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46、リナとラナン
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ナターシャが双子を出産してしばらく経った頃、山の中ではお爺さんとラナンが小屋の横に大きな家を作りあげていました。
何ヶ月もかけて、魔法で木を切ったり組み立たりしてやっと完成した大きな家でした。
「ラナンとリナちゃんの家だよ。将来子供が産まれた時の事も考えて、大きな家にしたんだ。」
「子供だなんて、そんな‥。」
お爺さんがいきなり子供の話をするので、リナは驚いて顔が真っ赤になってしまいました。ラナンも困った顔をしています。
「‥そんなに驚くような話をしたかな?」
お爺さんは、気まずそうな顔をして頭を掻きながら小屋へ戻って行きました。
「リナ、早速新しい家の中を見てみようよ。」
ラナンはそう言ってリナの手をひき、新しい家の中に入っていきました。
一階には大きな食堂とお風呂などがあり、二階には夫婦の寝室と子供部屋が三つもありました。
夫婦の寝室には大きなサイズのベッドがあり、枕も二つ並んでいました。それを見たリナは無邪気に喜んでいました。
「‥わぁ、ベッドが大きい!」
「きっと二人用だから大きいんだろうね。」
「そっかぁ、だから大きいんだ。」
「‥‥。」
ラナンは何となく気まずさを感じ、リナの手を引っ張って寝室から出ました。
「リナ、住む家はお師匠様と別々になってしまったけど、食事は今まで通り三人で食べようよ。」
「良いわね。じゃあ早速新しいキッチンで料理しなきゃ。」
リナはそう言って、楽しそうにキッチンのある一階へ降りて行きました。
その晩、新しい家の食堂で三人は食事をしました。
ラナンは、お爺さんが新居祝いにくれたワインを飲んでふらふらになってしまいました。
「リナちゃん、そっちの肩を持ってくれ。寝室へ運ぶのは‥無理だな。そこのソファーへ寝かせよう。」
「‥瞬間移動はしないんですね。」
「酔っ払ってる人間にはしないよ。瞬間移動は酔いがまわりやすいからね。新しいベッドに嘔吐されるのは嫌だろう?」
「‥はい。」
リナは何となくがっかりした気持ちになりました。二人でラナンをソファーへ運び終わると、お爺さんはさっさと帰ってしまいました。
「‥寂しいなぁ。もう少し皆で話していたかったのに‥。」
リナがそう呟くと、ラナンが目を覚ましました。
「ラナン、起きたの?」
「‥久しぶりだね。」
「その話し方は‥ジョンさん?」
「‥あれから色々とあったようだね。」
「はい。」
「ラナンと結婚したんだね。」
「はい!これからずっと二人で生きていきます。」
「‥いや、きっともっと家族は増えると思うな。」
「‥私達の間にいつか子供が産まれるから?」
「そうだよ。‥‥幸せにね、さようなら。」
「‥‥ジョンさん?」
ラナンが寝てる間に時々現れていたジョンさんは、その後二度と現れる事はありませんでした。
「‥私も寝よう。」
リナは一人で階段を上がり、寝室の新しいベッドで一人眠る事にしました。
「ふわっふわで気持ち良い‥。」
リナはベッドに入るとすぐに眠ってしまいました。
そしてその晩、リナは夢を見ました。夢の中で牧師をしていた養父と久しぶりに会いました。
「お父さん、また会えるなんて嬉しい!」
「リナ、幸せそうで良かった。」
「お父さん、胸の十字架の加護をありがとう。これのおかげで、たくさん助けられたのよ。」
「リナだけを護る特別な加護だからね。リナの真剣な祈りで加護はいつでも発動するから、これからもそれを覚えておいて。」
「分かったわ。」
リナの養父は次第に輝きを増していき、とても眩しい発光体となりました。
「‥眩しいよ。お父さんが見えない‥。」
リナは目を細めながらも必死に養父を見ようとしました。
すると、養父の横に小さな人影を見つけました。
「‥お父さんの横に小さな子供がいるよ。その子は誰?」
「もうじきそっちの世界に行く予定の子だよ。‥リナ、幸せにね。」
「‥えっ、どういう事?お父さん!」
リナが呼びかけても返事はありませんでした。養父と小さな子供は手を繋いだまま、遥か上空へと消えていきました。
「待ってー!お父さん、その子は‥もしかして私の‥。」
リナは大声で叫びながら目を覚ましました。すると、その声に驚いたラナンが階段を駆け上がってきました。
「リナ、大丈夫かい!?」
「‥大丈夫。ごめんね、夢を見てたみたい。」
「なんだ、夢か。てっきりまた暗殺者か何かだと思っでしまったよ。‥‥それで、どんな夢だったの?」
「夢の中でね、お父さんが私に会いにきてくれたの。」
「そうか、良かったね。さあ、食事の支度が出来たよ。三人で食べよう。」
「うん、ありがとう。」
リナはラナンに養父が連れていた子供の話はしませんでした。‥ですが、あの子はきっと自分とラナンの子供に違いないと思いました。
ですが、まだまだラナンと二人でこの生活を楽しみたいリナは‥‥
「ごめんね、私達の将来の赤ちゃん。あともう少しだけ待ってね。」
そう言って、ラナンとお爺さんの待つ食堂へと向かうのでした。
end.
