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終話 玉箒
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ばたばたと階段を降り、事務所のドアを通って、自分の寝室に逃げ込む。心臓がまだどくどくとやかましく騒いでいて、部屋の入り口でへなへなとうずくまる。
危なかった。あのまま颯季さんと同じ空間にいたら、俺は一番大切な人に無体をはたらいていただろう。
そう、横たわる颯季さんの体に乗って、欲望のまま――妄想が堰を切ったように溢れ出す。アルコールが入っているからなのか、想像を止められない。両手で顔を覆っても、仮定の光景は脳裏に展開し続ける。
内なる心の声に従っていたらどうなっていたのだろう。馬乗りになった俺の腿の下で、颯季さんの体が身動ぎする。彼は「待って、哲くん……」と弱々しく制止するけれど、ただ少し焦っているだけで、本気で嫌がっているわけではないのが手に取るように分かる。だって、言葉より雄弁なものが俺たちの体にはあるのだから。
「待ちません。颯季さんも興奮してるじゃないですか」
上擦りそうになる声を努めて抑えながら、布越しに恋人の股間をつう、と撫で上げると、感じ入ったような深いため息が漏れる。
颯季さんの双眸は濡れたように剣呑に光っている。今は自分が上にいるけれど、獲物を狩る役は相変わらず彼の方なのだ。そのことに、ぞくぞくするような快感を覚える。
固くそそり立ち、先走りで濡れそぼっている颯季さんのそれを、パンツと下着から取り出した。血管が浮き、はち切れそうになっている屹立を、ゆっくりと焦らしながら己の内側へと導いていく。颯季さんの顎が反らされ、はだけた柄シャツのあいだから覗く腹筋が震える。自分の中が大きくうねり、悦んでいるのを知覚した。
イメージの中の俺はいつになく積極的だ。妄想の世界なら颯季さんに幻滅される心配がないので、大胆に振る舞える。
俺は颯季さんのことばかり考えている。彼の表情は気持ち良さそうか。彼の好きな場所はどこか。どう体を使えば、彼がもっと良くなれるか。
颯季さん、と切なく名を呼ぶと、俺の中にいる彼の一部が一段と体積を増す。
「はあ……っ、どうですか、俺の中……?」
「んん、すごくいいよお……哲くん」
颯季さんは優しげにほほえむ。それでいて彼の両目は、ぎらぎらと情欲の炎を宿していて。
その熱に貫かれて、俺は達した。
目覚めると、いつもより一時間ほど遅い時間だった。
自分のベッドで独り身を起こし、寝室を見渡す。なんだか頭に靄がかかっているようだ。ぼんやりしながら記憶を辿ると、急激に熱い羞恥心が腹の底からこみ上げてきた。
そうだ、昨日は居酒屋に行って、お酒をたくさん飲んで……。酔った颯季さんを介抱していたら、なぜかおかしな空気になり、自分の部屋へ逃げ帰って一人で抜いたのだった。
俺はなんてことを……と頭を抱えていると、事務所のインターホンが出し抜けに鳴らされた。今日は仕事の予定は入っていないから、ドアの向こうにいるのは一人しかいない。
慌てて扉を開けると、予想通りそこには身なりを整えた颯季さんがいた。 顔色はいつもと変わりなく、昨夜の出来事などなかったようにけろりとしている。
「おはよ、哲くん。なかなか起きてこないから心配になって来ちゃった」
「あ、えっと、すみません。ついさっき起きたところで」
颯季さんの様子に普段との違いはない。どぎまぎしているのは俺だけのようだ。彼はすたすたと事務所の応接スペースまで歩いていく。
「せっかくだしコーヒーでも淹れようかな。哲くんも飲むでしょ?」
「は、はい。いや、それくらい俺が――」
「いいよいいよ、自分のことしてて。二日酔いになったりしてない? 頭痛いとか、気持ち悪いとか」
颯季さんが労るような目で見てくる。そうか、二日酔いという概念をすっかり失念していた。でも、今のところ体調に異状はなさそうだ。
「いえ……それは、大丈夫です。たぶん」
「そっかあ。哲くんお酒強かったんだねえ。なんかちょっと、意外かも」
