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追い詰められたリリー

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ゲーテ王子の部屋から秘密の通路を通って庭に出たリリーは、バラードとラッセンを探していました。王宮の庭のガゼボに二人はいました。

実はリリーとこの二人は、ゲーテ王子とは内緒でよくこのガゼボで会っていたのです。

「バラード様、ラッセン様‥‥。」

リリーが二人に寄りかかろうとすると、二人がリリーに詰め寄って来ました。

「リリー、今国が大変なんだ。君がせっかく国中へ張ってくれた結界が、突然崩れてしまったんだ。今、街の至る所に魔物が出没して騒ぎになっているんだ。」

「リリー、どうなってるんだ?」

しまった‥魅了の魔法が薄れてきてる‥。

「助けて、バラード様、ラッセン様!ルナールに意地悪をされて、聖魔法が使えなくなってしまったのです。」

「何!ルナールめ!」

「ルナールのところへ行って、懲らしめてやろう!」

二人がリリーの嘘を信じて、ルナールの元へ行こうとしたのを見たリリーは、まだ魅了の力が効いてるのだと知り安心しました。

でも、最近は魅了の魔法が効きにくくなっている事も実感していました。

この二人にもっと強い魅了の魔法をかけなければ‥‥。その為にはもっと密に体に触れなくてはならないわね‥‥。

「待ってください。バラード様、ラッセン様‥‥。」

バラードは立ち止まらずに先へ行ってしまいました。ラッセンだけが立ち止まりました。

「リリー、どうしたんだい?」

リリーは、ラッセンの体にしなだれかかり、上目遣いでラッセンの目を見つめました。

「ラッセン様のお部屋でお話したいんです。」

「リリー!分かった。すぐに行こう。」

リリーはラッセンと共に、ラッセンの部屋へ入っていきました。

ラッセンは、リリーをベッドへ横にすると、急いで服を脱ぎ、リリーの服にも手をかけました。

「ラッセン様、分かってますよね?いつものように最後は私の中に出さないで下さいね!」

「ああ、分かってる。さあ、リリー、早く服を脱いでくれ。」

リリーは、ベッドの上で裸で待つラッセンを焦らすように、ゆっくりと服を脱いでいきました。

そして二人共裸になると、激しく抱き合いました。

「あっ、あっ、ダメ!ラッセン様!」

リリーは、ラッセンの腰の動きが急に激しくなったことに気付き慌てました。 
 
「ラッセン様、抜いて!早く抜いてよ!」

リリーは、ラッセンの胸をバシバシと叩いて抵抗しますが、ラッセンは止まりません。

「あっ、あっ、リリー、駄目だ。もう出る!」

ラッセンは腰の動きが止まると、ゆっくりと自身のモノをリリーから引き抜きました。


「ラッセン様!どうするのよ!私とゲーテ王子は結婚するのよ!妊娠したら、どうするのよ!馬鹿。」

「すまない。リリー、でも止まらなかったんだ。愛してるんだ。君に何かあれば、いつだって君を連れて逃げる覚悟はできている。」

「‥ラッセン様、馬鹿ね‥。」

リリーはふと、ラッセンと他国に逃げる自分を想像してみました。

「ラッセン様、本当に私が大変な事に巻き込まれたら、私を連れて逃げて下さいね。」

「勿論だ、リリー。」

「ラッセン様‥。」

リリーは知りませんでした。

ラッセンがリリーを愛するのは、決して魅了魔法のせいだけではないのだという事を。

リリーの魅了魔法は、少しずつ確実に効力をなくしつつありました。

そして、ラッセンの部屋の扉の前にはゲーテ王子の隠密がいた事も、リリーはまだ知りませんでした。



ゲーテ王子の隠密が、腕にはめた魔道具でゲーテ王子を呼びました。

「王子殿下、リリーは今ラッセンの部屋にいます。」

「分かった。今行こう。」

ゲーテ王子は、すぐにラッセンの部屋へ向かいました。
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