何ヶ月もかけて、魔法で木を切ったり組み立たりしてやっと完成した大きな家でした。
「ラナンとリナちゃんの家だよ。将来子供が産まれた時の事も考えて、大きな家にしたんだ。」
「子供だなんて、そんな‥。」
お爺さんがいきなり子供の話をするので、リナは驚いて顔が真っ赤になってしまいました。ラナンも困った顔をしています。
「‥そんなに驚くような話をしたかな?」
お爺さんは、気まずそうな顔をして頭を掻きながら小屋へ戻って行きました。
「リナ、早速新しい家の中を見てみようよ。」
ラナンはそう言ってリナの手をひき、新しい家の中に入っていきました。
一階には大きな食堂とお風呂などがあり、二階には夫婦の寝室と子供部屋が三つもありました。
夫婦の寝室には大きなサイズのベッドがあり、枕も二つ並んでいました。それを見たリナは無邪気に喜んでいました。
「‥わぁ、ベッドが大きい!」
「きっと二人用だから大きいんだろうね。」
「そっかぁ、だから大きいんだ。」
「‥‥。」
ラナンは何となく気まずさを感じ、リナの手を引っ張って寝室から出ました。
「リナ、住む家はお師匠様と別々になってしまったけど、食事は今まで通り三人で食べようよ。」
「良いわね。じゃあ早速新しいキッチンで料理しなきゃ。」
リナはそう言って、楽しそうにキッチンのある一階へ降りて行きました。
その晩、新しい家の食堂で三人は食事をしました。
ラナンは、お爺さんが新居祝いにくれたワインを飲んでふらふらになってしまいました。
「リナちゃん、そっちの肩を持ってくれ。寝室へ運ぶのは‥無理だな。そこのソファーへ寝かせよう。」
「‥瞬間移動はしないんですね。」
「酔っ払ってる人間にはしないよ。瞬間移動は酔いがまわりやすいからね。新しいベッドに嘔吐されるのは嫌だろう?」
「‥はい。」
リナは何となくがっかりした気持ちになりました。二人でラナンをソファーへ運び終わると、お爺さんはさっさと帰ってしまいました。
「‥寂しいなぁ。もう少し皆で話していたかったのに‥。」
リナがそう呟くと、ラナンが目を覚ましました。
「ラナン、起きたの?」
「‥久しぶりだね。」
「その話し方は‥ジョンさん?」
「‥あれから色々とあったようだね。」
「はい。」
「ラナンと結婚したんだね。」
「はい!これからずっと二人で生きていきます。」
「‥いや、きっともっと家族は増えると思うな。」
「‥私達の間にいつか子供が産まれるから?」
「そうだよ。‥‥幸せにね、さようなら。」
「‥‥ジョンさん?」
ラナンが寝てる間に時々現れていたジョンさんは、その後二度と現れる事はありませんでした。
「‥私も寝よう。」
リナは一人で階段を上がり、寝室の新しいベッドで一人眠る事にしました。
「ふわっふわで気持ち良い‥。」
リナはベッドに入るとすぐに眠ってしまいました。
そしてその晩、リナは夢を見ました。夢の中で牧師をしていた養父と久しぶりに会いました。
「お父さん、また会えるなんて嬉しい!」
「リナ、幸せそうで良かった。」
「お父さん、胸の十字架の加護をありがとう。これのおかげで、たくさん助けられたのよ。」
「リナだけを護る特別な加護だからね。リナの真剣な祈りで加護はいつでも発動するから、これからもそれを覚えておいて。」
「分かったわ。」
リナの養父は次第に輝きを増していき、とても眩しい発光体となりました。
「‥眩しいよ。お父さんが見えない‥。」
リナは目を細めながらも必死に養父を見ようとしました。
すると、養父の横に小さな人影を見つけました。
「‥お父さんの横に小さな子供がいるよ。その子は誰?」
「もうじきそっちの世界に行く予定の子だよ。‥リナ、幸せにね。」
「‥えっ、どういう事?お父さん!」
リナが呼びかけても返事はありませんでした。養父と小さな子供は手を繋いだまま、遥か上空へと消えていきました。
「待ってー!お父さん、その子は‥もしかして私の‥。」
リナは大声で叫びながら目を覚ましました。すると、その声に驚いたラナンが階段を駆け上がってきました。
「リナ、大丈夫かい!?」
「‥大丈夫。ごめんね、夢を見てたみたい。」
「なんだ、夢か。てっきりまた暗殺者か何かだと思っでしまったよ。‥‥それで、どんな夢だったの?」
「夢の中でね、お父さんが私に会いにきてくれたの。」
「そうか、良かったね。さあ、食事の支度が出来たよ。三人で食べよう。」
「うん、ありがとう。」
リナはラナンに養父が連れていた子供の話はしませんでした。‥ですが、あの子はきっと自分とラナンの子供に違いないと思いました。
ですが、まだまだラナンと二人でこの生活を楽しみたいリナは‥‥
「ごめんね、私達の将来の赤ちゃん。あともう少しだけ待ってね。」
そう言って、ラナンとお爺さんの待つ食堂へと向かうのでした。
end.
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リナとラナンは、いつ自分たちが年頃の男女だって自覚するのかしら?
この先が楽しみです(^-^)
ありがとうございます(^^)✨
そっちの方もじわじわと進んで行きます♪
馬鹿娘が、王位を継いで、この国大丈夫だろうか
馬鹿娘とやんちゃ王子で楽しい国を作ってくれそうです(笑)
王様が元気なうちに、少しずつ成長してもらわなきゃ💦
呪いが解けたら、今までの反動で、真逆になったりして、妹姫は、不幸が降りかかり、姉姫は、幸せになる。そんな未来がいいなと思う。
良いですね〜😁✨
やっぱり少しは苦労や不幸がないと、人間的に成長が出来ないので♪案外、妹姫もそっちの方が幸せなのかも💦