がれて肌が黒焦げになっている。
(これが……戦争なんだ。刑事だって命を張ってたけど全然違う。日本は平和だったもの。殺すか殺されるかの世界……どうしてこんな風に人が死ななきゃいけないの。この人にだって待っている家族がいるはずなのに)
「こんなに手がボロボロになるまで帝国を護ろうとしてくれてたんですね。ありがとうございます」
愛がその手を強く握りしめると、翼竜が愛の気持ちにこたえるようにきゅぅぅぅんと鳴いた。主人を失くして自分も生きる気力を失ったよう。鱗には艶もなくなっているし、彼自身もう動くこともできないようだ。
なのに最後の気力を尽くして主人に仕えようとしている。契約した主人が亡くなれば、翼竜はそのまま食事をしなくなって衰弱死してしまうのだとトーマスから聞いた。
(きっとこの翼竜もこのまま主人の後を追うのね。なんて……なんて辛いの……)
愛の瞼に溜まった涙が頬を伝って零れ落ちる。いままで我慢していた気持ちがあふれ出たようだ。
「うっ……うぅっ……」
(こんなのって……許せない。どうしてこんな風に人を傷つけることができるの!)
いくつかの涙の雫が騎士の体に落ちた時、周囲の空気が震えるような感覚がした。
「きゅぃいいいいいいーー! きゅぃぃぃ!」
突然激しく鳴き始めた翼竜に意識を戻された愛は、目の前の光景に驚く。騎士の胸が上下し始めていて、呼吸をしているようだ。
「だ、誰かっ! 誰か、救護員の方っ!」
愛の剣幕に、救護員が気が付いて駆けつけてくる。そうして彼は騎士の様子を見て驚いた。
「ほ、本当に呼吸が戻っている! しかも損傷していた内臓までが元に……そんなバカなっ!」
その言葉に引き寄せられるようにマーシャルや救護員が集まってくる。そのうち騎士は完全に意識を取り戻したようだ。
「……あぁ、ライラ。お前、怪我はいいのか……?」
まだ朦朧として目も見えないはずなのに、騎士が真っ先に気にしたのは翼竜のこと。そうして翼竜は少ない力を振り絞ってきゅいいいんと小さく鳴いた。二人の間にある絆を思い知らされる。
翼竜は破れた翼を引きずるようにして騎士に覆いかぶさる。そんな時、マーシャルが愛に向きなおった。彼は真剣な目をしている。
「待って、アイ。君はどうやってこの騎士を生き返らせたんですか。魔法は使えないといってましたが、これはそんなものを超越しています。治療魔法はそこにある細胞を使って再生を促すのであって、もともと損傷していた内臓を作り出すなんてありえません」
「……え? でも、私。何も……」
するともう一人の救護員までが同じことを言い始めた。
「確かにさっきまでなかった彼の内臓が元に戻って、信じられないことに正常に動いている。こんなことはあり得ない。お前は一体何をしたんだ?」
「わ、私は彼の体を濡れた布で拭いてただけ。あとは何も……」
何人かが疑いながら愛の体に手を当てるが、皆が揃って顔を横に振る。
「……確かに彼女からは何の魔力も感じない。魔法を使えるはずがない」
「も、もしかして私が生き返って欲しいって強く望んだから? そんなことってあるのでしょうか!」
とりあえず試してみようと、愛はみんなの前で腕を失った兵士の手を握って祈ってみるが何も起こらなかった。そんなことをしているうちに次の犠牲者が運び込まれて話は中断される。
「とにかくこのことは後で話し合いましょう、アイ。いまは怪我人の救助が先です」
救護員たちがばらばらと散っていった後、助かった騎士が愛を引き留める。
「待ってくれ。君の名前はアイっていうのか。ありがとう。ライラが礼を言ってくれと頼んでいた」
マーシャルの治療でかなり良くなったよう。もう体も動くようで、彼は身を起こして愛の持ってきた水を美味しそうに飲んだ。翼竜も喜んでいるのが見て取れる。
「あぁ、今すぐ王城に戻らなければ。団長にお話がしたい。……聖女……あれは悪魔だ。聖女には魔法が全く効かない。どんな強固な障壁も結界も破られるし、どれほど強い魔力の弾も聖女には効かない。だが直接攻撃なら大丈夫なんだ! 聖女を倒せる!」
騎士の話によると、彼が唯一聖女の一番傍まで近づいた人物なのだという。聖女にはどの攻撃魔法も効かなかったので、剣を直接叩き込もうと他の騎士とフォーメーションを作り隙を狙ったらしい。
「だが聖女の傍には大神官テレンスがついていて、残念ながら俺の剣は躱された。そうしたら突然背後で爆発が起きたと思ったら、俺はこのざまだ」
けれども彼の投げた剣がほんの少し聖女の肩をかすめたらしい。彼は聖女が血を流しているのを、爆発した瞬間その目で見たのだという。
「あの黒髪の悪魔を倒すには直接攻撃しか手がない。このことを団長に報告しなければ!」
「黒髪……聖女は黒髪だったんですか?!」
「あぁ、真っ黒な黒髪だ。そうだ、君みたいな漆黒の黒色だった」
黒髪はこの世界でも珍しいものではない。でも漆黒の黒というのはそうはいないものらしい。
まさかと思いながらも愛は脳裏に浮かんだ恐ろしい想像に震えあがる。
(ダグラスは聖女を召喚したと言っていた。ということはこことは違うよその世界から来たということだわ。それにあの時見た白昼夢みたいなもの。もしかして塔子もこの世界に来ている!)
