日々日常物語

エビフライ

文字の大きさ
2 / 4

気持ち

しおりを挟む
携帯の、アラーム音が聞こえる。ゆっくりと身体を起こし、アラームを止める。ふう、と息を吐くと勢いよくベッドから降り、薄い水色のカーテンを開ける。空は綺麗な青空だった。最近、晴れる事が多くなった。まだ4月だとゆうのに、外に出ると少し汗ばんでしまう。日焼け止め、そろそろ買っておこうかな。学校の帰りにでも薬局に寄っておこう。
そんな事を思いながら、化粧ポーチを手に取り、芽生は洗面所へと向かう。
鏡を見る。ヘアバンドを手に取ると、洗顔を始める。洗顔用の石鹸は、パッケージが可愛いかったのと、好きなモデルさんがCMで紹介していたやつで、速攻で買ったものだった。今着けてるヘアバンドも、友達でお揃いで買ったやつだ。洗顔を終え、顔を拭くと、化粧ポーチへと手を伸ばす。中を開けると可愛いデザインの化粧道具が顔を出す。どれも、雑誌で紹介されてたり、今人気の商品などばっかりだ。芽生はできるだけ、流行りには敏感でいたかった。他の子達よりも可愛くいたかった。 
今日はどうしようかな?いつもよりも、女の子っぽくしてみようかな?淡いピンク色のリップを取り出す。普段はあまりつけない色だった。髪の毛は少し巻いて、おろしてみよう。セーターは、白にして、春っぽくしてみよう。芽生はそう考えると、ワクワクした。
気づいてくれるかな?何か言ってくれるかな?
そう思いながら、芽生はファンデーションに手をとった。いつも、この時間は、1人の事だけを想って身支度をする。
制服に着替え、リビングへと向かう。
「あ、芽生。おはよう。テーブルの上にご飯あるから食べちゃって」母がスーツ姿でバタバタしながら言う。芽生の家は母子家庭で、母は朝から晩まで仕事詰めだった。「おはよう。ご飯ありがとう、明日は私作るよ」席に着きながら食パンを手に取る。パンの上にはべーコンと目玉焼きがのっており、美味しそうだった。
「本当?助かるわー、最近忙しくなってきて……亜弓?そろそろ起きなさーい!」母は妹の部屋に向かって怒鳴る。
「ほんと、最近ギリギリまで寝てるんだから。いっつも慌てて学校行くくせに」母はぶつぶつと文句を言う。
芽生はテレビに表示されてる時間を見る。7時2分。
後28分で会える。自然と、口元がにやける。
「………おはよ」妹の亜弓がリビングに来て言う。
亜弓はまだ中学3年生で、芽生とは違いセーラー服を来ている。
「おはよ」芽生はそう返すとテレビに目をやる。
女優の結婚の発表がされていた。学校では、この話しで持ち切りになるだろうな。
亜弓がパンを手に取りながら言う。
「お姉ちゃん、今日ケバくない?」「…うるっさい、ほっといてよ」ムッとしながら言う。
「なんか、気合い入ってる」「いいからアンタはさっさとご飯食べな」母が亜弓の頭を叩く。
「ごちそうさま」芽生が手を合わせると母は「はーい」と答えながら髪をいわく。
そんなに派手かな?やっぱりセーターは灰色に変えようかな。芽生は悩みながら食器を台所に持っていく。「あ、占い始まったよ」亜弓が言う。
テレビに目をやると、かに座が1位だった。
「やった」芽生は声にだして喜ぶ。やっぱり、セーターはこのままで行こう。

外に出ると、桜がはらはらと散っていた。昨日より少し涼しかった。
待ち合わせの所に目をやる。朝からずっと、想っている人がいた。気分が上がる。
「巧実!」名前を呼んで、近ずく。
「おう」巧実は芽生に気づき、笑いかける。
そんな、たいした会話でもないのに、芽生は少し緊張する。
「今日、早いね。巧実」「ほら、今日テストだからさ。緊張して」そう言いながら、2人は学校へと向かった。
「でも昨日、将太君と勉強会したんでしょ?」
巧実が笑う。
「全然。勉強なんかしてねぇよ。ずって喋ってばっかだった」それからずっと、今日のテストの話ばかりだった。
ねえ、違う話ししようよ。なんか、気づかないの?そう素直に聞ければいいのに、うまく言葉にならない。
朝からずっと、私は君の事考えて。いつもよりも、化粧の時間増やして。占いだって気にして。こっち見てよ。少しは私の事、気にしてよ。
ねえ、いつになったら君は。幼なじみじゃなくて、女の子として私を見てくれるの?こうやって、朝一緒に登校するのも幼なじみとしてじゃなく、私は……。
あ、そういえば、と巧実が言う。
「芽生はさ、もし世界が終わるとして、タイムリミットがあったら何して過ごす?」
「え?」なんだろう、いきなり。
「いや、昨日将太が急に聞いてきて。芽生だったらどうすんのかなって」
「巧実は何するの?」少し考えてから芽生は聞く。
「俺?俺は、普通に大切な人と過ごすよ」
そう言いながら巧実は、これってもったいないのかなーと呟く。
大切な人。その中に私は入っているのだろうか。
風が吹く。桜が宙に舞う。
芽生は?巧実が聞く。
私。私は………少し考えながら芽生は答える。
「………内緒!」
なんだよ、それー。不満げに巧実が言う。
いつか、自分はちゃんと言う事ができるのだろうか。
この気持ちを、ちゃんとあなたに。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

鐘ヶ岡学園女子バレー部の秘密

フロイライン
青春
名門復活を目指し厳しい練習を続ける鐘ヶ岡学園の女子バレー部 キャプテンを務める新田まどかは、身体能力を飛躍的に伸ばすため、ある行動に出るが…

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

せんせいとおばさん

悠生ゆう
恋愛
創作百合 樹梨は小学校の教師をしている。今年になりはじめてクラス担任を持つことになった。毎日張り詰めている中、クラスの児童の流里が怪我をした。母親に連絡をしたところ、引き取りに現れたのは流里の叔母のすみ枝だった。樹梨は、飄々としたすみ枝に惹かれていく。 ※学校の先生のお仕事の実情は知りませんので、間違っている部分がっあたらすみません。

処理中です...