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プロローグ

プロローグ 2

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ティナが俺、鳳レイの布団にいたという事件が発生してから十分程経った今、俺とティナは部屋で朝食を食べていた。
「……………………」
「……………………」
「…………なぁ、ティナ。なんで俺の布団にいたんだ?」
 ティナは、俺の質問にびくりと反応はしたが、それ以上は何もなく、また黙々と箸を動かし始める。
 この、お互いに、話しかけづらい状態があのあとずっと続いていた。
「…………………………」
「…………………………」
 ティナが、急にこちらを向いて、真剣な表情を浮かべる。そして、覚悟を決めたように口を開く。
「ねぇ、あの、レイ?……レイは、私のこと、どう思ってるのかなー?なんて」
思っていたより、簡単な質問だった。こんな事で良いのか?という疑問は、考え方は人それぞれだと、呑み込んだ。
「…………俺にとってのティナは、心を支えてくれる幼馴染みってところだな。ティナがいなければ、俺はまだ鳳の姓を名乗ってることはなかったかもしれないしな」
 俺がそう言った瞬間、ティナがほんのわずかだが寂しげに顔をゆがませたように見えた。
「……そっか、うん、ありがと!じゃあ私もレイのために頑張らなきゃだね!ほら、遅れないように支度しよう!」
 だが、次の瞬間には、いつも通りのティナの笑顔があって、きっと気のせいだろうと首を振った。
 そしてそのあとは、ふたりで会話を楽しみながら支度をして寮を出た。
 簡単な質問だと自分で思っていたあの質問の答えに少し詰まってしまった理由は、自分でも分からないままなんとなく無かったことにした。
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