その声が少しだけ、寂しそうだったのは聞き間違いだろうか。
顔を洗い、寝間着から部屋着に着替えた俺はソファに座り、颯季さんと相対した。 芳しい香りに包まれた朝の穏やかな時間、のはずだが、二人を取り囲む空気は少し緊張を孕んでいる。
俺には相手に謝らねばならないことがいくつかある。どう言ったらいいんだろう、と脳内の原稿用紙を何度もくしゃくしゃにしていると、コーヒーを一口飲んだ颯季さんが先に話を切り出した。
「昨日はごめんね、変なところ見せちゃって。哲くんには迷惑かけたね」
思わず目を剥く。颯季さんが詫びる必要なんかないのに、言わせてしまった。
「いっ、いえ、迷惑なんてとんでもないです。体質がありますし……それに、俺の方こそすみません」
「……ん、んん? 哲くんが謝るようなこと、何かあったっけ」
深々と頭を垂れると、慌てたような声が降ってくる。俺はぎゅっと拳を握りしめた。
「俺が居酒屋に行きたいなんて言い出したのがそもそもの原因なんです。だから、本当にすみませんでした」
「……哲くんは、楽しくなかった?」
僅かに沈んだ調子の問いかけに、はっと顔を上げる。颯季さんはちょっと困ったように微笑していた。その表情が示す感情は自分には馴染み深いものだ。つまり、颯季さんは罪悪感を抱いている。
俺はぶんぶんと頭を振った。
「そんなっ、すごく楽しかったです。颯季さんに感謝もしてます。でも」
「楽しかったなら〝でも〟は無しだよ。ぼくも楽しかったんだから、謝らないで。またあの居酒屋でも、今度はバルとかバーでも、一緒に行こ。ね?」
俺の唇に伸ばした人差し指で触れながら、颯季さんは宥めるような声音で言う。ぐ、と強く下唇を噛み締めた。そうしないと、涙をこらえられそうになかったから。
どうしてこの人はこんなにも優しいのだろう。好きだという気持ちと共に、今度は俺の心に罪悪感が溢れてくる。
「あの、俺……もうひとつ謝らないといけないことがあって」
颯季さんが目を丸くする。「うん? なあに?」
まともに相手の顔を見られなくて、自分の膝の上の拳に目を落とす。告悔室で罪を懺悔するような心持ちで、昨日の衝動を吐露していく。
「俺……昨日、もう少しで酔ってる颯季さんを襲ってしまうところだったんです。お酒で気が大きくなってたのもあると思うんですけど、自分がそんなことをちらっとでも考えたことが怖くて……次からは気をつけます。本当にすみません」
再び頭を極限まで下げてから、ちらりと颯季さんの反応をうかがう。幻滅どころではなく、軽蔑されたかもしれない。今の告白で嫌われ、「君がそんな人だとは思わなかったよ。もう出てって」とすべての関係を清算されるかもしれない。それでも、昨夜抱いた欲求を隠したまま、この先颯季さんと付き合っていけるとは思えなかった。
当の颯季さんは瞠目し、口を半開きにしていた。そこまで濃い驚愕の表情を、俺は見たことがなかった。
「襲っちゃいそうだったって、そう言ったの?」
「はい……本当に、申し訳」
「なんだあ、そんなの!」
俺の言葉尻を奪い、颯季さんがにぱっと笑う。ぱん、と両手を打ち合わせる音が事務所に響いた。
「全然してくれて良かったのに~。えー、哲くんがそんな風に思ってくれてたなんて嬉しいなあ……そっか、そっか」
「あ、あの……もしかして、怒ってないんですか?」
何やらうんうんとうなずいている颯季さんを前に、俺は呆気に取られていた。
颯季さんは絵に描いたほどに眩しい、満面の笑みをこちらに向ける。
「まさかあ、怒るわけないよお。君に襲われるなんて、ぼくにとってはご褒美でしかないもの」
「そ……そう、なんですか?」
まさか、ご褒美と言われるとは……。颯季さんが席を立ち、混乱のただ中にいる俺の隣に腰を下ろす。
「ね。すぐじゃなくていいから、いつか君から誘ってくれる? ……哲成」
指が伸びてきて、俺の頬にそっと触れる。
それだけで脳が茹だったようになり、何も考えられなくなる。俺はきっと、お酒なんかなくても、ずっと颯季さんに酔い続けているのだ。
「は……はい」俺はこくこくと小刻みに首肯する。