新宮 塔子の使っていた爆弾はPLXを使用したもの。二種類の液体を混合することで爆発するのだと捜査本部で聞いた。それがポーションに見えないこともないはず。でも問題はたくさんある。
(召喚、黒髪、しかもここにいる人たちの怪我は爆発によるものによく似ているわ。でもまさか。だってここは異世界。科学化合物だって違うだろうし、起爆するための信管だって簡単に手に入らないはず)
(でももし……万が一彼女が聖女だとしたら、私はただ召喚に巻き込まれたのかもしれない。あの時、ちょうど塔子が爆弾を起爆させた。そのせいで本来ならこの世界に来るはずじゃなかった私までが召喚されてしまったのかも)
でもこの推論は、すべて聖女が新宮 塔子だったらの話だ。
「あの、もしかしてその聖女って右目の下に黒子がありませんでしたか?」
「あぁ、確かに――そうだ。とても不気味な女だ。テレンス大神官は彼女をトーコと呼んでいた」
あまりのことに動揺が止まらない。何度聞きなおしても騎士は同じことを繰り返した。
「あの、すみませんが。私も一緒に連れて行ってください!」
騎士はまだ本調子でないというにもかかわらず、必死に言い募る愛の申し出を受けてくれた。
救護員には止められたが、愛が一緒に行くということで認めてくれる。翼竜のライラは飛ぶのもやっとの状態なのにどうしても騎士についていくときかない。
なので、愛が抱いていくことになった。
その声に愛は飛び跳ねて起き上がった。そうして怪我をした人が運び込まれる場所に急ぐ。
(騎士! まさかトーマスさんやガイルさん! エグバートさんだったらどうしよう!)
「大丈夫か! しっかりしろっ!」
運び込まれていたのは愛の見知った騎士ではなかった。けれども愛は全く喜べない。三人の中の一人は重体というよりはもうすでに虫の息だったから。
救護員が必死で治療をしながら顔を横に振っている。彼の翼竜も怪我をしていて歩くのもままならないというのに、主人の体から一ミリも離れようとしない。
「……駄目だ、もう心臓が止まっている。これ以上治療をしても助かる見込みはない。残念だがこの騎士様はもう助からん」
数人の救護員が立ち替わりその騎士を診るが、もう手の施しようがないようだ。誰もが暗い顔をして立ち去って行った。
「そんな……」
「まさか最強の軍隊である帝国の騎士様までこうなるなんて、どれほどナーデン神国の聖女は強いというのか!」
ずっと騎士の様子を見ていたマーシャルが慟哭を漏らしたとき、アナイスが救護テントに入ってきた。みなが一様に膝をついて頭を下げる。
「みなさん、今は帝国の一大事です。私への敬意は結構ですから治療に専念してください」
「あぁ、神巫女様……」
「神巫女様……なんてお優しいのでしょうか」
アナイスは先ほど運ばれてきた騎士達の様子を見に来たようだ。一人の騎士が助からなかったことを知ると、悲しそうに目を伏せた。
「この騎士に神のご加護を……でも帝国には帝王であるお兄様と騎士団長のダグラス様がいます。騎士団もまだ全力を尽くしているところ。私たちも頑張りましょう」
アナイスの言葉に、憔悴しきっていた現場の人たちは元気を取り戻した。彼女は愛の存在に気が付いたが少し会釈をしただけで、救護テントから去っていく。今はアナイスと知り合いだと思われない方が助かる。
主人が死んでいると分かっているのか、翼竜が騎士の体を守るように傍にいて誰も近づけさせようとはしない。ないので彼の体を清めることすらできなくて困っている。
「あの、私ならたぶん大丈夫だと思います」
愛は自らその役を申し出た。遠征隊にいたころからわかっていたことだが翼竜は不思議なことに、愛に敵意を抱かない。そっと手を伸ばすと、翼竜は悲しそうな鳴き声をだしながら愛を見上げた。
