最弱の少年は、最強の少女のために剣を振る

白猫

文字の大きさ
5 / 22
第1章

第1章 3

しおりを挟む
 『生徒諸君!今すぐ第一闘技場に集まれ!』
 その放送の主は一瞬で分かった。俺の父親の妹にしてこのアルティア学園の理事長、クヴィナ・ラタ・リヴェラヴィアその人である。彼女は3年前に設立したこの学園の創設者の一人であり、今もこの学園にただ一人残っている。
 毎年新しい行事をこれでもかと立案するのだが、突拍子もないものばかりで、生徒に発表された後に却下されることがたびたびある。しかも、学校からではなく国からだ。
(あの、ロリババァ今度は何を考えていやがる!?)
 前回が「女子だけ水着で体育祭」とか言うふざけた内容(勿論却下された)だったので嫌な予感しかない。俺の考えている事など知るよしもない生徒達は、喜びの声をあげながら第一闘技場へと向かっていく。
「ああもう!どうとでもなれ!」
 そして俺は、その人の波に半ば流されるように第一闘技場に向かって歩き出した。
 闘技場は気持ち悪くなるような人数の人でごった返っていたが、ティナ達はすぐ見つかった。何せ、そこだけぽっかりと穴が開いたように人がいなかったからだ。
しかも、その中心で何やら口論までしていた。
「…………何してんだお前ら」
 ティナ、茜、葵先輩が口を揃えて叫ぶ。
「「「お前が悪い!!」」」
「は?」
 全くもって理解不能。それしか言葉が出てこない。俺の疑問に答えるように茜が俺に向かって話を続ける。
「だいたいお前がティナリ、ぐぼぁ」
 ティナが魔力を込めた渾身の右ストレートを茜の鳩尾に叩き込んでいた。茜は白目をむいて倒れている。
「アハハー、茜くんは何が言いたかったのかなー」
 今のティナの言葉を文章に直したら笑っているようにみえるかもしれないが、今のティナは全く目が笑っていない。どちらかというとマジでキレてる顔だ。 
『よく集まってくれたな!諸君』
 闘技場の中央から、マイクを通したエコーのかかった声が闘技場に響く。
 その声だけで、周囲は静まり返り、さながら、先程までの喧騒がまるで嘘のようだ。
 声につられ、闘技場の中央を見ると、そこには豪奢な黒いドレスを着た少女がたたずんでいる。ロリババァ、もとい理事長のクヴィナだ。
『これから、今月の行事の発表を行う。今回の行事は────チームに分かれてのランク戦だ!!!!』
 大きな横断幕が掲げられ、闘技場全体から、震える程の雄叫びが上がる。
『今回はしっかりと、国からの許可も取ってある。思う存分戦うがいい!』
 珍しく、まともな行事だった。しかも、事前に許可まで取ってあるとは驚きだ。
『それでは、この大会でのルールを説明しよう。1チームで最大の人数は4人、もちろんスミスも含めてだ。そしてこのとき、専属スミスは専属でついているチームとスミス限定チームの2つのチームを掛け持ちすることになるからな。
 勝敗は定められた試合時間の終了時のチームごとの人数、またはチームメンバーの全滅だ』
 一拍おいて理事長は元気よく締めの言葉を言う。
『対戦はトーナメント戦で行う。チームのメンバー、対戦表はもう決めてある。試合は明日からだ!皆寮に帰ってゆっくり休め!』
 その後クヴィナの言葉通り解散となったのだが、クヴィナの『スミスで、今完成させたい剣がある人は、学校に残って良い』と言う一言を聞き、俺は学校に残り、剣を打ちに行った。ティナが校門で待つと言っていたのでできるだけ早く完成させなければ。
 俺は、すぐに自分の鍛冶場に行って制服から作業用のつなぎにきがえ、未完成の剣を1本取り出し、もう出来上がっている刀身から延ばすように柄を造っていく。そして、剣を冷やしている間に刀の心鉄に魔術刻印を刻んでゆく。この作業が今造っているものの肝となる1番大事な作業になる。 緊張で震える手を動かし、なんとか刻印に成功する。その内容は、こうだ。
『我が魂の片鱗を以てこの剣に力を携えん』
 本物より、少し改編し、能力は落ちているが、これをしなければこの剣の使用者が、どうなるのかすら分からないのだから仕方ない。
 まだ柄も刀身も完成していない刀に魔力を流し込む。すると、その刀から薄くだが純白の魔力が漏れ出す。
「……やっと、やっと完成した……『擬似魔剣』!」
 『擬似魔剣』その名の通り、魔剣の模造品だ。本来魔剣は、七大天使、七つの大罪と呼ばれる14の天使、悪魔を封印した剣なのだから、それを完璧につくりあげることは不可能。だからどうなるのかすら分からないのだ。
 そして、冷やしていた長剣の鍔の中心に刀の心鉄にいれたのと同じ魔術刻印をした最上位の通魔金属、オリハルコンの水晶をはめる。そしてそこからのばすようにして魔術回路を組んでいけば完成だ。
「後2、3本打ってから帰るか……」
 思ったよりも、俺は『擬似魔剣』の完成に興奮しているらしかった。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜

平明神
ファンタジー
 ユーゴ・タカトー。  それは、女神の「推し」になった男。  見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。  彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。  彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。  その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!  女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!  さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?  英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───  なんでもありの異世界アベンジャーズ!  女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕! ※不定期更新。 ※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。

ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。

タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。 しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。 ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。 激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

九尾と契約した日。霊力ゼロの陰陽師見習いが大成するまで。

三科異邦
ファンタジー
「霊力も使えない。術式も出せない。 ……西園寺玄弥、お前は本当に陰陽師か?」 その言葉は、もう何度聞いたか分からない。 霊術学院の訓練場で、俺はただ立ち尽くしていた。 周囲では炎が舞い、水がうねり、風が刃のように走る。 同年代の陰陽師たちが、当たり前のように霊を操っている。 ――俺だけが、何もできない。 反論したい気持ちはある。 でも、できない事実は変わらない。 そんな俺が、 世界最強クラスの妖怪と契約することになるなんて―― この時は、まだ知る由もなかった。 これは―― 妖怪の王を倒すべく、九尾の葛葉や他の仲間達と力を合わせて成長していく陰陽師見習いの物語。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

処理中です...