「気が向いたらでいいからねえ。じゃあ、朝ご飯の準備しようか」
「そう、ですね。しましょうか」
これからまた、二人の一日が始まる。立ち上がる前にそっと交わしたキスは、苦くてほんのり甘いコーヒーの味がした。
危なかった。あのまま颯季さんと同じ空間にいたら、俺は一番大切な人に無体をはたらいていただろう。
そう、横たわる颯季さんの体に乗って、欲望のまま――妄想が堰を切ったように溢れ出す。アルコールが入っているからなのか、想像を止められない。両手で顔を覆っても、仮定の光景は脳裏に展開し続ける。
内なる心の声に従っていたらどうなっていたのだろう。馬乗りになった俺の腿の下で、颯季さんの体が身動ぎする。彼は「待って、哲くん……」と弱々しく制止するけれど、ただ少し焦っているだけで、本気で嫌がっているわけではないのが手に取るように分かる。だって、言葉より雄弁なものが俺たちの体にはあるのだから。
「待ちません。颯季さんも興奮してるじゃないですか」
上擦りそうになる声を努めて抑えながら、布越しに恋人の股間をつう、と撫で上げると、感じ入ったような深いため息が漏れる。
颯季さんの双眸は濡れたように剣呑に光っている。今は自分が上にいるけれど、獲物を狩る役は相変わらず彼の方なのだ。そのことに、ぞくぞくするような快感を覚える。
固くそそり立ち、先走りで濡れそぼっている颯季さんのそれを、パンツと下着から取り出した。血管が浮き、はち切れそうになっている屹立を、ゆっくりと焦らしながら己の内側へと導いていく。颯季さんの顎が反らされ、はだけた柄シャツのあいだから覗く腹筋が震える。自分の中が大きくうねり、悦んでいるのを知覚した。
イメージの中の俺はいつになく積極的だ。妄想の世界なら颯季さんに幻滅される心配がないので、大胆に振る舞える。
俺は颯季さんのことばかり考えている。彼の表情は気持ち良さそうか。彼の好きな場所はどこか。どう体を使えば、彼がもっと良くなれるか。
颯季さん、と切なく名を呼ぶと、俺の中にいる彼の一部が一段と体積を増す。
「はあ……っ、どうですか、俺の中……?」
「んん、すごくいいよお……哲くん」
颯季さんは優しげにほほえむ。それでいて彼の両目は、ぎらぎらと情欲の炎を宿していて。
その熱に貫かれて、俺は達した。
目覚めると、いつもより一時間ほど遅い時間だった。
自分のベッドで独り身を起こし、寝室を見渡す。なんだか頭に靄がかかっているようだ。ぼんやりしながら記憶を辿ると、急激に熱い羞恥心が腹の底からこみ上げてきた。
そうだ、昨日は居酒屋に行って、お酒をたくさん飲んで……。酔った颯季さんを介抱していたら、なぜかおかしな空気になり、自分の部屋へ逃げ帰って一人で抜いたのだった。
俺はなんてことを……と頭を抱えていると、事務所のインターホンが出し抜けに鳴らされた。今日は仕事の予定は入っていないから、ドアの向こうにいるのは一人しかいない。
慌てて扉を開けると、予想通りそこには身なりを整えた颯季さんがいた。 顔色はいつもと変わりなく、昨夜の出来事などなかったようにけろりとしている。
「おはよ、哲くん。なかなか起きてこないから心配になって来ちゃった」
「あ、えっと、すみません。ついさっき起きたところで」
颯季さんの様子に普段との違いはない。どぎまぎしているのは俺だけのようだ。彼はすたすたと事務所の応接スペースまで歩いていく。
「せっかくだしコーヒーでも淹れようかな。哲くんも飲むでしょ?」
「は、はい。いや、それくらい俺が――」
「いいよいいよ、自分のことしてて。二日酔いになったりしてない? 頭痛いとか、気持ち悪いとか」
颯季さんが労るような目で見てくる。そうか、二日酔いという概念をすっかり失念していた。でも、今のところ体調に異状はなさそうだ。
「いえ……それは、大丈夫です。たぶん」
「そっかあ。哲くんお酒強かったんだねえ。なんかちょっと、意外かも」
その声が少しだけ、寂しそうだったのは聞き間違いだろうか。
顔を洗い、寝間着から部屋着に着替えた俺はソファに座り、颯季さんと相対した。 芳しい香りに包まれた朝の穏やかな時間、のはずだが、二人を取り囲む空気は少し緊張を孕んでいる。