「すごい! 本当にあの翼竜が攻撃しない! じゃあ、アイ。せめて家族に会わせるときには彼を綺麗にしておいてあげてください。それが私たちにできる最大限のことです」
「はいっ」
たった今息を引き取ったばかりの騎士は、まだ顔色も悪くなくまだ生きているようだ。お葬式の時、お棺に入っていた父とは随分違う。
愛は濡れたタオルでゆっくりと彼の血や泥を拭う。近くで寄り添っている翼竜のちぎれた羽を見て、愛は目を細めた。
「お前も怪我してるじゃない。それでもご主人様が大事なんだよね……」
きつく剣を握りしめていたのか、騎士の指にはそのあとがまだくっきりついていた。彼の腕の肉は削がれて肌が黒焦げになっている。
(これが……戦争なんだ。刑事だって命を張ってたけど全然違う。日本は平和だったもの。殺すか殺されるかの世界……どうしてこんな風に人が死ななきゃいけないの。この人にだって待っている家族がいるはずなのに)
「こんなに手がボロボロになるまで帝国を護ろうとしてくれてたんですね。ありがとうございます」
愛がその手を強く握りしめると、翼竜が愛の気持ちにこたえるようにきゅぅぅぅんと鳴いた。主人を失くして自分も生きる気力を失ったよう。鱗には艶もなくなっているし、彼自身もう動くこともできないようだ。
なのに最後の気力を尽くして主人に仕えようとしている。契約した主人が亡くなれば、翼竜はそのまま食事をしなくなって衰弱死してしまうのだとトーマスから聞いた。
(きっとこの翼竜もこのまま主人の後を追うのね。なんて……なんて辛いの……)
愛の瞼に溜まった涙が頬を伝って零れ落ちる。いままで我慢していた気持ちがあふれ出たようだ。
「うっ……うぅっ……」
(こんなのって……許せない。どうしてこんな風に人を傷つけることができるの!)
いくつかの涙の雫が騎士の体に落ちた時、周囲の空気が震えるような感覚がした。
「きゅぃいいいいいいーー! きゅぃぃぃ!」
突然激しく鳴き始めた翼竜に意識を戻された愛は、目の前の光景に驚く。騎士の胸が上下し始めていて、呼吸をしているようだ。
「だ、誰かっ! 誰か、救護員の方っ!」
愛の剣幕に、救護員が気が付いて駆けつけてくる。そうして彼は騎士の様子を見て驚いた。
「ほ、本当に呼吸が戻っている! しかも損傷していた内臓までが元に……そんなバカなっ!」
その言葉に引き寄せられるようにマーシャルや救護員が集まってくる。そのうち騎士は完全に意識を取り戻したようだ。
「……あぁ、ライラ。お前、怪我はいいのか……?」
まだ朦朧として目も見えないはずなのに、騎士が真っ先に気にしたのは翼竜のこと。そうして翼竜は少ない力を振り絞ってきゅいいいんと小さく鳴いた。二人の間にある絆を思い知らされる。
翼竜は破れた翼を引きずるようにして騎士に覆いかぶさる。そんな時、マーシャルが愛に向きなおった。彼は真剣な目をしている。
「待って、アイ。君はどうやってこの騎士を生き返らせたんですか。魔法は使えないといってましたが、これはそんなものを超越しています。治療魔法はそこにある細胞を使って再生を促すのであって、もともと損傷していた内臓を作り出すなんてありえません」
「……え? でも、私。何も……」
するともう一人の救護員までが同じことを言い始めた。
「確かにさっきまでなかった彼の内臓が元に戻って、信じられないことに正常に動いている。こんなことはあり得ない。お前は一体何をしたんだ?」
「わ、私は彼の体を濡れた布で拭いてただけ。あとは何も……」
何人かが疑いながら愛の体に手を当てるが、皆が揃って顔を横に振る。
「……確かに彼女からは何の魔力も感じない。魔法を使えるはずがない」
「も、もしかして私が生き返って欲しいって強く望んだから? そんなことってあるのでしょうか!」
とりあえず試してみようと、愛はみんなの前で腕を失った兵士の手を握って祈ってみるが何も起こらなかった。そんなことをしているうちに次の犠牲者が運び込まれて話は中断される。
「とにかくこのことは後で話し合いましょう、アイ。いまは怪我人の救助が先です」
救護員たちがばらばらと散っていった後、助かった騎士が愛を引き留める。
「待ってくれ。君の名前はアイっていうのか。ありがとう。ライラが礼を言ってくれと頼んでいた」
マーシャルの治療でかなり良くなったよう。もう体も動くようで、彼は身を起こして愛の持ってきた水を美味しそうに飲んだ。翼竜も喜んでいるのが見て取れる。
「あぁ、今すぐ王城に戻らなければ。団長にお話がしたい。……聖女……あれは悪魔だ。聖女には魔法が全く効かない。どんな強固な障壁も結界も破られるし、どれほど強い魔力の弾も聖女には効かない。だが直接攻撃なら大丈夫なんだ! 聖女を倒せる!」
騎士の話によると、彼が唯一聖女の一番傍まで近づいた人物なのだという。聖女にはどの攻撃魔法も効かなかったので、剣を直接叩き込もうと他の騎士とフォーメーションを作り隙を狙ったらしい。
「だが聖女の傍には大神官テレンスがついていて、残念ながら俺の剣は躱された。そうしたら突然背後で爆発が起きたと思ったら、俺はこのざまだ」
けれども彼の投げた剣がほんの少し聖女の肩をかすめたらしい。彼は聖女が血を流しているのを、爆発した瞬間その目で見たのだという。
「あの黒髪の悪魔を倒すには直接攻撃しか手がない。このことを団長に報告しなければ!」
「黒髪……聖女は黒髪だったんですか?!」
「あぁ、真っ黒な黒髪だ。そうだ、君みたいな漆黒の黒色だった」
黒髪はこの世界でも珍しいものではない。でも漆黒の黒というのはそうはいないものらしい。
まさかと思いながらも愛は脳裏に浮かんだ恐ろしい想像に震えあがる。
(ダグラスは聖女を召喚したと言っていた。ということはこことは違うよその世界から来たということだわ。それにあの時見た白昼夢みたいなもの。もしかして塔子もこの世界に来ている!)
新宮 塔子の使っていた爆弾はPLXを使用したもの。二種類の液体を混合することで爆発するのだと捜査本部で聞いた。それがポーションに見えないこともないはず。でも問題はたくさんある。
(召喚、黒髪、しかもここにいる人たちの怪我は爆発によるものによく似ているわ。でもまさか。だってここは異世界。科学化合物だって違うだろうし、起爆するための信管だって簡単に手に入らないはず)
(でももし……万が一彼女が聖女だとしたら、私はただ召喚に巻き込まれたのかもしれない。あの時、ちょうど塔子が爆弾を起爆させた。そのせいで本来ならこの世界に来るはずじゃなかった私までが召喚されてしまったのかも)
でもこの推論は、すべて聖女が新宮 塔子だったらの話だ。
「あの、もしかしてその聖女って右目の下に黒子がありませんでしたか?」
「あぁ、確かに――そうだ。とても不気味な女だ。テレンス大神官は彼女をトーコと呼んでいた」
あまりのことに動揺が止まらない。何度聞きなおしても騎士は同じことを繰り返した。
「あの、すみませんが。私も一緒に連れて行ってください!」
騎士はまだ本調子でないというにもかかわらず、必死に言い募る愛の申し出を受けてくれた。
救護員には止められたが、愛が一緒に行くということで認めてくれる。翼竜のライラは飛ぶのもやっとの状態なのにどうしても騎士についていくときかない。
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