俺には相手に謝らねばならないことがいくつかある。どう言ったらいいんだろう、と脳内の原稿用紙を何度もくしゃくしゃにしていると、コーヒーを一口飲んだ颯季さんが先に話を切り出した。
「昨日はごめんね、変なところ見せちゃって。哲くんには迷惑かけたね」
思わず目を剥く。颯季さんが詫びる必要なんかないのに、言わせてしまった。
「いっ、いえ、迷惑なんてとんでもないです。体質がありますし……それに、俺の方こそすみません」
「……ん、んん? 哲くんが謝るようなこと、何かあったっけ」
深々と頭を垂れると、慌てたような声が降ってくる。俺はぎゅっと拳を握りしめた。
「俺が居酒屋に行きたいなんて言い出したのがそもそもの原因なんです。だから、本当にすみませんでした」
「……哲くんは、楽しくなかった?」
僅かに沈んだ調子の問いかけに、はっと顔を上げる。颯季さんはちょっと困ったように微笑していた。その表情が示す感情は自分には馴染み深いものだ。つまり、颯季さんは罪悪感を抱いている。
俺はぶんぶんと頭を振った。
「そんなっ、すごく楽しかったです。颯季さんに感謝もしてます。でも」
「楽しかったなら〝でも〟は無しだよ。ぼくも楽しかったんだから、謝らないで。またあの居酒屋でも、今度はバルとかバーでも、一緒に行こ。ね?」
俺の唇に伸ばした人差し指で触れながら、颯季さんは宥めるような声音で言う。ぐ、と強く下唇を噛み締めた。そうしないと、涙をこらえられそうになかったから。
どうしてこの人はこんなにも優しいのだろう。好きだという気持ちと共に、今度は俺の心に罪悪感が溢れてくる。
「あの、俺……もうひとつ謝らないといけないことがあって」
颯季さんが目を丸くする。「うん? なあに?」
まともに相手の顔を見られなくて、自分の膝の上の拳に目を落とす。告悔室で罪を懺悔するような心持ちで、昨日の衝動を吐露していく。
「俺……昨日、もう少しで酔ってる颯季さんを襲ってしまうところだったんです。お酒で気が大きくなってたのもあると思うんですけど、自分がそんなことをちらっとでも考えたことが怖くて……次からは気をつけます。本当にすみません」
再び頭を極限まで下げてから、ちらりと颯季さんの反応をうかがう。幻滅どころではなく、軽蔑されたかもしれない。今の告白で嫌われ、「君がそんな人だとは思わなかったよ。もう出てって」とすべての関係を清算されるかもしれない。それでも、昨夜抱いた欲求を隠したまま、この先颯季さんと付き合っていけるとは思えなかった。
当の颯季さんは瞠目し、口を半開きにしていた。そこまで濃い驚愕の表情を、俺は見たことがなかった。
「襲っちゃいそうだったって、そう言ったの?」
「はい……本当に、申し訳」
「なんだあ、そんなの!」
俺の言葉尻を奪い、颯季さんがにぱっと笑う。ぱん、と両手を打ち合わせる音が事務所に響いた。
「全然してくれて良かったのに~。えー、哲くんがそんな風に思ってくれてたなんて嬉しいなあ……そっか、そっか」
「あ、あの……もしかして、怒ってないんですか?」
何やらうんうんとうなずいている颯季さんを前に、俺は呆気に取られていた。
颯季さんは絵に描いたほどに眩しい、満面の笑みをこちらに向ける。
「まさかあ、怒るわけないよお。君に襲われるなんて、ぼくにとってはご褒美でしかないもの」
「そ……そう、なんですか?」
まさか、ご褒美と言われるとは……。颯季さんが席を立ち、混乱のただ中にいる俺の隣に腰を下ろす。
「ね。すぐじゃなくていいから、いつか君から誘ってくれる? ……哲成」
指が伸びてきて、俺の頬にそっと触れる。
それだけで脳が茹だったようになり、何も考えられなくなる。俺はきっと、お酒なんかなくても、ずっと颯季さんに酔い続けているのだ。
「は……はい」俺はこくこくと小刻みに首肯する。
「気が向いたらでいいからねえ。じゃあ、朝ご飯の準備しようか」
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